わたしの秘密を教えてあげるわ。
昭和女子とZ世代男子の恋愛を書きたいと思ったのですが、熟女と若い男の子じゃちょっと違うなと思いました。そこで魔法登場!! 20歳若返るのが限度っていったいどんな魔法なのよ? って思うけれど、若くなれるならそれに越したことはない!
あ、だめだじぶん。みんなに説明するの、わすれてたわ。わたし、もともとは50歳なの。結婚はしていたけれど、夫は5年前に事故で亡くなったのよ。子どもはいるけどもう成人して家を出て働いているの。だからわたしはひとり暮らし。ある日曜の朝、顔をあらって鏡を見ながら増えたシミの数を数えてため息をついていたら、突然家の中に現れた黒猫が魔法をかけてくれたの。で、今は30歳。若返りの魔法をかけてもらったんだけど、若返るにも限度があって、20歳までしかだめなんだってさ。なんか雑にけちくさいよね! ま、そんなことはいいのよ。いまのわたしは50歳マイナス20歳で30歳。そしてわたし、カガミ君と同じ会社でもともと働いていたんだけど、希望を出して若返るのと同時に彼と同じ課に異動してきたの。顔はもともとのと同じだけど、年齢だけ若返ったってこともあって、実はあんまり周囲には気づかれてないみたいなのよ。いっそこのまま30歳でいたいと思うけれど、そのあたりは大丈夫なのかしら。
わたしたちの20代の頃は、当時流行していたトレンディドラマの影響で、高校を卒業する前後くらいから恋人がいなければ恥ずかしいという風潮があったのよ。一番流行ったドラマが『東京ラブストーリー』だったけど、みんなも名前だけは聞いたことあるかな。大学時代はともだちに恋人がいるいないで話はいつももりあがっていて、不器用で恋人をなかなか作れなかったわたしはいつも嘲笑の対象だったわ。いまだったらそれ、セクハラだけどね。この会社にカガミ君が入ってきたからわたし、カガミ君に興味があったのよ。カガミ君は50歳のわたしに会ったことがあるのを覚えていないみたいだけどね。なんかまじめで素直な態度で仕事している姿が印象的でかわいくて大好きだったの。もともとカガミ君と同じ部署になれるように異動希望を出していたけど、まさかその願いが叶うとは思っていなかったわ。
わたしはカガミ君が大好き。だけど、カガミ君は恋愛にも結婚にもどうやら興味がないみたい。カガミ君みたいなZ世代の男子がいったい何を考えているのかと言えば、こういうことらしい。結婚するだなんて、脳みそがお花畑な人か、宝くじに当たってお金がありあまりすぎている人か、いったいどっちなんだろう。物価も高くなっているし子どもにかかるお金に対する支援が手厚くなっているとはいえ、実際には育児している最中は奥さんは働けないんだからその間は家計は火の車になるのにということらしい。
魔法にかかる前のわたしが現役で20代女子をやっていたときは、恋愛していたら結婚するのは当然だとみんなが信じ込んでいた。なのに、Z世代の恋愛のゴールは結婚じゃなくなっているのにとてつもない絶望を感じた。これなら魔法なんて使うんじゃなかった。でも魔法にかかる前のわたしの夫はもう事故で他界しているんだものね。そして、この寂しさを埋めるためには自分の好きな男と恋人同士になりたいわけよ。死んだ夫には申し訳ないけどね。そばにいたいのよ、大好きなカガミ君の。
20歳若返った私は、若いころのように恋愛ができるようになるのかな??




