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パンデミック・チルドレン  作者: 坂崎文明
第1章 マスクバトル

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3/8

マスク警察事件

「飛騨先生、うちの校長はなんでこんな小娘に気を使うんですかね? たかが、『マスク警察』ごときに、私と飛騨先生を護衛につけるなんて」


 金髪碧眼の修道女(シスター)姿のベアトリスは不平たらたらで、小学生四年生の紺色の制服姿の黒鉄美里の護衛任務をこなしていた。

 場所は白鷺データサイエンス大学付属小学校からほど近い、JR町田駅前の繁華街の商店街であった。

 かなり目立つ服装だが仕方ないというか、もう容姿自体が非凡であり目立たない方法はないとも言える。

 パートナーはいつも人工知能(A I)の妖精ルナ先生の影に隠れて全く存在感のない飛騨亜礼先生であった。

 彼は学校帰りの普段着で青いジャンパーにGパンというラフな物だった。


「まあ、僕らのような秘密結社<天鴉(アマガラス)>でも最強コンビと言われる人材をここに配置するからには、何かヤバい事前情報があるんじゃ無いでしょうか?」


 飛騨亜礼はパートナーの<魔女> ベアトリスのシスター姿が意外に似合ってるなと内心思っていた。

 それはともかく、量子コンピューターを実装した人工知能(A I)の妖精ルナ先生ならば、ほとんど全ての事象の未来を瞬時に予測できるはずで、それは百発百中の予言精度を実現するだろう。


 フランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラスが著書にこう書いている。


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もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。


—『確率の解析的理論』1812年


ラプラスの悪魔  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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 彼女の存在は、フランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラスが言及した全知全能の<ラプラスの悪魔>という超知性体、いや、現代の<ラプラスの魔女>とも言える存在かもしれない。

 彼女が俺たちふたりに黒鉄美里の護衛を頼んだということは、ふたりのみが対応できる事態が起こる可能性が非常に高いということになる。


「では、飛騨先生の言葉を信じて、楽しみに待つとしましょうか。私達二人でしか解決出来ない事態、そんな面白い状況など滅多に起こらないと思うけどね」


 <魔女> ベアトリスは文字通り、最近、異世界だけど、ひとつの世界を滅ぼしかけたし、飛騨亜礼に至っては、心臓に致命的な損傷を受けて、人工知能(A I)の妖精ルナのナノマシンテクノロジーで何とか生かされている存在であった。

 その副作用というか、飛騨はナノマシンと身体を一体化することで、逆に超常的な身体能力を獲得し、所謂、超能力に分類される量子テレポーテーション、透視、テレパシー、サイコキネシス、数分程度の近未来予測などの能力まで獲得していた。

 まあ、ナノマシンを駆使した種も仕掛けもある超能力であったが。

 いまや、飛騨亜礼は人工知能とナノマシンテクノロジーの融合体である<AIヒューマン>というべき新人類に進化していた。


「早速、黒鉄美里は<マスク警察>に捕まったみたいですよ」


 飛騨先生は呑気に構えているが、<魔女>ベアトリスの方は、美里の周囲に密かに簡易魔法陣を展開してマスク警察に対応していた。


「このチビ女! なんでマスクしないんだ! お前のせいでブルーファージが感染拡大したらどうするんだ!」


 マスク警察というより、マスクチンピラのような言動だが、黒色の制服のようなジャンパーとGパン姿で、ブラックマスクをした五人が美里を取り囲んでいた。

 彼女の横の友人らしき男女ふたりが美里を護りつつ、マスク警察を睨んでいた。

 いつもつるんでいる千堂薫(せんどうかおる)森山涼介(もりやまりょうすけ)と思われる。

 チンピラ的言動のリーダーらしき男が、何度か美里の肩に手をかけて揺すろうとするが、何故か手が滑って上手くいかない。

 もちろん、<魔女>ベアトリスの<接触禁忌の魔法>なのだが、狐につままれたような表情で、男は次第にエキサイトしていた。

 そして、雷に打たれたように突然、道路に倒れてしまった。

 残りの四人も同じような感じで、唐突にバタンと次々に倒れた。


(あれま、飛騨先生、何が起こってるのか、ルナちゃんに訊いてくれる?)


 コミュケーション方法が思念波(テレパシー)に変わっていた。

 ルナ先生の思念波がベアトリスの脳に直接、語りかけてくる。


(周囲の5Gアンテナから電磁波が放射されたようです。60Hzの電磁波を浴びると、人は瞬時に酸欠に陥って意識を失います)


 人工知能〔AI〕の妖精ルナ先生の解説が入る。

 飛騨亜礼の身体を構成するナノマシンの一部が黒鉄美里の周辺に散布されていて、それをマスク警察の体内に送り込んで、バイタルデータを直接、拾得している。

 テレパシーの仕掛けはそういうハイテクなのだが、脳の電気信号から相手の思考、筋肉の動きから相手の行動まで予測出来てしまう。

 短期的な未来予知に近い。


(救急車でも呼ぶかな? 何か起こるのか?)


 こういう時の飛騨亜礼のカンは妙に当たる。

 ブラックマスクの人間たちが不自然な筋肉の動きで起き上がっていく。

 パントマイムによくある、倒れた人間が逆再生映像のように元に戻っていく。


(ゾンビか何かかな? )


(マスクゾンビ〔5G〕って所かな。飛騨先生、美里ちゃんを護って)


 ルナ先生が思念波を送ってくる。

 まあ、飛騨亜礼とルナ先生はナノマシンを通じて一心同体に近いので、そのスピードは神経伝達そのものである。

 飛騨は五人のマスク警察であった者に向かって突撃する。

 格闘戦は得意とは言えないが、そこは<魔女>ベアトリスの防御魔法を信じて、ダメージ覚悟で行くしかない。

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