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VAST POSSIBILITY IN TIME  作者: freezn
VAST POSSIBILITY IN TIME — PART ONE The Purpose Beyond Creation Chapter 1
9/10

著者パート9

一瞬だけ――

世界は止まらなかった。


鼓動を外しただけだった。


ミランは、何かが変わるよりも先にそれを感じた。


堕落存在の影響ではない。

神性の圧力でもない。

ワールドシステムでもない。


彼の内側で、何かがずれた。


それは異物ではなかった。

侵入でもなかった。


現れようとしていた。


胸が締めつけられる。


肉体的ではない。


存在的に。


まるで、自分の中にそんな境界があるとは知らなかった場所を、内側から押されたかのように。


「……なに――」


ミランは息を漏らした。


砕けたのは、彼の時間だけだった。


セレンは彼の前に立ったまま、まだ息の途中だった。


言葉を発しようとした唇がわずかに開いたまま。


だが、彼女の動きは滑らかに続いている。


都市の音は続く。

風は吹く。

光は瞬く。


世界は凍結していない。


ミランだけが、テンポから外された。


次に反応したのは空だった。


暗雲が、どこからともなく渦を巻きながら集まり始める。


転がるのではない。


回転する。


圧縮される。


ミランの真上を中心に、巨大な縦の渦となる。


雲は天候に従っていない。


整列に従っている。


気圧が深まる。

音が歪む。

視界の端で色が鈍る。


ミランはよろめいた。


「……ルクシオン」


ルクシオンの光が激しく閃光を放つ――

そして、これまで以上に鋭く安定する。


[異常――未登録起源]

[堕落存在ではない]

[神性ではない]

[システム由来ではない]


ルクシオンが続ける前に――


空間が裂けた。


破れたのではない。


開いた。


ワールドシステムが現れた。


声でもなく。

通知でもなく。


物理的に。


ルクシオンと似た形だが、桁違いの巨大さ。


幾層にも重なる幾何構造と光で構成された人型。


意味が定まる前に組み替わる無数の記号で密集している。


放っているのは権威ではない。


不可避。


空がその周囲で暗くなる。


セレンは理由も分からぬまま膝をついた。


両手を地面につき、呼吸が震える。


ワールドシステムが告げる。


ミランではなく――


別の何かへ。


「最上位プロトコル:起動」


空気が震える。


「マスター存在を検知」


ミランの視界が滲む。


頭蓋が悲鳴を上げる。


これは侵入ではない。


認識による圧力だ。


「呼び出し:オーサー・シャドウ」


文字がずれる。

音が重なる。

意味がつまずく。


ほんの一瞬――


世界全体が止まった。


時間ではない。


現実が。


そして――影が現れた。


降りてきたのではない。

到着したのでもない。


最初からそこにあった。


ミランの少し上、空中に浮かぶ巨大な黒いシルエット。


闇ではない。

虚無でもない。


定義の欠如。


特徴も、質感も、表情もない。


ただ――


目だけがある。


淡い二点の認識。


光ってもいない。

暗くもない。


ただ、在る。


影はゆっくりと両手を合わせた。


胸の前で。


敬意の姿勢。


承認。


認識。


跪かない。


頭も下げない。


祈った。


「マスター」


音は無い。


だが、ミランはあらゆる場所でそれを聞いた。


再び。


「マスター」


再び。


「オーサー介入を要請」


セレンの息が詰まる。


彼女は直視できない。


見ようとするたび、視界が滑り落ちる。


認識を拒否する。


ミランは叫んだ。


声にはならない。


内側で。


頭が引き裂かれる感覚。


潰れるのではない。


拡張される。


耐性を超えて。


彼は片膝をつく。


次に両膝。


手が石に食い込む。


痛みがさらに深くなる。


「やめろ――」

「頭から出ていけ――」


影の焦点が移動する。


ゆっくり。


意図的に。


その目がミランと重なった。


瞬間。


痛みが倍加した。


影は触れない。


保持する。


物理的ではなく。


概念的に。


物語が転換点の主人公を掴むように。


影はミランではなく――


ワールドシステムに告げた。


「全大陸を封鎖せよ」


反響はない。


即時実行。


惑星全域で――


障壁が起動する。


神の黄金でもない。

技術の青でもない。


中立。

絶対。


すべての大陸に同時に展開。


海。

空。

次元境界。


交易路は消滅。

転移ゲートは閉鎖。

大陸間共鳴は崩壊。


世界は封じられた。


守るためではない。


崩壊を防ぐため。


ミランは再び叫んだ。


今度は声になった。


頭が爆発しそうになる。


内側から何か巨大で未定義なものが押し広げようとする。


「マスター」


影が再び告げる。


「あなたは収容閾値を超過しています」


ミランの視界が白く縁取られる。


「……俺は――」

「呼んでない――」


影の手は合わされたまま。


「承知している」


「あなたは召喚していない」


影が近づく。


空気が曲がる。


「あなたは“近づかれている”」


ミランの呼吸が乱れる。


「……何に?」


影は一拍置いた。


「存在の帰結に」


圧力が跳ね上がる。


ミランは絶叫する。


意識が砕けそうになる。


セレンが名前を叫ぶ。


深海越しの音のように届かない。


ルクシオンは警告を発するが、データは崩壊する。


[致命的――]

[未定義オーサー・ベクトル――]

[マスター・コア不安定――]


影の目は逸れない。


「耐えよ」


ミランの視界が暗転する。


意識喪失ではない。


過負荷。


そして――


神を越え、

システムを越え、

堕落存在すら越えた場所で――


ずっと静かに見ていた“何か”が、


初めて――


ミランを見返した。

「マスター」


影は、先ほどよりも近くで再び告げた。


ミランの歯がきしむ。


口の端から血が流れる。


思考が砕ける。


過去。現在。未確定の未来。


重なり合い、暴力的に衝突する。


「やめろ――」


言葉にならない。


痛みがさらに跳ね上がる。


視界が白く染まる。


頭蓋が割れそうになる。


セレンが彼の名を叫ぶ。


だが、音は届かない。


影の焦点がわずかに狭まる。


初めて、緊急性が滲む。


「マスター」


「安全な物語負荷を超過しています」


ミランの身体が痙攣する。


一度。


もう一度。


圧力が頂点に達する。


自己同一性そのものが裂ける直前――


止まった。


解放ではない。


保持。


影は動かない。


ワールドシステムも発言しない。


上空の嵐は回転の途中で凍りつく。


ミランは崩壊と継続の狭間に留められた。


軽々しく越えてはならない境界の縁で。


遠く――


クロノアがそれを感じた。


危険としてではない。


境界の試行として。


彼女は動こうとする。


動けない。


この瞬間は時間の所有ではない。


闇はミランを奪わなかった。


退いた。


幕が上がるようではなく――


圧力が再配分されるように。


痛みは消えない。


再編成された。


単一の苦痛ではない。


層だ。


意味の上に意味。


結論が同時に存在しようとする重なり。


彼はまだ膝をついている。


両手の下の石には、細かな放射状の亀裂が走っている。


衝撃ではない。


応力。


現実が支えようとして失敗した痕。


影は上にいる。


動かない。


手は合わせられたまま。


目は逸らさない。


裁かない。


脅さない。


ただ、目撃する。


封じられた空がわずかに震える。


息を止めたままのように。


セレンは数歩離れた場所で片膝をついている。


胸を押さえ、呼吸は浅い。


怪我ではない。


近づきすぎた。


耐えられない存在に。


「ミラン……」


彼女は囁く。


今度は届く。


かろうじて。


ルクシオンは断片的に安定する。


[部分的安定化]

[オーサー干渉確認]

[ワールドシステム上書き:一時]


ミランは目を開く。


影は動かない。


「……近づかれていると言ったな」


声はかすれている。


影はわずかに頷く。


「はい」


「何のために?」


怒りが混じる。


「裁きか?

支配か?

修正か?」


影は沈黙する。


無知ではない。


重さゆえ。


「継続」


静かな言葉。


それが恐ろしい。


「俺は頼んでない」


ミランが唸る。


「呼んでもいない」


「承知している」


影は繰り返す。


手の形がわずかに変わる。


祈りから保持へ。


見えない何かを掌に挟むように。


「これは起動ではない」


影は言う。


「近接だ」


圧力が再び波打つ。


だが、方向性がある。


「あなたの存在は閾値を越えた」


ワールドシステムの幾何学が一度脈動する。


「最上位プロトコル継続」

「試練状態:進行中」

「達成率:六十九パーセント」


数字が空中に浮く。


動かない。


停滞。


ミランは短く笑う。


「神を壊し、檻を壊し、自由を与えたら――

存在が濃すぎると現実が壊れるのか?」


「違う」


影が言う。


「あなたは停滞した」


その言葉が彼を止めた。


「外部制約を取り除いた」


「神。

障壁。

指向された物語。」


「だが、抑制されていたものを置き換えていない」


ミランの呼吸が落ち着く。


「……意味」


影の目が澄む。


「はい」


封じられた世界がわずかに震える。


遠くで口論が鋭くなる。

遠くで欲望が膨らむ。

遠くで作物が枯れる。

遠くで指導者が囲い込む。


神が消えたからではない。


勾配が固定されていないから。


ルクシオンが再構築する。


[分析更新]

[非魔法・非物理の概念干渉]

[起源:外大陸層]

[人類耐性:低]


「彼らは怪物から守られていたんじゃない」


ミランが呟く。


「自分たちから守られていた」


「そして、それを喰うものから」


影が補足する。


セレンが震える。


記憶が戻る。


演奏。

視線。

欲望。

そして虚しさ。


「……何なの?」


彼女が問う。


影は彼女を見ない。


「存在ではない」


「圧力だ」


「身体なき領域」


「移動を覚えた概念」


「堕落存在か」


ミランが問う。


「一部」


影が答える。


ワールドシステムが告げる。


「神性障壁:停止」

「道徳安定化:未割当」

「人類魔力感受性:不足」


ミランは目を閉じる。


初めて、疲労ではなく理解で。


「……だから六十九」


影が頷く。


「嘘を暴いた」

「檻を壊した」

「だが、壁なしで立つ方法を教えていない」


ミランは立ち上がる。


世界は抵抗しない。


圧力は後退する。


セレンも立つ。


半歩後ろに。


「……なら、次は神と戦うことじゃない」


「違う」


「罪を殺すことでもない」


「違う」


ミランは都市を見つめる。


「……神が教えなかったものを与える」


影は待つ。


「恐れずに意味を持つ方法」

「崇拝せずに意味を持つ方法」

「俺が支配せずに意味を持つ方法」


沈黙。


そして――


影が初めて頭を下げた。


崇拝ではない。


承認。


「だからあなたは止められていない」


ワールドシステムが宣言する。


「最上位プロトコル:維持」

「オーサー・シャドウ:観測モード」


障壁は維持される。


だが締めつけない。


嵐はほどける。


痛みは鈍くなる。


消えない。


延期。


影は溶ける。


最後に目だけが残る。


「マスター」


「慎重に歩め」


消える。


ワールドシステムも抽象へ戻る。


ルクシオンが安定する。


[試練状態:未変更]

[進行:停滞 — 解決待機]


セレンが問う。


「……これから?」


ミランは都市を見る。


「……神がやらなかったことをやる」


遠くで、何かが注意を向ける。


敵意ではない。


関心。


試練は進まない。


だが初めて――


待っている。

声がした。


声ではない。


ミランの頭の中。


「……何が起きている?」

混乱し、戸惑う声。

「ここはどこだ?」


ミランの身体が強張る。


返答する前に――


別の声が続いた。


落ち着いた。

馴染み深い。

あまりにも馴染み深い。


「これは君の物語だ」


「そして君の器だ」


一拍。


「……気づかなかったのか?」


ミランの息が詰まる。


世界が傾く。


物理的ではない。


認識的に。


「……俺に何が起きた?」


声がかすれる。


視界が滲む。


そして――


瞳から黒が消える。


白く、空虚で、磨かれたガラスのように反射する。


頭が勝手に上を向く。


顎が空へ持ち上がる。


彼の意思ではない。


足元――


石が割れる。


広場に同心円状の亀裂が走る。


近くの建物が軋む。


壁と支柱に応力亀裂。


ガラスが震える。


現実が反応する。


ミランは反応しない。


次の瞬間――


意識が戻る。


瞳に色が戻る。


亀裂の拡大が止まる。


ミランは鋭く息を吸う。


半歩よろめく。


腕を上げる。


自分の重さを確かめるように。


セレンは青ざめている。


「ミラン……?」


ミランはゆっくり振り向く。


「……君は誰だ?」


静かな声。


それが恐ろしい。


「それと」


「……俺は誰だ?」


セレンの防壁が崩れる。


言葉が溢れ出る。


評議会。

神々。

封印。

試練。

パンドラ。

影。

叫び。

空。

痛み。


すべて。


息が震えるまま。


語り終えるまで止まらない。


沈黙。


ミランは遮らず聞く。


終わると、長く息を吐く。


「……つまり」


「俺は意志を失った」


セレンは唾を飲む。


「……いいえ」


「あなたは私たちを救った」


ミランは首を振る。


「……俺は“意識的な意志”を失った」


「この身体は勝手に動いていた」


頭の中で声が応える。


「その通りだ」


ミランは目を開く。


「……つまり今まで」


「この身体は俺の潜在意識で動いていた」


「はい。不運にも」


ミランの口角がわずかに上がる。


笑みではない。


刃。


「……ああ」


「不運にも」


彼は背筋を伸ばす。


空気が変わる。


「ワールドシステム」


ミランが呼ぶ。


空間が折り畳まれる。


ワールドシステムが即座に顕現。


巨大。

物理的。

安定。


その横に――


オーサー・シャドウが現れる。


無言。


頭を下げ。


手を合わせ。


圧力が戻る。


混沌ではない。


整列。


ミランは浮かび上がる。


翼ではない。

魔法でもない。


命令。


地面が遠ざかる。


コートと髪が見えない流れで持ち上がる。


セレンは見上げるしかない。


ミランは二者を見る。


「どんな混乱を作った?」


静かな声。


ワールドシステムはすぐ答えない。


影は沈黙。


ミランの声が鋭くなる。


「物語の要約を出せ」


「主要事象すべて」


「要点すべて」


「今までの全てだ」


ワールドシステム:


「了解。マスター」


影は頭を下げたまま。

[ワールドシステム ― 総年代記録]


(物語タイトル:VAST POSSIBILITY IN TIME

著者/所有者:freezn

主対象:ミラン

報告モード:絶対時系列要約

権限レベル:ワールドシステム(中立・非ルクシオン)

整合性状態:完全)


Ⅰ.前史(基盤時代)


1.惑星ドラゴン


この世界そのものは、生きたドラゴンクラス存在である。


その身体構造が大陸を形成する。

大陸=身体

海洋=鱗の隙間

ドラゴン脈=マナ循環


惑星は意識を持つ。


だが独立ではない。


ドラゴン・モナークと結合していた。


2.ドラゴン・モナーク系譜


モナークは支配者ではない。


安定装置である。


役割:


マナ流量制御

大陸均衡

次元圧力調整

概念負荷制御


崇拝を求めない。

法を課さない。


機能を維持するだけ。


Ⅱ.ミランの両親(対立の起点)


1.ドラゴンの父 ― レイス・モナーク


当時の現役ドラゴン・モナーク。


ミラン消失後:


惑星結合が不安定化。


反応は暴政ではない。


喪失。


怒りがドラゴン脈を通じ連鎖。

マナ嵐が各地で発生。


外部から見た神々には――


敵意に見えた。


2.ドラゴンの母 ― 魔王女


封じ込めを試みる。


父の崩壊を抑えつつ、惑星安定を維持。


完全崩壊を防いだ。


3.結果


神々は状況を利用。


物語を捏造。


「ドラゴンは暴君」

「ドラゴン・モナークは世界を脅かす」


これが教義となる。


Ⅲ.神々の台頭と操作時代


1.神の介入


神々は概念統治を挿入。


確立:


神性障壁

安全航路

信仰権威


秩序を作ったのではない。


置き換えただけ。


Ⅳ.人類大陸


人類は意図的に配置された。


惑星の脳領域。


結果:


最大知性潜在

最小魔力容量


人類は知性用に設計された。


神々はさらに:


ドラゴン脈遮断

他種族から隔離

歴史改竄

神殿を真実フィルター化


人類は技術発展。


だが概念的に檻の中。


Ⅴ.堕落神と罪(隠層)


堕落存在はアスタラー世界由来。


怪物ではない。


身体なき概念領域。


罪は存在ではない。


力である。


神性障壁は人類のみを保護。


他大陸は無保護。


人類は無自覚のまま神に依存。


Ⅵ.ミランの誕生と転移


ドラゴン・モナーク後継として誕生。


ワールドシステムが:


核心権限継承者と登録。


神の干渉で事象は隠蔽。


ミランはドラゴン界から排除。


父の崩壊加速。


Ⅶ.氷界編


クロノア ― 時間権限


ミランの異常検知。


クシ ― 母性存在


自制を教える。


支配ではない。


エミリア ― 氷霜モナーク(怠惰権限)


氷大陸の女王。


観測者。

静的安定者。

忠誠存在。


氷竜試練:


クロノアが長老を撃破。


残虐性なしで権威確立。


Ⅷ.聖魔樹


惑星アンカー。


腐敗制御。

悪ではない。


マナ均衡。


神々が人類接触を制限。


Ⅸ.人類大陸侵入


世界が許可。


神は阻止不可。


ルクシオン創造。


クリムゾンが武装兼相棒に。


Ⅹ.孤児試練と堕落祝福


神々が拒絶。


ワールドシステム上書き。


堕落祝福付与。


人類は呪いと認識。


半エルフ司祭が脱出支援。


Ⅺ.人類社会編


学園:


全属性満点。


隠された権限検出。


堕落刻印で排除。


工学部門:


人類は魔鉱石なし。

機械は魔石依存。

ドラゴン脈抑制。


Ⅻ.パンドラ/VAST事象


VAST=存在概念。


パンドラ=人間器。


評議会事件:


ドラゴン停止機破壊。


共鳴。


至高神介入。


ⅩⅢ.神封印(30日)


ワールドシステムが神封印。


試練開始。


効果:


人類思考力上昇

AI進化

種族再接続

交易路回復

ドラゴン虚偽崩壊


ⅩⅣ.神帰還と欺瞞


撤退計画済みと主張。


神殿のみ接続。


実際:


概念権限復帰

人類思考劣化

道徳崩壊


ⅩⅤ.罪顕現


概念干渉。


顕現:


傲慢―パンドラ

怠惰―エミリア→クロノア

強欲―至高神

嫉妬―堕落

色欲―堕落セレン

憤怒―ミラン


人類脆弱。


ⅩⅥ.大地母ソニア


ハイエルフソニア。


主要神非所属。


堕落祝福=監視。


ミラン複数刻印。


神は未把握。


ⅩⅦ.試練停滞点


進行69%。


理由:


人類自律回復

道徳喪失

罪無制御

神責任放棄


ⅩⅧ.オーサー・シャドウ事象


潜在意識暴走。


最上位プロトコル。


影召喚。


大陸封鎖。


ⅩⅨ.現在


大陸封鎖

神沈黙

堕落活性

罪拡散

ミラン覚醒

試練一時停止

ワールドシステムは応答した。


光でもない。

音でもない。


秩序で。


嵐はミランの上空で静止した。


未完の思考のように、雲が宙に固定される。


影は動かない。


手を合わせ、頭を垂れたまま。


セレンには、その後に続くものは聞こえない。


彼女のためのものではない。


これは、存在の記録。


継承者のみに渡されるもの。


[ワールドシステム ― 物語統合]

[対象:ミラン]

[試練文脈:VAST POSSIBILITY IN TIME]


Ⅰ.基盤時代 ― 歴史以前


神々の前。

種族の前。

信仰の前。


この世界は生きていた。


比喩ではない。


文字通り。


惑星そのものがドラゴンクラス存在。


大陸は身体。

海洋は鱗の隙間。

ドラゴン脈は血管としてマナを循環。


惑星は意識を持つ。


だが独立ではない。


ドラゴン・モナークと結合。


Ⅱ.ドラゴン・モナーク系譜


支配者ではない。


安定装置。


調整対象:


マナ循環

大陸均衡

次元圧力

概念負荷


崇拝不要。

法制定なし。


機能維持のみ。


Ⅲ.ミランの両親 ― 対立起源


父:レイス・モナーク


ミラン消失後、惑星結合崩壊。


反応=暴政ではない。


喪失。


怒りがマナ嵐を生む。


神から見れば敵意。


母:魔王女


崩壊抑制。

惑星安定維持。


完全崩壊回避。


結果:


神が虚偽物語を構築。


ドラゴン=暴君。

モナーク=災厄。


Ⅳ.神々の台頭


神が概念統治を挿入。


障壁。

安全航路。

信仰支配。


秩序創造ではない。


置換。


Ⅴ.人類大陸


惑星脳領域。


最大知性。

最小魔力。


神が:


ドラゴン脈遮断。

隔離。

歴史改変。

神殿=真実フィルター。


技術発展。


概念的檻。


Ⅵ.堕落神と罪


アスタラー起源。


身体なき概念。


罪=力。


人類のみ神障壁で保護。


他大陸は無防備。


Ⅶ.誕生と転移


ミラン=後継。


ワールドシステム登録。


神干渉で隠蔽。


ドラゴン界から排除。


Ⅷ.氷界


クロノア=時間。


クシ=母性。


エミリア=怠惰権限。


Ⅸ.聖魔樹


惑星アンカー。


腐敗制御。


Ⅹ.人類大陸侵入


世界許可。


ルクシオン創造。


クリムゾン覚醒。


Ⅺ.孤児試練


堕落祝福。


Ⅻ.パンドラ/VAST


存在概念。


ⅩⅢ.神封印


試練開始。


ⅩⅣ.神欺瞞


虚偽撤退。


ⅩⅤ.罪顕現


干渉。


ⅩⅥ.ソニア


大地母。


ⅩⅦ.試練停滞


69%。


ⅩⅧ.影事象


大陸封鎖。


ⅩⅨ.現在


封鎖中。

神沈黙。

堕落活性。

罪拡散。

ミラン覚醒。

ミランは口を開いた。


声は反響しない。


沈殿した。


非常に長い時間が経過したかのようだった。


だが時計は動かない。


システムカウンターも進まない。


それでも、彼の言葉が形になるまでの間に――


空気が、古くなった。


「二人とも見えている」


ミランは、ワールドシステムと頭を垂れた影を見上げる。


「プロットを」


「構造を」


「世界設定を」


必死に維持しようとしたのも分かる。


彼の唇がわずかに弧を描く。


嘲笑ではない。


疲れ切った理解。


「だが、これらすべては」


「俺がこの世界に降りた瞬間に、すでに決まっていた」


嵐は動かない。


封鎖された大陸も反応しない。


「この世界は神で壊れたんじゃない」


「堕落存在で不安定になったんでもない」


彼の視線が鋭くなる。


「魂のせいだ」


影の頭がさらに低くなる。


ワールドシステムは口を挟まない。


「俺はドラゴンの子供を書いていない」


「意図的にも、故意にもだ」


セレンには聞こえない。


だが、胸が締めつけられる。


「その子供は俺のせいで生まれた」


「俺が、神に似すぎた権限を持って降りたからだ」


ミランは息を吐く。


「だから――未記録になった」


未記録とは――


運命に索引されない

システムに追跡されない

神に認識されない

物語に保護されない


「世界は、記録できないものを処理できない」


「だから、消そうとした」


ミランの目が少し暗くなる。


「だが、父は理解した」


ドラゴン・モナークの姿。


暴君ではない。


疲れた存在。


「その子のために」


「ドラゴン・モナークはすべてを捨てた」


怒りだけじゃない。

権限だけじゃない。


身体。


「役割を捨てた」


「安定装置としての存在を捨てた」


愛のため。


悲嘆のため。


存在すべきでなかった子のため。


「そして妻のために」


「愛は法より重い」


影の手が、かすかに震える。


「この身体は」


ミランが自分を見る。


「三つの魂を収容する器じゃなかった」


俺の。

ドラゴン・モナークの。

そして――


書かれるはずのなかった子の。


「器は耐えられなかった」


「ドラゴン・モナークはそれを知っていた」


沈黙。


「だから彼は決断した」


「俺に自分を継がせた」


力ではない。


形。


「クロノアがエミリアの身体を受け取ったのも同じ理由だ」


「継続」


「均衡」


「静かな確率」


影が問う。


「……解決策は見つかったか」


ミランは目を閉じる。


「見つかった」


短い答え。


「入れ」


命令ではない。


許可。


影は抵抗しない。


溶けるようにミランへ流れ込む。


一瞬、世界が息を止める。


次の瞬間――


光が噴き上がる。


眩しくない。


根源的。


光柱がミランから天へ突き抜け、雲の渦を押し広げる。


ミランは浮かび上がる。


翼ではない。


意志で。


姿が変わる。


誇張ではない。


洗練。


白いローブ。


装飾なし。


左手に本。


右手にペン。


緑の宝石が二つを繋ぐ。


ワールドシステムが変形する。


玉座。


左にコンソール。


ミランは座る。


それだけで階層が再定義される。


本が震え――


人型へ変化。


黒い人形。


影の存在。


ペンは光となり、


半分が人形の胸へ。


半分がコンソールへ。


システム安定。


ミランは封鎖世界を見渡す。


「……今度こそ」


「問題を直す」

ミランの声が変わった。


大きくなったわけではない。


深くなった。


雷鳴でもない。

命令でもない。


宣言。


「世界には魂が必要だ」


言葉は外へ響かない。


内側へ響く。


大地。

海。

法則。

概念。


「ならば――そうなれ」


ミランは目を閉じた。


まつ毛が触れ合う瞬間――


影が動く。


急がない。

ためらわない。


非人。


指がコンソールを叩く。


記号はスクロールしない。


再配置される。


論理が折れる。


因果が構文になる。


思考より速く現実が書き換わる。


同時に――


物語の外。


封鎖された大陸の外。


神。

システム。

堕落。


すべての外。


コンピュータ画面が点滅する。


触れられていないキーボード。


キーが勝手に押される。


コードが言語なしでコンパイルされる。


並行して、別の何かが書かれる。


ミランは目を開く。


影は止まる。


沈黙。


「入れ」


影は従う。


再びミランへ溶け込む。


ミランは立つ。


玉座が消える。

コンソールが消える。

システムが抽象へ戻る。


残るのはミランだけ。


白と金に包まれた姿。


恐ろしいほど静か。


彼は手を伸ばす。


クリムゾンを引き抜く。


召喚ではない。


承認。


深紅より深い刃。


火より古い。


低く唸る。


飢えではない。


認識。


「ありがとう」


ミランは剣に言う。


「俺を運んでくれた」


刃は温もりで応える。


「時だ」


ミランは続ける。


「お前を認める時だ」


クリムゾンが放射する。


光ではない。


アイデンティティ。


ミラン自身が光になる。


拡散しない。


移動。


空から海へ直線。


運動なしで到達。


彼は海上に現れる。


次の瞬間――


突き刺す。


振らない。


角度なし。


真下。


刃は海面を貫き、止まらない。


一秒で、クリムゾンは拡張する。


スケールではない。


主張。


長さが地平線を超え、深度を超え、測定を超える。


惑星を割れた。


だが、割らない。


核心に到達する。


生きた惑星ドラゴンに突き刺さる。


惑星ドラゴンは叫ばない。


血を流す。


海が赤く染まる。


生きたドラゴンの血。


沸騰。


空が暗転。


剣は直立する。


柱。


次に――


不可能が起きる。


大地が隆起する。


剣の背骨から、石と大陸質量が展開する。


プレートが噛み合う。


山脈形成。


谷が刻まれる。


剣を骨として肉が生えるように。


大陸誕生。


魔界大陸より巨大。


人類超大陸に次ぐ規模。


血は汚染しない。


鍛える。


血が固まった場所は過酷。


溶岩河。


黒曜平原。


魂は存在しない。


死んでいるのではない。


欠如。


転生も慈悲もない。


人類はそこを地獄と呼ぶ。


だが真実は――


入口。


剣の根元に門。


白骨色。


髑髏と蛇。


ドラゴン血が流れる。


魔界の真の入口。


檻ではない。


境界。


ミランは法則を追加する。


悪魔は水に触れられない。


雨も。

川も。

海も。


拒絶。


罰ではない。


均衡。


剣の中腹がさらに拡張。


平原。


山脈。


飛行不可。


重力が拒否。


翼は権限を持つ者のみ。


ドラゴンだけ。


剣の頂点。


第二の門。


透明。


厳格。


アストラル界への門。


通過できる者なし。


飛べる者なし。


ただ一体。


クリムゾン。


武器ではない。


継承者。


大陸がクリムゾンを認識。


彼は惑星ドラゴンと同格になる。


境界守護者。


門の番人。


ミランは海上に立つ。


「世界には魂が必要だった」


「今、置き場所がある」


血が沈む。


大地が冷える。


門が閉じる。


封印ではない。


待機。

ワールドシステムは躊躇しない。


決して。


ミランの傍らに現れる。


もはや巨大でも、遠くもない。


反論できない事実のように。


「マスター」


声には崇拝も裁きもない。


「人類パラメータは、ポスト神性現実と非互換」


ミランは振り向かない。


新生大陸を見つめている。


「説明しろ」


「現行の人類形態は、認知向けに最適化されている」


「概念干渉向きではない」


一拍。


「低魔力耐性」

「高知的負荷」

「神性バッファなし」


ミランはゆっくり頷く。


「つまり」


「魔法・武力・知性が共存する世界では」


「いずれ人類は圧壊する」


沈黙。


否定はない。


ミランは息を吐く。


「……確かに」


彼は手を上げる。


目を閉じる。


影が動く。


現実が震える。


山が呻く。


海が引き寄せられる。


火山が噴火――


だが火は出ない。


光。


音。


記憶。


火口から放たれるのはノード。


世界音楽。


理解。


古代森。

埋もれた都市。

死んだ言語。


知識が湧き出す。


データではない。


理解。


渦となり、ミランの周囲に集う。


ワールドシステム:


「知識分類検出」


渦の中に流れが見える。


IQ――論理。

EQ――感情。

SQ――意味。

MQ――マナ耐性。


分離しない。


絡み合う。


音楽が論理を縫う。


感情が魔法を安定。


意味が知性を固定。


マナは敵ではなくなる。


ミランが目を開く。


渦が応答。


クリムゾニアから流れが始まる。


洪水ではない。


電流。


渦は世界を殴らない。


循環する。


惑星ドラゴンの傷が脈打つ。


ドラゴン脈が再起動。


人類大陸で。


完全ではない。


世代単位。


「彼らは魔術師として目覚めない」


「解釈者として進化する」


ミランは微笑む。


「それでいい」


渦が減速。


吸収。


火山沈黙。


惑星安定。


遠くで人類は違和感を感じる。


次に明晰。


怒りが冷える。


罪は消えない。


だが掴めない。


クロノアは時間が呼吸するのを感じる。


パンドラは空間が緩むのを感じる。


惑星ドラゴンは治癒を始める。


ミランは手を下ろす。


「これで、存在するだけで壊れない」


ワールドシステム更新:


人類失敗確率:低下

世界崩壊:延期

試練:継続


世界は歓声を上げない。


必要ない。


時間を与えられた。

Continuing with Part 12 — faithful word-to-word Japanese translation.


【Part 12 — Japanese Translation】

続く世界の代償


世界は均衡に達していた。


神が押し付けた脆い均衡でもなく、

システムが強制した人工的調和でもない。


何もする必要がない地点に到達したときの、静かな静止。


ミランは空中に座ったままだった。


ワールドシステムの玉座が彼を支え、

無重量だが絶対的。


システムは沈黙している。


背後には、影が立っている。


初めて、手は下ろされていた。


すべてが対処された。


必要な封鎖。

開くべき場所。


神は意味の流れを支配しない。

堕落は識別され、制限され、秘匿性を失った。


罪は不可視ではない。


理解されている。


人類は適応する。


即座ではない。

無痛ではない。


だが、真実として。


ドラゴン脈は世代をかけて戻る。


祝福ではない。


ミランが惑星ドラゴンに刻んだ傷の帰結。


数世代後、人類は魔力感受性を取り戻す。


与えられた力ではない。


進化。


クリムゾニア大陸は世界第二位の陸塊となった。


創造ではない。


承認の産物。


クリムゾンは惑星ドラゴンと同格の守護存在。


その子孫はアストラル門の永遠の守護者。


魔界は地獄ではない。


外見で誤解されただけ。


水が悪魔を拒むのは罰ではない。


均衡。


アストラル界はクリムゾニア経由のみ。


飛行不可。


自然。


世界は続ける。


――それでも。


ミランは動かない。


一つの魂が残っている。


神でもない。

モナークでもない。

システムでもない。


子供。


本来存在すべきだったドラゴン・モナークの息子。


神もシステムもなかった頃のミラン。


彼は同意していない。


ミランは視線を落とす。


「新しい人生を与えられる」


「家族も、温もりも、未来も」


「だが――それはずるだ」


無償の贈与。


真実なき親切。


彼の両親は今も存在する。


父――かつてのドラゴン・モナーク。

今は魔界に縛られた巨大魔的存在。


母――魔王女。

永遠。

不変。


エミリア――氷霜モナーク。


彼らは老いない。


子供には永遠はいらない。


時間が要る。


ミランは目を閉じる。


初めて、役割のない悲嘆を感じる。


涙が落ちる。


水ではない。


金。


凝縮された意味。


その雫は、


層を貫き、

法則を越え、

封鎖を越え、

アストラル境界を越え、


クリムゾニアの門へ落ちる。


子供には親が必要だ。


世界が与えられないなら――


物語が与える。


ミランは背筋を伸ばす。


玉座がわずかに調整される。


権限ではない。


意図。


ミランは本を開く。


現実が身を乗り出す。


これは修復ではない。


均衡でもない。


「慈悲だ」


ミランは言う。


光の筆が触れる。


書く。


歴史ではない。


預言でもない。


法の上の法。


彼は消さない。


取り消さない。


空間を足す。


方向なき領域。

質量なき領域。

腐敗なき領域。


魂の世界。


裁かれず、

消されず、

命じられず、


休める場所。


書き終える。


世界は抵抗しない。


「影」


「連れて来い」


影は消え、戻る。


二つの器。


一つ目:元のミランの身体。

二つ目:クロノアの旧器。


「十分だ」


影が言う。


「二つのドラゴン器」


ミランは頷く。


「交差点になる」


「通過点」


エーテルが応える。


玉座が現れる。


存在が座る。


「ジンウ」


名が固定される。


アンデッドと魂の皇帝。

記憶の守護者。

裁かない。

導く。


エミリアが前へ。


「クロノアの身体を取れ」


移行完了。


残る魂。


父と子。


「家族として生きろ」


エーテルが包む。


老いる身体。


有限の時間。


愛が意味を持つ。


完了。


エーテルが流れる。


ミランは言う。


「魂はエーテルを持つ」


ワールドシステム:


新基本元素:エーテル

領域:魂/霊/遷移

状態:安定


現実が再開する。


どこかで子供が笑う。

世界の外の円卓


ミランが書き終えたとき、

爆発はなかった。


反応もない。


抵抗もない。


それが最も不安だった。


本は彼の手の中で閉じた。


もはや温かくない。

もはやエーテルを帯びていない。


魂の世界は背後で安定している。


ドラゴン・モナークの系譜は偽りなく復元された。


――終わった。


そう思えた。


ミランは人類大陸へ意識を向ける。


慎重に。


修正ではない。


観測のため。


彼は手を上げる。


筆が浮く。


そのとき――


声。


外でも内でもない。


神でもない。


システムでもない。


可能性。


「止めるべきだ」


ミランは凍る。


「……何だ?」


「まず時間とヴァストに会え」


「その後で戻れ」


「すでに、お前はやってはいけないことをした」


沈黙。


「……何を?」


「宇宙を作った」


言葉は響かない。


落ちる。


ミランの呼吸が詰まる。


「いや」


「俺は法則を変えただけだ」


「エーテルを導入した」


「安定化を――」


「完全な存在層を定義した」


可能性は遮る。


「世界を修復したのではない」


「存在を定義した」


ミランは目を閉じる。


「なぜ止めなかった」


「警告できない」


「警告した瞬間、それは可能性になる」


ミランは理解する。


「世界システム」


「ヴァストと時間を召喚しろ」


現実が震える。


関連性による召喚。


空間ではない。


時間でもない。


意味。


二人は到着する。


円形プラットフォームが展開。


四つの玉座。


円卓。


クロノアが言う。


「ミラン、大丈夫?」


パンドラも。


「お前、変だぞ」


ミランは答えない。


「そこにいるのは分かっている」


沈黙。


「出てこい」


別の声。


子供の声。


「休みなさい」


クロノアがよろめく。


パンドラが息を呑む。


形が変わる。


彼らの真の姿。


そして――


可能性が前へ。


ミランから。


光が分離。


ミランは霊として顕現。


四者が座る。


時間。

ヴァスト。

可能性。

ミラン。


沈黙。


統治者ではない。


参加者。


物語はここから軽くならない。

円卓は静止した。


誰もすぐには話さない。


空虚は無ではない。


思考のための空間。


最初に口を開いたのは――ミランだった。


「俺は壊した」


彼の声は静か。


「直そうとして」


クロノアは眉をひそめる。


「ミラン……」


「否定しなくていい」


ミランは遮る。


「俺は理解している」


彼は可能性を見る。


「お前は警告した」


「だが、お前は止めなかった」


可能性は頷く。


「止められない」


「なぜなら」


「お前は『作者』だから」


沈黙。


パンドラが低く笑う。


「……ああ」


「つまり」


「俺たちはキャラクターで」


「お前は書いてる側か」


ミランは首を振る。


「違う」


「俺もキャラクターだ」


可能性が続ける。


「だが、お前は同時に『作者影』を内包している」


クロノアの目が見開かれる。


「影……?」


「世界は物語として構築されている」


可能性は言う。


「お前はその物語の中に生まれ」


「だが、同時に」


「その物語を書いた存在の影を持っている」


パンドラが腕を組む。


「だから世界システムがひざまずいたのか」


可能性は頷く。


「お前は完全な作者ではない」


「だが、もはや通常の存在でもない」


ミランは静かに聞く。


「だから」


可能性は続ける。


「お前が新しい宇宙を定義した瞬間」


「それは『改変』ではなく」


「『創作』になった」


ミランは目を閉じる。


「……取り消せるか?」


可能性は首を振る。


「できない」


「だが、放置もできない」


クロノアが息を吸う。


「じゃあ、どうすれば――」


可能性は答える。


「責任を持つ」


沈黙。


重いが、避けられない。


ミランはゆっくり頷く。


「……分かった」


パンドラが苦笑する。


「相変わらずだな、お前」


ミランは視線を上げる。


「俺はもう」


「神にも」


「救世主にも」


「支配者にもならない」


「だが――」


彼は四人を見る。


「作ったものは放置しない」


可能性は微笑む。


「それでいい」


クロノアも頷く。


「私も手伝う」


パンドラは肩をすくめる。


「仕方ないな」


円卓は光を放つ。


世界は動き出す。


だが今回は――


誰かの命令ではない。


選択だ。

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