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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

翌日

作者: 曲尾 仁庵
掲載日:2025/12/06

 あの日、私の時間は止まった。




 何も感じない。


 何の味もしない。


 視界はぼんやりとして、


 感触は痺れたように鈍い。


 不意に涙が溢れ、


 どうして泣いているのかも


 分からない。


 ただ、


『私が生きている』


 その違和感に


 立ち尽くす。


――どうして?


 答えの無い問いを


 繰り返し


 繰り返して


 一日が終わる。


 そして、


 同じ日の朝が来る。




 どれだけの『今日』が過ぎたのだろう。


 終わりのないどうしてを


 問い続けながら、


 浅く眠る。




 夢を見る。




 逆光の中に


 あなたがいる。


 あの日から過ごした年月を


 確かに重ねた姿で。


 ああ、


 もう私の背丈を


 追い越したんだね。


 もう


 お姉ちゃんだね。


 逆光で


 顔が見えない。


 手を伸ばそうとする私に


 あなたは背を向けて


 歩いていく。


 私は何かを叫んで


 あなたは光の向こうへ消えた。




 おもちゃのピアノが


 ポーン


 と鳴る。




 目が覚め、


 私は泣いている。


 けれどもう、


 その涙の理由を


 知っていた。




 あなたを失ったあの日、私の時間は止まった。


 けれど今、


 私は、


 あなたを失った翌日に


 立っている。



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