表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/456

10話 戦闘訓練

挿絵(By みてみん)

「さて、みなさん。今日は実践的な戦闘訓練を行います」


 アルフレッド先生の声に、教室中が緊張感に包まれた。遥斗の心臓は激しく鼓動を打ち始める。


(戦闘...本当にやるんだ)


「では、私について来てください」


 アルフレッドに導かれ、クラスメイトたちと共に遥斗は学舎の一角にやってきた。そこには不思議な光の壁のようなものが張られていた。


「ここが魔力フィールドです」


 アルフレッドは説明を始めた。


「この中では、人間もモンスターも許可がなければ出入りできません。また、ここで魔法やスキル、技や道具を使っても、外部には影響が出ません」


 生徒たちは興味深そうに周囲を見回している。


「それでは、実際にモンスターを召喚しましょう」


 アルフレッドはポケットから小さな箱を取り出した。


「これは『エーテルケージ』という魔道具です。中にはモンスターが封印されていて、自由に解放することができます」


 そう言うと、アルフレッドは箱を開けた。突然、白い光が溢れ出し、目の前に大きな影が現れた。


「わっ!」遥斗は思わず後ずさりした。


 光が収まると、そこには大きな兎のようなモンスターが立っていた。長い耳と強そうな後ろ足が特徴的だ。


「これは『バウンドホッパー』と呼ばれるモンスターです」アルフレッドが説明する。


「速く動き回るので、注意して」


 生徒たちにナイフが配られる。遥斗は震える手でナイフを受け取った。


「では、始めなさい!」


 アルフレッドの合図と共に、バウンドホッパーが動き出した。驚くべき速さで跳ね回り、まるで生徒たちを挑発するかのようだ。


 貴族の子弟たちが真っ先に攻撃を仕掛ける。エレナも冷静な表情で動きを読み、的確に攻撃を繰り出していた。トムも必死に食らいついていく。


 しかし遥斗は、ただ立ち尽くすことしかできなかった。


(速すぎる...何も見えない)


 必死に動こうとするが、足が思うように動かない。そのとき—


「危ない!」


 誰かの声が聞こえたと思った瞬間、強烈な衝撃を受けて遥斗は吹き飛ばされた。


「ぐっ...」


 地面に倒れ込む遥斗。バウンドホッパーの攻撃を受けてしまったのだ。


 痛みで目が霞む中、エレナの姿が見えた。彼女は優雅に跳躍し、鮮やかな一撃でバウンドホッパーを倒した。


 モンスターの姿が光となって消えると、そこに何かが落ちた。


「これが『ホッパーの毛皮』です」アルフレッドが拾い上げる。「モンスターを倒すと、このようにアイテムをドロップすることがあります。これは錬成に必要な素材になります」


 生徒たちの間で歓声が上がる。


 アルフレッドが続ける。


「さて、経験値ですが。経験値はダメージを与えた量に応じて分配されます。みなさん実感できますか」


 何人かの生徒が喜びの声を上げた。どうやらレベルが上がったらしい。


「遥斗くん」アルフレッドが遥斗に近づいてきた。


「残念ながら、君は経験値を得られていないはずです。バウンドホッパーにダメージを与えられませんでしたから」


 遥斗は顔を伏せた。


(悔しいけど僕には向いてないよ...)


「遥斗くん、大丈夫?」トムが心配そうに声をかけてきた。


「あ、うん...」遥斗は少し恥ずかしそうに答えた。


「ごめん、色々考えてた」


「何を?」


「この世界のこと。モンスターのこと。魔法のこと...」


 遥斗の目が輝いていた。


「全部が不思議で、もっと知りたくなっちゃって」


 トムは少し驚いたような顔をした。


「へぇ、そうなんだ。僕はただ怖かっただけだけど...」


 遥斗は苦笑いした。確かに怖かった。でも、それ以上に興味深かった。


(僕には戦うことはできないかもしれない。でも、それでも!)


「よし」遥斗は小さく、しかし強く呟いた。


「もっとこの世界のこと、勉強しなきゃ」


 遥斗の口元に、小さな笑みが浮かんだ。

挿絵(By みてみん)


遥斗と一緒に転移したクラスメート、「中村 大輔」です。

職業は竜騎士。

ドラゴン連れてないけど(;´・ω・)

警察官だった父にあこがれて、いずれはその道に進みたいと考えています。

皆を守る事に特化しているので、タンクの役割を一身に担っております。

(損な役割だ……)

行動原理は「優しさ」。

皆のお兄さん的なポジションですが、誰も言う事を聞いてくれません。

頑張れ!僕らのアニキ!


「プロヴォーク!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ