エピローグ
僕は、最終試験から吉野さんの映画の封切りまでの二年の間に未熟ながら自身のカウンセリングルームを構える事となった。
同時に茜ちゃんも独立した。事務所は水亀カウンセリングルーム、そのお隣りに根駒カウンセリングルーム、その隣りに僕の九条カウンセリングルームだ。部屋内には隣りに通じる扉があり、あんまり独立した感は無い。茜ちゃん担当の妖怪と、僕の担当の人との関わりが強過ぎて、常に茜ちゃんとの部屋を行ったり来たりだ。
あと、嬉しいお知らせもある。水亀カウンセリングルームの隣りの根駒カウンセリングルームの逆隣りにカフェが出来た。そのオーナーさんがすごく美人らしい。まだ、会った事はないけど。
あ、あと忘れてはいけないお話し。
今回のメインクライアントは吉野さん所属の芸能事務所だった。この事務所の社長からの依頼だったようだ。この事務所の社長は弁財天。超有名な芸事の神様だ。
僕の試験とこの法人クライアントからの依頼が同時並行していたようだ。これは試験官の茜ちゃんも聞いていなかったとの事だ。
そして、この社長が強烈な人だった。いや、神様で、芸能事務所に茜ちゃんにスカウトの声をかけ、僕にも声をかけ、更には、水亀先生にもスカウトの声をかけた。当然、みんな断った。その答えに、若干、不満そうな顔を見せながら、「また来るね!」と快活に言って、窓から雲に乗って去って行った。映画のCGを見ている気分だったが、これが僕の現実なのだ。
人は、いや、神様も妖怪も目の前に見えるものが自身の世界になるのだろう。だから、精神的な病もクライアントも様々だ。水亀先生のクライアントは神様、茜ちゃんのクライアントは妖怪、僕のクライアントは人間。
そんな境界線も無意味なのかもしれないと思う。今日この頃である。
「では、本日のカウンセリングお疲れ様でした。また、必要がありましたら、いつでも気軽にいらしゃって下さい。歓迎致します。」




