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二年後、吉野さんの映画鑑賞会

 吉野さんは、岡山で別れてからとんでもないスピードで映画の脚本を書き上げた。まさに、鬼神の如く。文字通り、鬼も神も手伝ったのかもしれない。


 そんな吉野さんの脚本の映画『シン・桃太郎』満員御礼の大ヒット!とはいかなかった・・・。


 しかし、何故か全国の映画館で上映され、不思議な噂話しで持ちきりになった。映画館にお化けが出るらしいという噂話しだ。更には、この噂話しのせいか、ロングランとなった。申し訳ないけど、映画は良い出来とは言えなかった。それは吉野さん先行上映会で自身も言っていた。


「この作品で、私は主演俳優という視点から、原作、脚本、監督、全ての制作スタッフ、登場人物の視点に立つ事が出来ました。正直、エンターテイメント作品としては未熟な作品だと思います。しかし、未熟ながらも、今の私の全てを、魂を込めて、護国の恩人にメッセージを伝えることは出来たと思っています」そう言って、吉野さんは頭を下げ、そのまま、平伏するように倒れ、救急車で病院に運ばれた。


 もしかしたら、吉備津彦神社に運ばれたのかもしれない。今の僕には吉野さんの後ろで、吉野さんの肩を抱える鬼たちがしっかり見える。きっと、これから、この国の鬼と神に労いを受けるために運ばれていったのだろう。吉野さんの口元が笑っていたように見える。


 吉野さんは、映画の封切り前の先行上映に呼んでくれた。それもご丁寧に岡山の映画館に・・・。当然、吉備津彦命、温羅など、吉備国の錚々たるメンバーとの再会に緊張した。二年前の僕では感じる事が出来なかった緊張感で、正直、映画鑑賞どころではなかった。その先行上映後の吉野さんが倒れたインタビューの言葉で、この国の神と鬼と妖怪と、そして、人が跳梁跋扈するスタートが切られたようだ。まさにまさに封切られたのだ。


 温羅の言葉

「死して護国の鬼となる」

 温羅はその後、死なずに、いや、死ねずに生きて苦しい道を歩むことになるが、この国には文字通り、死して護国の鬼となった者たちがたくさんいるのだろう。

 その者たちが、今のこの国の有り様に怒りを覚えているのだろうか?

「こんな国のために我は死んだのか?殺されたのか?殺したのか?互いが命を散らしたとしても信じる国の未来を護る鬼となる覚悟で切り結んだのに」と・・・。


 この国に鬼、怨霊、幽霊、妖怪、神と呼ばれる者たちの悩みが増えるならば、必然的に不可解な事件も事故も起きる、それを想定しての二年前の僕の試験だったのだ・・・。ここまでの二年が緩かったとは思わないが、これから本格的に僕はカウンセラーとしての険しい道を歩むことになる。


 かくて、この世は化物で溢れる世界になった。


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