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戦の始まり

 正式に四道将軍が決まった。つまりは、戦が始まるということだ。

 四道とは、北陸、東海、丹波、西海を指す。それぞれの道に将軍は歩を進め、帝からの教えを受けない者があれば兵を挙げて伐つよう印綬を授けられている。中央に従わねば、問答無用で攻撃を許される証。


 北陸にはオオヒコノミコト、東海にはタケヌナカワワケノミコト、丹波にはタンバノミチヌシノミコト、そして、西海には、キビツヒコノミコト、つまり、イサセリヒコとワカタケル兄弟である。


 水亀先生の力で、時間と場所が変わった。目の前にいるのは、後の吉備津彦命と兄。


 兄のイサセリヒコが弟に話しかけている。


「ワカタケ、これから始まる戦は今までの盗賊や山賊の征伐とは違う。敵は強く、辛いことがあるかもしれない。それでも共に来るか?」


「当然です。音もします。しかし、何故、今までの征伐とは違うのですか?何故、敵は強くなるのですか?」


「これからの戦は、お互いが正義だからだ」


「お互いが、正義、ですか・・・」


「正義のぶつかり合いに妥協は無い。全身全霊の力を使って殺し合うことになる。山賊や盗賊のように逃げたりはしない。我々、四道将軍も正義の名の下に命を賭けて、自らの正義を行うことになる」


 イサセリヒコの背負っている物の重さ、辛い気持ちがひしひしと伝わってくる。見ているこちらがその重さで押し潰されそうになる。しかし、イサセリヒコは強靭な精神で真っ直ぐ弟のイサセリヒコを見つめて言う。


「それでも来るか?そなたは四道将軍ではない。そんな正義を背負う立場にはない。ここで帝を守るという選択肢もある」

「兄上、見損なわないで下さい。私も兄上と同じ孝霊帝の子です。私は私の正義を分かっているつもりです。私は兄上の役に立ちたい。このヤマトのために命を賭ける覚悟はできています。どうか共に行く事をお許し下さい」


「分かった。余計な事を申してすまなかった。では、犬飼、猿飼、鳥飼、ここへ」


 その声に三人の者が現れた。いつの間に現れた彼らの姿、身のこなしは忍者のようだが、出立ちは三者三様だ。ワカタケルの後ろに膝を着いた。ワカタケルは後ろを振り返る。


「では、ワカタケル。其方にこの三人を付ける。其方らの任務は吉備津の国の探索だ。」


 ワカタケルが後ろを振り返る。三人がより深く頭を下げた。その者らに向かって声を発した。


「これより、我ら四人、イサセリ将軍の命により、吉備津の国の探索を開始する」


「四人で斥候のような役目を行うのですか・・・?」


「斥候というより、潜入だな。イサセリ将軍は有能だが、それ故に、弟のワカタケに残酷な任務を課した・・・」


 先生から温羅さんと呼ばれていた黒衣の者が憂いを帯びた表情で言った。この人は一体何者なのだろう?そう思いながら、聞いたことがある名前だなとも思い「うら、うら、うら?」と呟いていると、その呟きに茜ちゃんが応えた。


「温羅は桃太郎伝説の鬼ヶ島の鬼だよ。鬼の親分」


「え?だったら、吉備津彦の敵じゃないの?」


「そうだよ。敵も敵、日本史上最も有名な鬼だからね。最強の宿敵だよ」


「でも、全然、敵じゃなさそうだよ」

「それを見るために岡山に、そして、この時代にはるばる来たのですよ」

 水亀先生がいつの間にか僕の後ろから声をかけた。その後ろにいる吉備津彦命と吉野さんを見ると、吉野さんは放心したような顔をしている。おそらく、吉備津彦命から何か聞かされたのだろう。温羅と呼ばれた鬼は腕を組んで目を閉じている。


「では、次は鬼ヶ島潜入を拝見に行きましょう」

 そう言って、先生は右手を軽く捻った。また、景色が変わった。場所が変わったからなのか、だいぶ風景が違う。


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