彼の子供を産めるのだろうか?
今日は少しエチで黒いですけど、それなりに考えました(^^;)
気の置けない真奈美との久しぶりの女子会で……
彼女は今回の『初産』について気炎を吐き、最後をこう結んだ。
「ホント!死ぬかと思ったし!!……色々あれこれたくさん!!気も遣った!! もっと若い……アラサーになっていない内だったら、もう少しマシだったのかもしれない! でもそんなのを全部合わせてもそれを越えるに有り余る可愛さなの!! 颯真は!!」
『子供~?! ウザいじゃん!!』ってスタンスだった真奈美がこんな事を言うなんて……変われば変わるものだ!
「ママになって子供が好きになった?」
「好きなのは颯真だけよ! 他の子供なんて興味ないわ!」
「じゃあ、颯真くんの弟か妹は?」
「それは今は考えられないかな……『こんなハードな事、二度はしたくない』って思っちゃってるし、ダンナとはまだ“没交渉”だしね……」
そう言いながら真奈美はカヌレを口に運び、口角に付いた粉糖をチロッ!と舐めた。
真奈美は昔から……半ば無意識に煽情的なふるまいをし、私の目の前のオトコを総ざらいした事もある。
「昔っから……アンタには負けるよ」
「何言ってんのよ!今じゃバリキャリのアンタの方がステイタスは上よ!」
「私は単に不器用で……ワーカーホリックだっただけよ」
「ん? だった?! じゃあちょっと変わったって事?」
そう聞かれた私は自分の近況を言いたくもあるし言いたくなくもある。
「うん……まあ……最近……ね」
「えっ?! 何?何? アンタにゲーム以外の趣味ができた?」
「いや、そのゲームでなんだけど……」
「浮いた話でも持ち上がった? 『ネットの向こうのカレに惚れちゃいました』とか?」
「はい……で、リアルで会って……お付き合いしてます、一応……」
「えええ??? 同い年くらい?」
「ううん! 干支一回り離れてる!」
「ちょっと!! 不倫はダメよ!! アンタにうまくできるわけないんだから!! ただの都合のいい女に成り下がるだけよ!!」
「不倫じゃないから!! 絶対ないから!!」
「でも40過ぎのゲーム好きな独身男かぁ~微妙だなぁ……」
「違うの!!」
「違わないよ! アンタとガチでゲームの話ができるんだからゲームオタに決まってるでしょ?! ちゃんと仕事してる人なの??!!」
「してない。だってまだ学生だもん……」
「ええええ???!!!」
と叫んだ真奈美はついでにテーブルをガチャン!とさせた。
「ちょっと!! どういう事?! カレシって大学生?!」
詰め寄られた私は逡巡したが……俯いて白状した。
「高校生……」
「ぬあにぃ~!!」と息巻く真奈美はすっかり“やんちゃ時代”に戻っている!!
「アンタ!『青少年保護育成条例』って知ってる?! あれは男女同権だからね!! お縄になるよ!! まだ毛も生えてない様な男の子に手を出しちゃ!!」
「ならないよぉ!! 第一!! 見たこと無いし!!!」
そう言い返す私を疑い深くジト目で見ながら真奈美は言葉を継ぐ。
「ホント~??!!」
「私がオトコ受けしないのはアンタが一番知ってるでしょ?!」
「だからよ!!アンタが“肉弾戦”を仕掛けたとしか思えない!!」
「だからしてないって!! そんな勇気ないもん……」
でも本当は……キスはしました。ふわっと触れるキスを……こんなに息巻いている真奈美の前では言えないけど……
「んで、どんな奴よ!そのゲームオタは……」
「あのねえ!! 秋くんはオタじゃないよ!! アタマいい子でさ!地元じゃ見合った高校が無く、私立の超一流の進学校に通うんで1DKのマンションに独り住まいしてる!」
このスマホの中に……本当は『秋人♡』とスタイラスペンで手書きした一推し画像があるのだが、恥ずかしいので……この間、動物園で撮ったツーショットが画像を見せた。
「ゲエーッ!! スッゴイ美少年じゃん!! アンタのこの顔!! ぶってるオンナがアオハルの少年に“淫行”する画にしか見えん!!」
「酷い!!!! そこまでディスること無いでしょ!!」
仕方ないとは思いつつ真奈美に食って掛かった私は……不覚にも“鬼の目にも涙”をしてしまった。仕事でも泣いたことないのに!!!
真奈美はため息をついてハンカチで私の涙を抑えて尋ねた。
「名前はなんて言うの?」
一度バカになってしまった涙腺はおいそれとは閉められず、みっともない状態の私はハンカチを握りしめて鼻を啜った。
「秋人……秋くん」
「そっか……『アキしか勝たん!』だね…アンタ!ホンキのホンキ?」
私はただただ頷く。
「まあ……アタマが良くってこんなにも可愛い子じゃ……気持ちは分からんでもないけど……これは実らない恋だよ」
言われる事は分かっているので私は必死でこれ以上崩れるのを堪えた。
「今は男子校でオンナ知らなくてアンタにぞっこんだとしても……大学生になれば周りのオンナどもがほっておくわけ無いし……そいつらすべてに打ち勝つ手練手管なんて……多分……いや、絶対無いよ!! だから、アンタ達、お互い食うだけ食ったらサッサと別れた方がいい!」
私は何も言えず、目の前のカヌレを見つめている。
真奈美は3分の2ほど削り取られたカヌレの横にフォークを置いて私の顔を覗き込んだ。
「私、今、スッゴクやっかんでるんだけど……それだけじゃないから!! 私達、今年三十でしょ!秋くんがどうにか結婚できる年頃には私達はアラフォー!! それだけでも恐ろしく大変だよ! アンタだってゆくゆくは子供欲しいんでしょ?!」
「別に結婚とかは……」
「そりゃ!秋くんが考えるわけないじゃん!! でもアンタは考えなきゃ!! 正直、
ダンナの実家とか……まあ、ダンナそのものもだけど……煩わしい事は少なからずある!でもね!生きて行く上で家族があるって大きな支えだよ!! 恋だけじゃなかなか生きられないから……」
「でも私は!!……こんなに恋したの初めてなんだもん!!」
涙声で訴える私に……真奈美はとても辛そうに話してくれた。
「これは言うまい!!って思っていたんだけど……アンタ!向うの親、特に母親と絶対うまくいかない!! 私だって……もし颯真が……三十路の年増女に篭絡されたら怒り心頭で!! 一生、恨むから!! 結婚どころか!! 秒で別れさせるよ!! それが大人でしょ!! だからさ! 秋くんの事を愛してるのなら、ほんの短い間だけ、それこそカラダも心も一杯に愛情を注いであげて……カレに見合う相手にバトンタッチしてあげるんだね! そうすればアンタは秋くんの記憶の中で『忘れられない素敵な女性』として生き残れるよ」
真奈美の言う事はいちいちもっともだ!!
秋くんに対し、拭い難い負い目を背負ってカレを諦めよう!!
だから私は……真奈美と別れた後、独りで飲みに出掛けた。
かつて“若気の至り”でそうしたみたいに……“ワンナイトラブ”の相手を探して……
でも私を相手にしてくれるオトコはどこへ行っても現れず、しこたま酔っぱらった私は、事もあろうに秋くんのマンションのインターホンを押していた。
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「ワインで酔うと、こんな吐息になるんだね」
秋くんはウォーターサーバーから汲んだ冷水でひんやりしたグラスを私のくちびるに当ててくれた。
「さっ!飲んで!」
私のくちびるが渇き求めるのはカレの愛情なのか、醒ます為の冷水なのか……
とにかく私はグラスの中身をほぼ動物的にグビリグビリと飲み干した。
ああ、情けないオトナ……
空のグラスを見つめていると
「汲んで来ようか?」
と優しく訊かれて、ますます惨めになる。
「秋くん……ごめんね 私なんかが押し掛けて」
秋くんは私の前で正座してグラスを持つ私の手に、そっと自分の手を重ねた。
「麻衣さんが訪ねて来てくれて僕はとても嬉しい。僕は確かに脛かじりのガキだけど、麻衣さんが僕を頼ってくれたのなら……それが誰かとの失恋の結果とかでも……僕は……僕にできる事をしたいと思ってる!! ガキの言う事なんて信じてくれないかもだけど……僕は麻衣さんを愛しているから!!」
私はその後、泣きじゃくりながら……酔っ払いの口臭で秋くんの事を汚染しまくって……
“オトナを演じる為にコンビニで購入した0.02mmの箱”を役立ててしまった。
今、裸の胸に抱くカレは恋人であり、その愛おしさは弟や子供にも通ずるのかもしれない。
だからこそ!!
この胸から巣立たせるのもできるのかもしれない。
でも、とにかく
先の事には目を瞑って
今は私のぬくもりをカレに
カレのぬくもりを私に
伝え合いたい!!
唄に出て来る様な
カレのシングルベッドの上で……
おしまい
時間切れでだいぶ端折ってしまいました<m(__)m>
機会があれば、補填したいなあと思います(^^;)
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