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第31話 同棲準備

「ん……うん……?」


 目を覚ますと、隣で寝ていたはずのサリナの姿はなかったが、キッチンの方から食欲をそそる良い香りが漂ってきていた。

 もしかして、サリナが何か作ってるのだろうか。


 俺は体を起こしてキッチンへと向かった。


「ユウくん起きたんだね。よく眠れた?」

「うん、最初は緊張で眠れないかと思ってたけど昨日は色んなことがありすぎたから疲れてたみたいでよく眠れたよ」

「それならよかった。もうすぐできるから座って待っててね」

「わかった」


 やはりサリナはキッチンで朝食を作ってくれていたみたいだった。

 ソファに座り、朝食が出来上がるのを待った。


 ここから見るサリナの姿がまるで家族のために朝食を作る新妻のようにみえて、俺は一人で顔が熱くなってしまう。

 そんなことを考えていると、朝食の用意ができたようでサリナが料理が盛り付けられた皿を運んできてくれる。


「おまたせー、食べよっか」

「そうだな」

「「いただきます」」


 サリナが用意したのは、白いご飯に、みそ汁、焼き魚、納豆、お漬物など。

 ザ・日本の伝統的な朝食と言った感じで栄養バランスもしっかりしており、とても美味しそうだ。


 まずは味噌汁を飲む。

 コクのある味でとても味わい深かった。


 その後も朝食を食べたのだが、どれも料亭でだされてもおかしくないほどの美味しさをしていた。サリナはもし、ダンジョン配信者やモデルをやってなかったら料理人にでもなれたんじゃないだろうか。


 サリナの作る料理を食べるたびに毎回、そんなことを思う。


「どう? 美味しいかな?」

「全部美味しいよ。まるで料亭の料理を食べてるみたいだ」

「ユウくんは本当に褒め上手だね。料亭は言い過ぎじゃない?」

「そんなことないよ。本当に美味しいんだよ」

「そっか。ありがとう。でも、これからは毎日食べれるよ」

「俺は幸せ者だな」


 朝食を食べ終えた俺たちは部屋の荷物をまとめ始めた。

 できるだけ早めに荷物をサリナの家に運んでおきたいな。


「ユウくんこれも持っていくよね?」

「それ重いから俺がやるよ」

「ありがとう。じゃあ、私はあっちの荷物をまとめるね」

「ありがとう」


 荷物をまとめるのにそこまで時間は掛からなかった。

 俺がそこまで多くのものを持っていなかったからだろう。


 一時間ほどで部屋内のすべての荷物をまとめ終えることができた。

 あとは、この荷物を運んでくれる業者の人たちが来るのを待つだけだ。さすがにこの荷物を全部自分たちで運ぶのは大変だから、そこはプロに任せよう。


*****


「運び終わったね」

「やっぱ業者さんは慣れてて運んでいくの早かったな」

「そうだね。これで一緒に暮らせるね」

「そ、そうだな」

「寝室は一緒でいいよね?」

「あ、うん」


 そっか。

 寝室は一緒になるのか。そりゃそうだよな。

 最初は緊張しっぱなしだろうが、じきに慣れていくだろう。


 というか、やっぱりサリナの家は広いな。高級なマンションぽいし、とても快適そうだ。

 あ、これからはサリナの家じゃなくて俺たちの家になるんだよな。


 そう思うと、どうしても緊張してしまうな。


「それじゃ、荷解きタイム!」

「あはは、そうだな。早く終わらせちゃおうか」


 俺たちは二人で荷解きをして荷物を収納した。


 サリナはソファでくつろぎながらテレビの電源を付けた。

 荷物を収納したりしていたら夕方になっていたのでどのチャンネルをつけてもニュースばかりが流れていた。


「ニュースしかやってないね」

「サリナはニュース見るよりバラエティー番組とか見る方が好き?」

「うん。一人でいるときはいつもバラエティー番組ばっかり見てるよ」

「そうなんだ。俺はそもそもあまりテレビを見なかったからな。最近は少し見るようになったけど」

「ずっと鍛錬しててテレビを見てなかったんだっけ?」

「そう。見てもニュースだけだったからね」


 そんなことを話していると、テレビで流れているニュース番組で俺とサリナの姿が流れ始めた。

 俺は予想外のことに驚きのあまり咳込んでしまう。


「あれって」

「私たちがダンジョンでバケモノを倒したときの映像が流されてるね。それほどあのバケモノはこの街の人たちの脅威だったんだね」

「そうだよな。それなら倒せてよかった」

「街の人たちに笑顔が戻ってよかったよね」


 サリナが言う通りみんなに笑顔が戻って本当に良かったと思う。


「あ、そうだ」

「どうしたの?」


 俺は突然あることを思いついた。

 サリナは恐らく俺が何も言わなければ、明日にはまたダンジョンに行こうと言ってくるだろう。だけど、せっかく付き合ったんだし、このお願いくらいしてもいいんじゃないだろうか。

 そう思い、俺はそのあることをサリナにお願いしてみることにした。


「サリナって明日からまたダンジョンに行くつもりだった?」

「え、うん。そのつもりだけど……?」

「その予定キャンセルしてもらっていい?」

「いいけど、なんか予定があった?」

「なんというか、俺たちせっかく付き合ったし、二人で旅行に行かない?」

「旅行! 行きたいっ!」

「それじゃあ決まりだな。行き場所を今から調べてから決めようか」

「うんっ!」


 俺はサリナと旅行に行きたいと思っていたのでお願いしてみたら、サリナも行きたいと言ってくれた。



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