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窓際の君  作者: 気衒い
窓際の君〜現代編〜

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第三十七話:試験勉強

それは六月も半ばに差し掛かった時のことだった。突然、対面に座っていた皐月がこう言い出したのだ。


「そうだ!試験勉強をしましょう!!」


「試験勉強?」


「はい!!」


「それがクレアにアプローチするのとどう関係があるんだ?」


あの日、皐月の告白を聞かされてからというもの、俺はできる限りのことをしてきた。相談に乗るのはもちろんのこと、クレア本人に皐月を紹介し、さりげなく一緒に行動することでクレアとの仲を近付けたりと…………しかし、その効果は微々たるもので進展しているのか分からない程だった。優梨奈にも協力してもらっているが中々、いい案は浮かばないことが多く、俺達もどうしたもんかと頭を抱える日々。と、そんな煮詰まった話し合いの中、突如として閃いたとばかりに皐月がそんなことを言い出したのだった。


「はぁ。本当に如月先輩はアホですね」


「うぐっ」


「こらっ!拓也先輩に酷いこと言わないの!せっかく協力してもらってるんだから」


「ううっ、優梨奈〜ごめんって!そんなに怒らないで〜」


「謝る相手が違うでしょ?」


「…………如月先輩、アホだなんて言ってすみませんでした。あと、ご協力感謝します」


「今の"アホ"はわざと言ったよね?…………まぁ、いいや。それよりも皐月の真意をアホな俺でも分かるように簡単に教えてくれ」


「ええ、いいですとも!こほんっ。つまり、これは……………約三週間後に始まる1学期期末試験。その試験勉強にかこつけて、近付いてしまおう!…………というものです」


「期末試験…………そういえば、もうすぐでしたね」


「ああ、そうだな」


「この学園って確か、中間試験がないんでしたっけ?」


「ああ。通常、3学期制を取り入れている学園は中間と期末で分かれているところがほとんどだが、ここはそうじゃない。1学期・2学期共、中間試験がなく、代わりに期末試験が用意されているんだ」


「その分、範囲も広くなるって訳ですよね。うわ〜大変そう」


「新入生のことを考えてるんだろうな。まだあまり学園に慣れていない五、六月辺りに試験をやるのは酷だと……………まぁ、どちらがいいかは人それぞれだが……………で?皐月、試験勉強で近付くというのは?」


「みんなで試験勉強をするんですよ!!例えば、ここ図書室でとか、例えば、誰かの家とか……………すると、心の距離だけではなく自然と物理的な距離まで近くなりますよ?だって、分からないところをクレア先輩に教えてもらうってなったら、横にクレア先輩が……………ぐへへ」


「おい。学園の奴らには到底見せられない顔してるぞ美少女転校生」


「っと!これは失礼!……………まぁ、とにかくみんなで試験勉強をすれば何か良いことがあるのは間違いないってことですよ!だって単純に試験勉強だけでもテストの点が上がるじゃないですか!!」


「まぁ、それなら決して頭の良いとはいえない俺にとっても渡りに船だな……………よし、やるか」


「やったぁ!!」


「優梨奈、それでいいよな?」


「ええ。もちろん、私も参加させてもらいます」


「それはこっちがお願いしたいぐらいだよ。正直、俺一人だと手に余る」


「…………何ですか、その疲れた目は。まるで私のお守りが大変だと言わんばかりじゃないですか」


「あぁ、そんなことないよ〜…………それでメンバーはどうする?」


「そうですね」


「勝手に話を進めてるし!!ちょっと私も混ぜて下さいよ!!発案者は私ですよ!!」










「で、集まったのがこのメンバーと」


俺は自宅の玄関前に集まったメンバーを見回して、そう言った。


「こんな大勢では久しぶりね」


「よろしくね!」


「如月くん、呼んでくれてありがとう」


「こんな大勢で迷惑じゃないか?」


そこにはこの会の発案者である俺達の他に皐月の目的とする人物、クレア……………に加えて長月と神無月、さらには圭太までいた。俺を含めて総勢七名。今からこれだけの数の男女(高校生)が俺の家に入り、勉強会が行われるのだ。何かが起きてもおかしくない……………いや、きっと何かが起こるだろう。俺の直感はそう告げていた。








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