第七話:能力
「事前に説明した通り、あなた達に集まってもらったのは私達十二家にかけられている因果を断ち切る為です。そして、その方法を今からお教え致します」
「「「……………」」」
さっきまでのふざけた空気と違い、師走先生の話を黙って真剣に聞く三人。そのことから、この人達がどれだけこの問題に対して本気で取り組んでいるのかが窺える……………よし、私も頑張らないと!
「ステップ1。まずはメンバーを集める。これは如月家・睦月家・師走家・霜月家……………あとは保険で皐月家の者が必要となります。これは初代如月が最初に仲良くなったメンバー………………だからではありません。このメンバーでなければならない理由は神から授かった能力の都合上です」
「能力の都合上?」
「はい。既に皆さんも知っての通り、神は初代十二家の者達にそれぞれ能力を授けました。そして、その中でも特に強力だったのが如月の"時間"、睦月の"運"、霜月の"空間"、師走の"還元"……………これらです」
「………………確かに。今、考えるとその四つは特に強力だ」
「おそらく、神の中でも序列はあったのでしょう。ここから読み取れる法則性としては最初と最後の二つの家に重きを置いていた。だから、これだけ破格の力を授けてしまったんです」
「先生!最終的に神はその四家から能力を取り上げなかったんですよね?ということはその能力は今もなお、脈々と受け継がれているんですか?」
「察しがいいわね、ゆりさん。そうよ。現に私を含め、ここにいるメンバーは能力があることを自覚しているし、行使もできるわ」
「えっ!?あの、私は自覚もしていないし、使えないんですけど」
「大丈夫よ。そんな心配しないでも………………嫌でも自覚させられるから」
「そうなんですか?……………あ、それともう一つ!」
「何かしら?」
「このメンバーなのは本当に能力の都合上なんですか?他の十二家の人達は能力を取り上げられてしまったからとかではなく?」
「……………ゆりさん。それは裏を返せば、こうして集まった私達が能力を使うことになるとも受け取れるわけだけど」
「………………あっ!確かに」
「そこまでは考えてなかったのね。でも、私の今言ったことは本当よ。私達はこの後、能力を使うわ。ただ、勘違いしないで欲しいのは他の十二家の人達を選ばなかったのが彼らが能力を取り上げられたからじゃない。最初に言ったように純粋に能力の都合上なの」
「なるほど」
「ちなみに能力を取り上げられた十二家の人達だけど、稀に生まれてくる子供にその能力が宿ることがあったそうよ。これも神のミスのうちの一つね」
「本当におっちょこちょいなんですね、その神様」
「だからこそ、私達もそこに付け入る隙があるの。本来、私達人間が神に挑むなんて、許されざる禁忌でしょう。でも、状況が状況だし目の前に強力な手札があって、それを使わないなんてできないわ」
「ではどうすると?それが本題なのよね?」
オリヴィアお婆ちゃんが師走先生にそう促す。先生はそこで少し間を空けてから、こう言った。
「ステップ2。私達全員、能力を使って………………神に会いに行きます」




