第四話:使命
「………………というワケなの」
「………………」
師走先生から、ここ蒼最の成り立ちとそこから派生して両親のことについても聞いた私はしばらくの間、呆然としていた。そんな私の第一声は……………
「……………じゃあ、私が見たっていうのは」
やはり、あの時に見た精霊さんのことについてだった。
「そう。あなたの想像している通り………………葉月優梨奈さんだと思うわ」
「そ、そんな……………」
「確か、その時に彼女は何か呟いていたと言ったわね?」
「はい。生憎と聞こえはしなかったんですけど……………口は動いているように見えました」
「おそらく、彼女は何かを伝えようとして出てきたのね………………あら。これはあなたの求める超常現象ではなくて、オカルト話だけど、いいのかしら?」
「屁理屈はいいです。これはそんな小さな問題ではないでしょう?だって、もし先生の話が本当なら………………」
「なら?あなたはどうしたいのかしら?」
「えっ、それは……………」
「まさか、何とかしたいなんて思ってないでしょうね?」
「……………」
「いい?如月さん………………この問題がそんな簡単に解決できるのなら、私だってとっくにやってるわよ。でも、そうじゃないの。だからこそ、私は如月君達の卒業と同時に教職を一時的に休み、各地を回る旅に出たの」
「先生………………」
「とはいってもそこで得られた情報といえば、今あなたに伝えた蒼最の歴史だけ。まぁ、これも手に入れるのにかなり時間が掛かった情報なんだけど…………おかげで残り少ない時間で推測や結論を出さなければならなかったわ」
「推測や結論?」
「ええ。それこそ、この問題をどうしたらいいのかってこと………………如月さん、私もあなたと同じ気持ちなの」
「先生、それって…………」
「私はあなたの味方よ。一緒に頑張りましょう……………ううん、違うわね。おそらく、私の推測が正しければ、問題の解決にはあなたの力が必要不可欠………………だから、どうか!私に力を貸して下さい!」
先生はそこで徐に立ち上がり、床に着くんじゃないかってぐらい頭を深々と下げた。私は先生のその見たこともない態度に焦り、慌ててその行動を制した。
「せ、先生!頭を上げて下さい!むしろ、お願いするのは私の方ですよ!先生の話を聞いてたら、居ても立っても居られなくなりましたから!だから、私も先生と一緒に頑張りたいです!!」
「如月さん……………」
先生は私の言葉に対して、目を潤ませながら手を差し出してきた。そして……………
「「どうか、よろしくお願い致します!!」」
私達は同時に握手をした。
★
「ソフィアや……………聞いたかね?」
「柚葉ちゃんが戻ってきたらしいぞ」
「ええ、お母様、お父様。直接、挨拶に来たのでその際にお会いしました」
「ほっほっほ。そうかい」
「久しぶりじゃのぅ」
「ええ。お互い、随分と歳を取りました」
「……………やるのかい?」
「その道は修羅じゃぞ」
「彼女から既に聞いてるんですね?」
「「………………」」
「私はやりますよ。この役目は私にしかできない。大袈裟ではなく…………………私の生まれてきた意味はここにあった気がします」




