第三話:昔話
「……………なるほどね」
私は先生に対し、自分が幼い時に体験した不思議な話をした。先生はその最中、私のことを馬鹿にするでも呆れるでもなく至って冷静に聞いており、やはりその瞳はどこか遠くを見つめていた。そして、一通り聞き終えると短くそう呟き、組んでいた腕を解いて、右手で顎先を摘むような仕草をした。
「先生……………その時の私はおかしかったんでしょうか?それとも見間違いでもなんでもなかったんでしょうか?先生は各地を転々としていたそうなのでどこかでこのような話を聞いたり見たりしていないかと思いまして……………」
私は縋るような気持ちでそう訊いた。確かに文化祭での発表のこともある。しかし、それ以上に目の前のこの先生私の長年の疑問に何かしらの答えをくれる………………私の直感がそう告げていたのだ。
「率直に言うと………………私はあなたが見たものの正体を知っているわ」
「っ!?そ、それって!!」
「落ち着いて」
「あっ…………す、すみません」
私は興奮して、思わず先生に対して詰め寄るような態勢になっていた。そして、それを自覚した途端、私は自分の顔が真っ赤になるのもまた分かった。
「まぁ、あなたの気持ちもよく分かるわ。だって、長年の疑問に対する答えが突然目の前に現れた訳だから…………………それにしても今の反応………………ふっ。本当に親子なのね」
「親子?先生は私の父か母を知っているんですか?」
「はぁ。それすらも聞かされてないのね……………全く、あの子達は」
「?」
「一応、言っておくとあなたの両親のことはよく知っているわ。なんせ、この学園の卒業生だから」
「えっ!?」
「それと私がこれからする話にもあなたの両親は関わってくるのよ」
「先生って前にもこの学園にいたんですか!?」
「いや、驚くところがそこ!?他にあるでしょ。あなたの両親もここに通ってたのかぁ〜とか」
「いえ、別に。両親はかなりの変わり者なので今更、何があっても驚きません」
「た、確かに……………あの子達の担任だった時はそれはそれは苦労したもの………………そう。あなたも色々と苦労したのね」
「分かってくれますか!!あの人達、本当に無茶苦茶ですよね!!突然どっか行こうとするし、何か訳の分からないことをしたがるし、その癖自分達は至って普通って顔してるし………………それらに毎回、付き合わされる私の身にもなって下さいよ。っていうか、私なんかよりもよっぽど、あの人達の方が特別ですよ」
「お、落ち着いてね?変なスイッチ押しちゃった私も悪いんだけど」
「あっ……………すみません」
「まぁ、とにかく。あなたはあの二人の血を引いているという意味では特別なのよ。というか………………これから私がする話において、それが最も重要なことなの」
「先生が…………これからする話?」
「ええ。そして、この話は同時にあなたの知りたがっている精霊とやらの正体についても明らかとなる話よ」
そう言って、先生は居住まいを正すとそこから、ゆっくりと深呼吸をした。
「それでは私の話を聞いてもらいましょうか…………………長い長い、ここ蒼最の昔日について」
この後、先生の話を聞いた私はこれまで生きてきた中で一番の衝撃を受けるのだった。




