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窓際の君  作者: 気衒い
私の生まれてきた意味〜未来編〜

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第一話:超常現象研究部

私の名前は如月ゆり。蒼最学園に通う十七歳の高校二年生だ。今日は二年生になって、最初の日。幸い、去年出会って親しくなった友人も同じクラスになった為、私はウキウキとした気持ちで席に座っていた。後は担任の先生を待つだけである。聞くところによるとその先生はついこの間まで各地を旅して回っていた先生らしい。一体どんな人なんだろうか。


「あっ」


と、そんなことを考えていた時だった。徐に教室の扉が開けられたのは………………


「はい。皆さん、席に着いて下さいね」


そこから姿を現したのは後に私が深く関わることとなる担任………………師走柚葉先生だった。






            ★





突然だが、私は超常現象研究部に所属している。とはいっても部員は少数で活動も地味だ。予算も大して降りない為、活動の幅を広げることができず、普段は学園の図書館や身近な人から話を聞くことぐらいでしか、成果を上げることができない。しかもその成果というのもたかが知れたものだった。あくまでも部として、ただ活動するだけだったら、それでいいのかもしれない。しかし、私達には死ぬ気で頑張らなければならない理由があった。それは文化祭である。通常、文化祭はクラスでの出し物や文化祭委員、そして生徒会などが頑張るイメージだが、我が学園ではそれ以上に部活動での発表に力を入れている。というのもこの出来によって、予算や活動場所の拡充など活動の幅が広がる可能性があるからだ。だからこそ、()()できたばかりの超常現象研究部はより一層、頑張らなければならなかった。


「部長、そういえば新しいクラスはどうですか?」


「ん〜まぁ、普通かな」


私を慕う後輩の睦月暁子(きょうこ)がそう訊いてくる。暁子とは中学時代に知り合った。それから私を追ってこの学園に入学してきたのだ。彼女の現在の肩書きは副部長。私が卒業したら、彼女に部長を任せようと思っているけど、果たして彼女がいつまでこの部にいてくれるのか、そもそもそこまでこの部が存続できるのか………………非常に頭の痛い問題だった。


「部長、何をそんなに悩んでいるんですか?」


「いや、文化祭がね」


曇りのない瞳で純粋な疑問をぶつけてくる暁子。この子は常にこうだ。先輩ではなく部長として私を立ててくれている。だから、少数とはいえ部がまとまっているのだ。本当、彼女には助けられている。まぁ、入部したばかりの彼女が副部長を務めることに何か思うところがある人もいるのは確かだけど……………


「そんなに大変なんですか?」


「ん〜まぁね」


「そうだ!部員の募集をかけましょうよ!確かこの学園って、入部に期限とかないんでしたよね?」


「って言ってももう四月も後半よ?一年生はとっくにどこかに入部してるでしょ。ほら、あんたみたいに」


「何言ってんですか!私は入学したその日のうちに入部しましたから!私は例外ですよ!その辺のミーハーと一緒にしないで下さい!!」


「自分で自分のことを例外なんて言う人、初めて見た。あと、後半部分は色んな人を敵に回すからやめな?」


「やっぱり、部の名前に問題があるんじゃないですか?そもそも今年も私しか入部してないですし」


「うっ……………じゃあ、どんな名前がいいのよ」


「ズバリ!超常現象部!!」


「それじゃ、まるで私達が超常現象を起こしてるみたいじゃない」


「え?起こしてますよね?」


「どこで!?」


「私と部長が出会ったのもおそらく超常現象ですよ!それか運命!いいや、大昔に決められた何らかの……………」


「あぁ、はいはい」


私は暁子のあまりに突飛な物言いに思わず、こめかみを抑えた。むしろ、この子自体が超常現象なんじゃないの?


「そもそもなんですけど」


「ん?」


「何でこの部を設立したんですか?超常現象なんて、中学の時はまるっきり興味なかったですよね?」


「いや、そんなことないよ。小さい頃から、そういった話を聞くのは好きだったし、未確認生物とかが載ってる雑誌は今でも時々、買うから」


「えっ!?そうなんですか!?私、そんなこと知りませんでしたよ!」


「だって、そんなのいちいち言うことじゃないでしょ。趣味にしても地味なことだし」


「そういう問題じゃないんです!先輩のことは何でも知っておきたいんです!!」


「お〜い、先輩呼びに戻ってるぞ」


「はっ!?す、すみません……………と、とにかく!部長は超常現象に昔から興味があったと……………で、他に隠してることはありますか?」


「ん〜ないと思うけどな……………そもそもそれも隠してた訳じゃないし」


「ちなみにそういうのに興味を持つキッカケって何だったんですか?」


「うん。それがね………………信じてもらえないと思うんだけど」


そこで少し間を空けた私は彼女へ向けてこう言った。


「私が三歳の頃、とあるお墓で出会ったの……………精霊さんに」







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