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窓際の君  作者: 気衒い
蒼最の昔日〜過去編〜

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第六話:報告

「おい、卯月」


「は、はい!!」


「お前が神の元へ通うようになって、今日でちょうど半年だな」


「そ、そうですね……………」


「流石にそんだけ如月のことを告げ口すれば、神から何かしらの天罰が奴に下るかと期待していれば………………何故、一向に進展がないんだ?」


「え、ええっ!?」


「何を驚いてんだよ!白々しいのも大概にしろ!」


「い、痛いですって!叩かないで下さいよ!」


「お前、ちゃんとやってんだろうな?本当はどこかでサボってたりしないよな?」


「………………」


「おい!」


「だって、文月さんや他の方々も如月に思うところがあるっていうから、僕も協力したのに………………実際は神に対して如月に関する虚偽の報告をしろなんて聞いてないですよ」


「何だ?今さら正義のヒーロー気取りか?」


「いえ。僕だって、最初は了承の返事をしてしまっていますし、その時点で共犯者でしょう。ただ、僕は文月さん達ほど如月を貶めたいとは思わなくて……………元々、ちょっとした不満があるってだけでしたし。それなのに如月の株が下がるような嘘の報告を神にしなきゃいけないっていうのが………………」


「まさかとは思うが、お前………………初日すら、まともにやってないのか?」


「………………文月さんから託された初日。正直、僕は神に会う直前までどうしようか迷っていました。流石に如月が可哀想なんじゃないか、もっと他の方法があるんじゃないか……………と。ですが、そんな悩みは無駄だったんですよ」


「無駄だった?」


「今でも不思議に思いますよ。神に会った瞬間、何故かは分かりませんが、嘘を付こうという気が一切起きなかったんです………………なので、その日から今日まで僕が行っていたのは……………如月に関する事実のみの報告です」


「てめぇっ!!」


「ぐっ!?」


「なんてことしてくれやがったんだ!!」


「ふふふ。先程、進展がないと仰っていましたが、それは大間違いですよ?なんせ、ここ半年で如月の株はだいぶ上がりましたから」


「お前、いい加減に…………」


「いい加減にするのはあなたですよ、文月」


「っ!?お、お前は……………リジオン!神か!」


「私は彼から如月達の話を聞くのが楽しみなんです。それの邪魔をするのなら、容赦はしませんよ?」


「容赦しない?忘れたのか?俺には特別な能力があるんだぞ!!」


「あなたこそ、お忘れですか?それは私があなた達に与えたものであるということを」


「だから、何だ!!」


「自分でも対処できない能力を与える訳ないでしょう?あなた達がその能力を使って私に反旗を翻さないとも限らないのだから」


「っ!?」


「理解できたのなら、余計なことはしないことです………………覚えておきなさい。子は親に勝てません」






            ★






「如月、私はあなた達を見ていて分かったのですよ………………人間がいかに素晴らしいのかが」


突然、リジオンが如月に対してそんなことを言う。思えば、ここ半年程でリジオンはかなり変わったようである。それまでは興味のなかった人間を知りたいと思うようになり、ちょくちょく下界に降りてきているらしい。何が彼女にそうさせたのだろうか。


「特に如月……………あなたはとても頑張っているようですね」


「へ?」


「聞きましたよ?今までのあなたの功績を」


「いや〜功績なんて呼べる程のものかどうか」


「その謙虚さも素晴らしいですね」


やけに自分を褒めてくるリジオンを見た如月は本当に何があったのだろうかと疑問に思った。もしかして、彼女に陰で俺のことを大袈裟に伝えた者がいるのか?とまで妄想が膨らむ程に……………


「やっぱり、あなた達とこの地で出会って良かったです」


それからもリジオンは終始、ご機嫌だった。如月も如月で彼女の期待に応えようとより一層、自分にできることを頑張るのだった。









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