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窓際の君  作者: 気衒い
蒼最の昔日〜過去編〜

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第三話:十二家

人は考えて行動できる生き物である。故にただ神から与えられるものに満足し、それに任せきりになっている訳ではない。如月達十二人は新たに"十二家"と名乗り、水無月が指摘した最悪の未来を回避する為、"蒼最"を統治し始めた。最初はそれに反発する者も現れた。しかし、そういった連中には神から授かった能力を見せて黙らせ、自分達がどういった経緯で統治するに至ったかを懇切丁寧に説明した。すると、多くの者達はそれに納得し、"十二家"の方針に賛同した。そして、その活動は段々と広がりを見せ、やがて蒼最全土に彼らの名が轟くこととなった。そうなると自然と"十二家"は莫大な権力と富を手にして、各地を治めるに至った。ところが、その頃くらいだろうか。彼らの中で数名、そのことに違和感を覚え始めたのは………………


「何?これで本当にいいのかだって?」


「はい………………なんだか、少しやり過ぎな気がして」


「おい、如月……………お前の統治区域はどこだっけな?」


「西蒼最です」


「はっ!あんなとこ、端もいいとこじゃねぇか。それにあそこに住んでるのは貧しい奴らだろ?」


「はい。今でこそ、そこそこの暮らしをしていますが以前は私も家族も貧しい思いをしていたので……………同じ境遇の人達は放っておけないんです」


「馬鹿じゃねぇの?そんな奴ら、放っておけ。あんなところに住む奴らなんて税金だって大した額払わねぇだろうし、何より利益を生まねぇ」


「ちょっと!何てこと言うんですか!あなただって、こうなる前は同じように貧しい思いをしていたはずだ!みんなで助け合って、一生懸命に生きてきたんじゃないんですか?だからこそ、力を得た私達はそれを貧しい人達の為に使うべきなんじゃないんですか!」


「はぁ、ったく……………甘すぎて反吐が出るぜ。いいか?俺達はな、選ばれたんだよ……………神に。それを何であんな奴らに使う必要がある?俺達が力を使う時はそれに相応しいシチュエーションってのがあるだろ………………だいたい、神に選ばれた最初の一人であるお前がそんなことでどうする」


「私はこんな力、人には大きすぎると思います。大きすぎる力はいずれ自分達の首を締め、その身を滅ぼします」


「水無月の助言か?」


「いえ、私はあの日から常に不安なのです。確かに私達の生活は豊かになりました。しかし、それと反比例するように心は貧しくなっている……………そんな気がするんです」


「……………何が言いたい?」


「この能力、神に返し……………」


「馬鹿野郎っ!!」


「うぐっ!?」


「やっとこれから人生逆転できるって時に冗談じゃねぇ!……………おい、間違っても余計なこと神に言うんじゃねぇぞ?お前みたいなもんでも一応、神に選ばれた最初の一人であり、俺達のリーダーだ。神がお前の意見に耳を貸す可能性もあるからな」


「う、うぐっ…………」


如月を殴ったこの男は以前、彼に不満をこぼしていた人物に他ならない。今は彼を守る睦月が側にいない為、こうした大胆な行動に出ることができたのである。


「こ、こんなことを続けていれば、必ず後で後悔しますよ」


「うるせぇ!人間はな、支配する側とされる側……………そのどちらかしか存在しねぇんだよ!それでいうと如月……………お前はどっちになりたいんだ?」


「わ、私はそのどちらでもない道を選びます……………はぁ。これじゃ、みんなで助け合いながら頑張っていた時の方が良かったかもしれない……………」


「変わった野郎だ。せっかく手にした力を何故、そこまで疎ましいと思うんだ」


「あなたには分からないでしょうね」


「はんっ!いいぜ!そこまで言うのなら、如月……………今度、十二家で集まった時に会議しようぜ」


「はい?」


「そんでもって議題はもちろん……………お前をこのまま十二家に置いておくのか、それとも除名するのかについてだ」









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