第7話
ヒュー…バタン!
「うおっ!…ビックリしたぁ…風で閉まったのか…」
「…ひゃぁぁぁぁ!…」
「ソフィ!?今行く!」
どうした!?ゴキちゃんでも出たか?俺も無理だからな!
ヒュー…バタン!
「うおっと…留め具付けて無いのか?」
あるとわかっててもビクッとしちゃうんだよなぁ…
おっソフィいた!
「大丈夫か?もしゴキちゃんが出てたら、明日殺虫剤撒くから教えてくれ!」
「おっおばおば…」
うおっ抱き付いてきた。
滅茶苦茶震えてるけど…やっぱりゴキちゃんかな?
「どうした?落ち着いてゆっくりと深呼吸だ」
「すぅ…はぁ…すぅ………」
ヒュー…バタン!
「ひゃぁぁぁぁ!」
「うおっと…またか…」
「…進は…平気なの?…」
ん?ゴキちゃんの事か?
「いや、無茶苦茶苦手だ」
「…そう…なの?…」
「なんというか…生理的にな?」
「…でも…今は平気そう…」
「まあ…姿見えてないしな…」
姿無きゴキちゃんに怯え始めたら、生活が出来なくなるからな…頑張って割り切らないと…
「…姿見えないのが普通なのに…凄い!…」
「ハハハ、そうじゃないと独り暮らしなんて出来ないからな」
「…なるほど…確かに…」
「もし出てきてたら大変だぞ?家締め切って薬剤撒かなきゃだし」
「…それで…倒せるの?…」
「ああ、見るだけで辛い我々の力強い見方だ!」
「…科学って…凄い!…」
「そうだろう、そうだろう…なんてったって」
「「「ゴキちゃん」「お化け」を倒してくれる…え?」」
「…お化け…じゃ…無いの?…」
「ゴキブリ…ですけど…」
「…むぅ!…ゴキブリなんて怖くない!…魔法でいちころだもん!…」
「お化けの方だって、見たことも聞いたこともないしなぁ…」
「…いるもん!…扉バタンってしたもん!…」
「えぇ…風吹いてるからしょうが無いでしょ…」
「…風?…なに言ってるの?…」
ん?んん?
「もしかして、今扉が閉まったのを…」
「…そう!…お化けの仕業!…」
無茶苦茶胸張ってますけど…
「うーん…こりゃ見た方が速いな…」
「…進も…見たらわかる…」
ここでお姫様な部分出るかぁ…
「因に、実家では扉ってどうしてたんだ?」
「…使用人が…空けてくれてた…」
「なるほど…」
そりゃそうかぁ…そんでもって大きな音とかたてようものなら、クビとか降格…かなぁ…
俺はよっこらしょっと扉を開け、今も尚強めに吹く風に向かいながら説明を始める。
「ソフィは、木の葉っぱとかが風に飛ばされてるのを見たことがあるか?」
「…むぅ…バカにしないで!…中庭に木が植えてあったから…知ってる!…」
エピソードがお嬢様!
「そんな感じで、扉なんかも強い風が吹くと………よっと…こんな感じで押されちゃうんだ」
ある程度扉を開いてから手を離し、押し戻される扉をキャッチして見せる。
「…え?…じゃあ…」
「このまま受け止めないと………」
ヒュー…バタン!
「…ひゃっ…」
「こんな風になる」
「…そ…そんな…」
「取り敢えず、今回のは風の仕業ってのが俺の意見だ」
「…む…むぅ…確かに…そっちの方が…私的にも平和…」
「そうだろう、そうだろう…お化けの仕業ってより此方のがましだろう?」
「…確かに…そうだね………うん!…そういうことにする!…」
ピンポーン!
「…学園長…かな?…」
「取り敢えず行ってみるか」
「…うん!…」
えーっと覗き窓でっと…おっ、二人とも来てる。
ガチャリと鍵を開け、中に招き入れ………
「えっ、えぇ…大丈夫か?」
学園長に心配されてしまった。
「え?何がですか?」
「黒田進…貴様ら、ホコリまみれだぞ…」
へ?嘘っ?マジだ!
「よく見たら、廊下が前より酷くなってません?」
「まっまさか…」
「…確…かに…」
一体…なんで…
「あぁ…窓開けたのか…」
「私達も旧校舎でやらかしましたよね…」
換気が…原因?
「ホコリは吹き飛ぶんだがなぁ…」
「一からのやり直しは堪えますよね…」
やり直し?………っ!?まさか!
「二人とも、取り敢えず風呂に入ってこい」
「廊下ぐらいは、入ってる間に済ませておきますから」
あっあああああ!
「…掃除機…一から…」
「「…ガックシ…」」
「あーあー、二人とも膝付いちゃったよ…」
「素、出てますよ」
「べっ別に良いのよ!…正直もう今更だし…」
謎のツンデレを発動している学園長を尻目に、俺達はひっそりとじゃんけんを始める。
「グー!」
「…パー…」
クッ負けた…
「…私が…お先…」
ルンルン気分で風呂場へと向かっていくソフィを横目に、二階へと歩みを進めていく。
「ん?黒田様はお風呂は宜しいので?」
「どうせなんで、汚れそうなとこを先にしちゃいます」
まあ、ベランダなんだけど…
「そうですか…我々は荷物搬入などもありますので、一階にて掃除しますね」
「わかりました!お願いします!」
…ということでやって参りました、個人部屋付きのベランダ。
大した広さは無いものの…夜空を見たり、個人の洗濯物を干すには十分である。
ただまあ、屋外なので…
「汚いなぁ…」
現状維持の魔方陣がしっかりと機能していれば別なのだが…まあ、粗悪品だしなぁ…
「排水口は生きてるみたいだから…これ使うか!」
二階に設置されていた洗面所の収納に入っていたコレ…
「そう!ホース!」
これを使えば楽チンに汚れが取れるって寸法よ!
それから元栓の蛇口を捻れば…
「よし!水出てる!」
じゃあ後は…
「身体能力強化の力…見せたらぁ!」
ゴシゴシ擦るだけ!
洗剤なんか無くても、腕力と水圧で乗りきるぜぇ!