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雑文アクション「ロングラン・ハイライダー」  作者: ぽっち先生/監修俺
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悪の軍団『簡単連合』

男は900Rを猛然と加速させ、富岳スピードウェイのコース上をピットガレージにいる簡単連合の連中がいる場所の横まで忽ち到達した。因みに男の走行進路は本来のコース順路に照らし合わせると逆である。だが、それをとがめる者はここにいないので良しとしよう。

そしてコースとピットガレージを隔てているコンクリートの壁越しに男は無防備な簡単連合の連中に向けて警告なしでいきなり銃弾を撃ち掛けた。とは言ってもフルオートではなく単発射撃でた。さすがの男でも左手だけの射撃ではM-14をフルオートで撃つ気にはなれなかったのだろう。


タンタンタンタンっ!

ダダダダダっ!

男に続いて東雲も射撃を開始する。こちらは両手をハンドルから離しての両手射撃だ。しかも『H&K G3』をフルオートでぶっ放している。おかげで弾倉内の20発を全弾撃ち終る頃には銃身が明後日の方向に向いていた。

そんな突然の襲撃に簡単連合の連中は慌てふためき次々と倒れて行った。

だが、如何に近距離からの射撃とは言えオートバイで走りながらの射撃ではそうそう当たるものではない。なので今回の先手で仕留めた数は6人程度だった。

それでも2台のオートバイが燃料タンクに命中弾を受けて爆発炎上した。その煽りを受けて近くに男たちが吹っ飛ぶ。致命傷とまではいかないが、結構な火傷を負った者もいた。

だがその場にたむろっていた簡単連合の連中の数は50人以上である。なので被害を免れた簡単連合の連中は奇声を上げながら東雲たちを追いかけ始めた。


「ヒャハーッ!どこのどいつだか知らないが俺たちに銃を向けるとは太いやつらだっ!捕まえて頭の皮を剥いでやるから思い知るがいいっ!」

はい、多分こいつは『不逞ふてい』やつらと言いたかったのだろうけど、残念ながら言葉を間違ったらしい。まぁ、似ているから間違えて覚えた可能性はあるのだろうけど普通は気付くよな。それと頭の皮を剥ぐっていつの時代の例えなんだか・・。

だがそんな後ろから追いかけてくる簡単連合の連中に対して男は一旦900Rをコース上に停めると精密射撃を始めた。


どんっ、どんっ、どんっ!

その射撃により先頭を走っていた簡単連合の何人かが胸や頭に銃弾を受けて吹っ飛ぶ。さすがは7.62mmx51NATO弾である。そのストッピングパワーは絶大であった。

そんな男からの射撃を避けようとしたのか簡単連合の連中は横に広がりながら応射してきた。だがやつらの獲物は殆どがショットガンだった為、結構距離が離れている男までは散弾は届かなかった。

それでも簡単連合の連中は数に物言わせて突き進んでくる。だが男はまたしても900Rを急発進させると忽ち簡単連合の連中と距離を開けた。そしてまた停止し射撃を加えた。

そんな男に対して簡単連合の連中はもはや男の姿しか目に入っていない。なので途中でコースの脇に逃げていた東雲すら見逃し追い越して行ってしまった。そんな連中の後を東雲はゆっくりと追いかける。そして後ろから一声掛けるとまたしても『H&K G3』をフルオートでぶっ放した。


「はぁ~い、オツムの空っぽなあなたたちへの私からのプレゼントよっ!1発80ギールはするんだからありがたく受け取りなさいっ!」


ダダダダダっ!

7.62mmx51NATO弾がまたしても簡単連合の連中を怒涛の如く襲い掛かる。だがやはり弾着は安定しない。その内の1発などは、あろう事か男の900Rに向いイージスシステムに弾かれる始末である。

だが、この東雲の襲撃により簡単連合の連中はショットガンによる射撃を中止し、前を行く男を追いかける事に集中する事にしたようだ。それは男に近づけば東雲も自分たちに撃ち掛ける事が出来ないだろうと踏んだからである。

もっとも簡単連合の連中が男に接近したからと言って東雲が射撃を躊躇うとは思えない。いや、簡単連合の連中が思ったように仲間が射線上にいる場合、普通は躊躇うものである。だが東雲は普通ではなかった。それに東雲は男の900Rにイージスシステムが搭載されている事を知っているのだ。なので彼女が射撃を躊躇う事はこれっぽっちも存在しなかったのである。

とは言っても速度が上がった状態では彼女も射撃は出来なかった。片手撃ちではそれこそどこに弾丸が飛ぶか判ったものではない。そして彼女によると7.62mmx51NATO弾は1発80ギールするらしい。この価格はオートバイの燃料に換算すると0.6リットル程だ。20発なら12リットルである。そう考えると確かに無駄弾は撃ちたくないだろう。

そして男にしても速度を増した簡単連合の連中に対して明確な射撃距離を得るのが難しくなった。男は東雲ほど華奢ではないので片手でもM-14を撃てるが、やはり命中精度は格段に落ちる。かと言って距離を取り過ぎてもやはり命中精度は落ちた。

なので結局、双方有効な手を打つ事ができないまま、まるでレースでもしているかのようにコースを走り回る事になった。因みにもう一度言っておくが彼らの走っている方向は本来のレースで走る方向とは逆である。でもここには逆走を咎める者はいないので良しとしておこう。


だが、アウトロー集団である簡単連合の連中には元々ルールを守る気など初めからないようだった。なのでヘアピン部分に差し掛かると10台程のオートバイがコースを離れてホームストレートの方へとショートカットしていった。つまり先回りして挟み撃ちにしようとしたのだ。

だがその行動は当然後ろを走っていた東雲にばれる。なので東雲はそんなやつらを追おうとしたが、如何せんコース以外の場所は草だらけで荒れ果てていたので巨大な東雲のゴールドウイングでは走破出来そうもなかった。


「んもうっ、こんなところ走れる訳ないじゃないっ!そもそもオンロード車でオフロードを走るだなんてライダーとして失格よっ!」

いや、東雲よ。多分、簡単連合の連中はオートバイの神からライセンスは与えられていないと思う。つまり無免許運転だ。これはもう資格云々以前の問題です。


なので東雲はコースをショートカットした連中を追うのを諦めゴールドウイングに鞭を入れて男の後を追った。だが如何にゴールドウイングの排気量が巨大でトルクフルだと言ってもオートバイの最高速度は概ねギア比で決まってしまう。なので一旦距離の離れた男に東雲が追いつくのは不可能であった。

だが、それは男がある程度の速度で走り続けた場合である。そして男がメインストリートに戻ってくると、そこにはコースをショートカットした簡単連合の連中が待ち構えていた。


「なんだ?新手か?」

男は前方にコースを塞ぐように10台程のオートバイでバリケードを作っている集団を目にすると、簡単連合の新手が現れたものと誤認した。だが、それは男にとってはどちらでもよい事だった。どの道、ここにいた簡単連合の連中は全て駆除するつもりだったのだ。だから相手の方から男の前に現れてくれたのは男にとっては逆に朗報だったのである。

そして、そんな前方のバリケードに向けて男は900Rを全力で加速させて行った。それまでは後ろから追ってくる簡単連合の連中を置いてけぼりにしない程度の速度で走っていたのだが、今回は全力加速である。なので男の900Rは忽ち前方のバリケードへと近づいた。

そんな男に向けてオートバイを盾にショットガンを構えた簡単連合の連中が射撃を開始する。だがその銃弾は全て900Rのイージスシステムによって防がれた。


「ざけんなっ!そんなひょろひょろ弾が俺の900Rに通用するかよっ!いけっ!相棒っ!お前の強さを見せ付けてやれっ!」


ぐおんっ!

男の激に呼応するかのように900Rは雄叫びのようなエンジン音を轟かせてバリケードに向かって突進して行った。まぁ、アクション系の映画ではよくある絵面である。だがあれは衝撃に対してある程度のキャパを持っち、且つ4輪で踏ん張れる自動車だから成り立つアクションだ。なのでバランスを失うと忽ち転倒するオートバイでは自殺行為である。

だが男の900Rはチートであった。いや、チートなのは900Rではなくイージスシステムの方か?そうっ、イージスシステムは向かってくる弾丸を弾き返すが、弾くものは別に弾丸だけではなかったのである。

なので男の進路を塞いでいた簡単連合のオートバイはイージスシステムによって900Rに接触する前に弾き飛ばされてしまった。当然その衝撃は900Rには伝わっていない。よって900Rがバランスを崩し転倒する事も無かった。

これぞまさにチートっ!神に愛されし900Rの真のチカラであった。


こうして難なくバリケードを突破した男は、今度は急減速してスピンターンを決める。そして今度は後ろから追いかけてきていた集団目掛けて加速して行った。


ぶおーっ!

野太い排気音を轟かせてまたしても男の900Rが吼える。簡単連合の連中はそんな900Rを避けようとするがもう遅いっ!忽ち数台のオートバイがイージスシステムに排除されて空に舞った。そして着地と共に漏れ出た燃料に火花が飛び派手に爆発した。

まぁ、ここら辺は単なる演出です。普通は炎上はしても爆発はしません。だからと言って燃料が漏れているところでタバコを吸ってはいけません。数秒後には自分の馬鹿さ加減を思い知る事になります。


だが、そんな目にあったにも関わらず、お馬鹿な簡単連合の連中は慌てふためきつつもすれ違った男を追うべく方向転換をして男を追おうとした。全くもって危険回避能力というものが欠落しているとしか思えない。もしかして『ヤク』でもキメているのだろうか?

そんな連中に対して、男は無表情で慎重に狙いをつけてM-14の弾丸を撃ち込む。


ダンっダンっダンっ!

男が引き金を引く度に7.62mmx51NATO弾の空薬きょうが乾いた音を立ててアスファルトの上に落ちて行った。そして男が発砲した数だけ簡単連合の連中の人数が脱落してゆく。


だがこうして当初50人以上いた簡単連合の人数が半分以下になった時、別のオートバイの大集団が撒き散らす爆音が

男の耳に届いた。簡単連合の新手が登場したのだ。その数およそ100台。しかも新手はオートバイに対銃弾用防御盾を装備していた。・・と聞くと何やらかっこ良さげに聞こえるがただの鉄板である。

しかもその鉄板の厚さは3mm程度だった。この程度の厚さでは拳銃弾は防げても7.62mmx51NATO弾は防げない。しかし、その事は簡単連合の連中も判っているのか鉄板は二重になっていた。つまり中空二層アーマー仕様となっていたのだ。

むーっ、もしかして簡単連合の連中の中にも頭が使えるやつがいるのだろうか?いや、多分町場の鉄工所の職人を脅して何とかしろと言って案を出させたのだろう。でなければ本来のチーム名である『関東連合』を平気で簡単連合と間違え、且つそれを訂正しようともしていない知能の低さを説明できない。


だが仮に簡単連合の連中の頭が空っぽだとしても、町場の鉄工所の職人が作ったのであろう中空二層アーマーは完璧であった。なので男が発砲した7.62mmx51NATO弾は全て二層目でぎりぎり防がれてしまう。

精密射撃で装甲の施されていない箇所を狙っても、右に左に蛇行しながら走る簡単連合の連中には、男の腕を持ってしても中々命中弾を浴びせられなかった。


そしてとうとう簡単連合の新手はコース上に停まっていた男を遠巻きにしてぐるぐるとその周囲を走り始めた。その一部は漸く追いついてきた東雲にも向かい、同じく東雲を足止めしている。

やがて新手の連中の中からひと際でかいオートバイに乗った大男が男の前に寄ってきて、男に声をかけた。


「ようっ、ニイちゃん。俺のシマでなにやらやりたい放題してくれたらしいじゃねぇか。くくくっ、もしかして俺たちを簡単連合と知らずに突っかかって来たのかい?だとしたら勉強不足だな。メイド喫茶に行ってもう一回勉強し直してきなっ!」

えーと、多分大男は『メイド喫茶』じゃなくて『冥土』と言っているつもりなのだと思う。さすがは簡単連合のリーダー格と思しき男だ。お約束を絶対外さないんだな。

そんな大男に対して男は別に怯える様子もなく至って普通に返事を返した。


「あーっ、すまん。ゴブリンと間違えたんだわ。近頃じゃゴブリンたちも一桁の足し算くらいなら計算できるらしいからな。もっともオートバイを操られるやつがいるとは聞いた事がない。なので珍しいから頭の皮を剥いで中を確かめようと思ったんだ。もしかしたら脳みそが腐っているかも知れないからな。」

「ほうっ、言ってくれるじゃねぇかっ!だがそれを言うなら俺たちに歯向かう馬鹿はゴブリン以下って事になるぜっ!それこそ新種だっ!ゲーム屋に持っていけば高く買い取って貰えるかもしれねぇっ!がははははっ!」

男の挑発に簡単連合のリーダー格と思しき男はうまい事を言ってやったとばかりに大声で笑い出した。それに併せて手下と思しき男たち笑い出す。

だが、そんな大男の反応など気にもせず男はメーターパネル上にある幾つかのボタンを操作していた。その操作に対応するかのように900Rのリアボックス内で何かが動き出そうとしていた。


「あーっ、止めときな。下手な事をするとあっちのネェちゃんが血まみれになるぜ?まっ、俺としては別にかまわねぇがな。がははははっ!」

大男の言葉にボタンを操作していた男の指が止まる。そして男が振り返ると互いに銃口を向け合いながら対峙している東雲と簡単連合の連中の姿が見えた。その比率は約1対10。しかも簡単連合の連中は東雲をぐりりと取り囲んでいたので如何に高速な連射が可能な東雲の『H&K G3』でも一気には倒せないであろう。


「ほれ、これで判っただろう?お前たちはもう袋のネズミ捕りなんだよ。まっ、お前たちが突っかかってきた理由は大体予想がついている。多分どこかの自治体に雇われたんだろう?くくくっ、最近は多いんだよ、そうゆう馬鹿が。そこで俺からのお情けだ。依頼主の名前を言いなっ!そしたら命だけは助けてやるっ!」

「あーっ、すまん。俺は助っ人として無理やり連れて来られたんで、そこら辺の事情は知らん。知りたきゃあいつに聞くんだな。」

男はそう言って東雲の方を目線で示した。


「ほうっ、そうかい。だとしたらニィちゃんに価値はないなぁ。時間も勿体無いしとっとと死んでもらうか?」

大男はそう言うと後ろに控えている連中に指で指示を出した。その無言の指示に簡単連合の連中は男に向かって銃口を向け直した。


と、その時であるっ!突然サーキットの周辺の森の中が騒がしくなった。しかもその音はどんどん富岳スピードウェイの方へと近づいてくる。その喧騒に何が起こったのかと簡単連合の連中も全員が音のする方に目線を移した。

男はその隙を見逃さない。900Rのエンジンに鞭を充てるとリアタイヤをホイルスピーンさせながら方向転換し、大男に向かって900Rを突撃させた。

そんな男の突撃を大男は辛うじて避ける。そして仲間に号令をかけた。


「くそっ、撃てっ!撃ち殺してしまえっ!」

だが、周囲を取り囲んでいる簡単連合の連中と男の射線上には大男の姿がある。如何に馬鹿な連中でもこの状態で男を撃つ事は躊躇われたのだろう。多分下手に撃って大男に当たったら、後でどんな仕打ちが待っているか馬鹿な連中でも理解できたのだと思う。

だが、その躊躇った数瞬が簡単連合の連中の運命を決めた。そう、先程森を騒がせていた原因がとうとうコース上まで押し寄せてきたのだ。そしてその正体は魔物たちであった。

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