1/6
プロローグ
眩しいほどの青空の下、唯は振り向いた。
「いくな!なんで!!」
俺は手を伸ばす。
だが、心のどこかで、これが決定事項なのだとわかっている。
だから、本当に彼女をつかんで連れ戻すことができない。
これが俺だ。
できるのは、なぜ?と答えを求めることだけ。
他の多くの者たちが唯にそうであるように。
俺も、彼らと何ら変わりはない。
だから、唯も、彼らに対するのと同じように、微笑みを俺に向ける。
「・・から。」
「え?」
力なく聞き返した俺に、唯は答える。
「あなたの未来に、私はいないから。」
「・・どういうことだよっ?」
唯は微笑みを崩すことなく何か言う。
記憶がそこで急に曖昧になる。
残っていたのは、救いようのない、喪失感だけだ。