第11話:魔術を覚えよう! 準備編
「今の俺は理性があるんですよ!?」
「まあまあ、アリアが強くなるため何だからいいじゃない」
俺らは今人間界に来ていた。
そしていつも通り空に浮いて人間の様子をうかがっている。
なぜこんなことになったのか、それは俺の修行の為らしい。
メシアに対抗するためには俺もそこそこの実力は付けなければならない。
魔力の扱いが初心者すぎる俺はリリーに修行を依頼したが断られたのだ。
どうやらリリーの何倍も魔力の扱いがうまい人がいるらしい。
どうせ教わるならそっちの方が良いでしょって事で、俺たちは今その人に持っていく魔力を手に入れようとしているわけだ。
魔力というのは持ち運びも可能で、魔術を教わるにはそれくらいするのは礼儀なのだ。
というわけで俺は今のこの正常な状態で男としなきゃならないのだ。
「でもさ! 一回やったからもう慣れたしょ?」
「……」
……確かに、確かにそうなのだ。
慣れたというか、一回目ほどの抵抗感はないのも事実なのだ。
というか少しだけ、きもちよか――。
「――あー! じゃあさっさと探しますよ! もう!」
だめだ、後戻りできなくなる。
今は出来るだけ無心でいよう。
「あの男とかいいんじゃないですか!? ねえ、リリーさん?」
そうそうこれは仕事で俺のただの食事。
決してほかの目的などないのだ、あってはいけないのだ。
「おーたしかに。アリアも男を見る目がついてきたね」
「……あざーす」
なんも嬉しくねえよ!
♂→♀
「で! ここからが違うの!」
俺とリリーの目の前のベッドに男が横になっている。
魅了をかけた直後で今は起きないだろうが、起きたら襲われるのだ俺たち二人に。
「普段通りだと自分の体内魔力になってしまうの。で、今回は人にあげるから体内魔力にするわけにはいかないの。体内魔力にしないためにも一つ儀式が必要ね」
「儀式……?」
どうせエロ関係のことだろ、どうせ。
「こうしまーす」
リリーはそう言うと、男の口元に自分の口を持っていきそのまま吸い付いた。
「うわぁ……」
「んっ、くちゅ、っちゅ、はぁ、んんっ」
目の前で大人のキスが行われている。
正直どういう反応をしたら良いのか分からない。
「ちゅっ、ほら、んっ、アリアも」
まあそうなるよねー。
まあいいかな。
このお兄さん清潔感あるし、ひげもじゃのおっさんよりはマシだ。
自分の無くなっていく抵抗感に若干引きながらも俺はベッドに向かう。
ま、こんなのただの仕事だ! うん。
♂→♀
「はーい、ただいまー」
というわけで無事に魔界に帰ってきましたと。
今俺らの体内には多くの魔力がある。
体内魔力とは別の一時的に保存しておく魔力が。
これを一体どういう風に他人に渡すのかは全く分からないが、まあそこはリリーに任せよう。
「じゃあ早速向かうわよー」
「はーい」
今苦労した分、ちゃんと強くなってくれよ俺。
俺は淡い期待を胸にリリーの跡をおいかけた。