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幼馴染と私  作者: イッコ
1/1

一、

私、井波奈津には幼馴染の男の子がいる。

同じ年のお隣さん。

名前は唐草智成。

親から言わせると兄弟のように仲が良かったらしい。

私にとって、当時はただの遊び友達以外なんでもなかった。

でも小学校に入る頃から変わってしまった。

あいつが男で私が女。

それがはっきりと区別され始めると、友人関係も男女で別れた私たちはいつのまにか会話がなくなった。

中学校に入っても私たちは関わることなく過ごしている。

そして、最近気がついたが唐草智成はモテる。

学内一位の成績と眼鏡つけたストイック系の秀才顔。

いつでも成績は下から数え方が早い私とは全く違う。

だからなんとなく気後れして話しにくい。

それでも朝同じ学校へ行くので出会ってしまうときもある。

そう。今日もそうだった。

一瞬お互い目をあわすけど何事もなかったように距離を置いて歩いていく。

前を歩くのは唐草智成でその後ろを歩くのが私。

それが私の距離だった。

まあ、別にいいんだけどねえ。

小学校の頃は集団登校というヤツでいつも一緒に歩いた。

その時もやっぱり先に歩くのが唐草智成だった。

なにげなく前を見ると唐草智成の背中は遠く離れて少し早足で追いかけた。


学校に近づくと人が同じ制服の人たちが増え気まずさが消えちょっとほっとする。

「美衣!おはよう!」

前を歩く親友の美衣を見つけ先ほどの鬱憤を晴らすように抱きつく。

小柄で細い仲月美衣は背の高い私の体にすっぽり収まる。

「はわああ。なっちゃん。おはよう」

とまどうように笑う美衣は今日もとても可愛いい。

「こーら。井波さん。朝からセクハラしない」

頭上の声にあわてて離れる。

奈津は真っ赤な顔になって私の後ろに隠れた。

「あっ岸田先輩おはようございます」

「おはよう井波さんと…仲月さん?」

首をかしげて先輩が話しかけると美衣はさらに私の後ろに隠れる。

美衣、先輩は同じ園芸部に入っている。

で、美衣と先輩は付き合ってるってわけ。

「あっじゃあ私は先に行くね。」

わざとらしく大げさにいうと美衣と先輩は真っ赤にになって固まる。

そのまま早足で二人を置いて歩きクスクスと笑う。

私にとって美衣たちは仲の良い理想のカップルだ。

まあ、二人とも遠慮がちで見ていて初々しいので今日のようにからかいたくなるというわけだ。

(ああ。私も恋をしたいな。せめて、私も美衣のように可愛らしくうまれたら…)

そこまで考えてうじうじした暗い感情に飲みこれそうになっているのに気がついた。

いけないいけない。私は中学に入ってからはもっと明るくなるって決めたんだから!

えいっと上を向き笑顔を作ると私は元気よく歩き出した。







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