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幸福のカタチ

作者: ミスPちゃん
掲載日:2019/04/26




 倖せは何処で感じるのか、何をもって幸福とするのか?




 とある少女の住む村―――




 私は幸せだった。

 毎日お母さんと一緒に水を汲みに行く。

 いつもお母さんと一緒だから楽しかった。

 妹と弟の面倒を見る。

 散らかすし、汚すし、大変だけど、お母さんが助かると言って喜んでくれる。

 

 なのになぜ?

 どこから来たのか知らない大人たちに、不幸な子だと言われる。

 別にそんな事ないのに。

 

 学校にいけないから?

 友達がいないから?

 

 良く分からない。




 お父さんはいつも忙しそうにしていて、帰ってきたら肩を叩いてあげると喜ぶ。

 嬉しそうなお父さんを見ると私も嬉しい。

 

 なのになぜ?

 お父さんがたまに持ってくる卵は私の大好物だ。

 美味しい。

 

 でも、それを見ている大人たちに可哀想と言われる。

 なんで?

 貧しいって何?

 

 良く分からない。




 学校に行って勉強して友達を作れないのが不幸なの?

 寂しい事なの?


 良く分からない。




 知らない人達にお父さんとお母さんから引き離された。

 知らない人達と勉強させられた。

 家が凄く心配でなかなか身に入らなかったけど、色々な事を知った。


 私が限られた狭い世界で生きていた事を。

 私の両親が兄妹だった事を。

 私の着ていた服がボロボロだった事を。

 私の家族が貧乏だった事を。

 私の住んでいた村が全てではなかった事を。

 私は世界を知った。

 もっと素晴らしい事が有る事を知った。

 もっと楽しい事が有る事を知った。

 

 そして私が不幸であることを知った。

 そして悲しくなった。


 今まで知らなかった事の方が幸せを感じていられたことを。


 揺り籠を飛び出した子供は揺り籠に戻れない。


 あの村を出た私はあの村に戻りたくなくなった。

 

 知らない事をたくさん知ったら、忘れることは出来ない。





 10年が過ぎて、村に戻った。

 

 凄く汚かった。

 凄く貧しかった。

 お父さんとお母さんは、栄養失調寸前の子供抱えて忙しそうにしていた。

 私が帰ってくるのを見ると泣いて喜んだけど、私は嬉しくなかった。

 子供を見て可哀想に思って、連れ出そうとすると、お父さんは泣きながら怒鳴った。

 お母さんは泣いた。


 こんな不幸な子供を増やしてはいけないと私は思った。


 

 



 昔はあんなに楽しかったことが、今は何も楽しくはない。


 汚い鍋釜に、汚い水を注ぎ、不味いご飯を作っている。


 昔はあんなに美味しいと思っていた卵ですら、食べたいとは思えない。




 私は身体が震えた。

 知識というのは誰の為に在るのだろう?


 知らなければ幸せだったことが沢山あったのに、知ったが為に取り返しがつかなくなってしまった。


 なのになぜ?

 私の事を不幸だと教えたあの大人たちは、私よりも何倍もお金持ちで、何倍も裕福な生活をしているのに、私の家族は助けてくれなかった。

 私は自分の生活で手いっぱいで、家族を助ける余裕はない。

 生活水準を落とせば可能だろうけど、大きな町でそんな生活をするなんて恥ずかしくて出来ない。


 おかしい。

 なんで恥ずかしいと思ったのだろう?


 理由が分かった時、凄く悔しかった。


 一人の子供を助けて悦に()る無責任な大人たちを、私は恨み続ける。

 そんなにお金持ちなのになんで財産を分けてくれないの?

 あなた達が助けている子供たちは、みんなが望んで私のようになりたかったの?


 知らない事が恥ずかしい事だなんて、あなた達のような大人に言われなければ知らなくて済んだのに。


 世界の不幸な子供を救済するなんて大言壮語を吐く大人なんて大っ嫌いだ。


 かかわらないで欲しい。

 来ないで欲しい。

 教えないで欲しい。




 私の家族はみんなバラバラになった。

 お父さんもお母さんも、何処に居るのか分からない。

 あの村も、もうすぐ無くなってしまう。


 私の幸せは私が決める。

 不幸になった原因はあなた達にある。

 だから、あなた達に不幸だなんて言われたくない。




 だから、私はあなた達を一生恨み続ける―――






この物語はフィクションです。


でも、幸福と不幸について考えてくれるようになったら嬉しいです。


価値観って、大切だけど、押し付けてはいけないと思うんですよ。


ね。

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