未完について
不満は全部、オリンポスにぶつけろ!
どうやらこの「小説家になろう」というサイトは、
連載作品が未完のままで終わることが多いようです。
実際にワタクシ個人が気にしたことはありませんが、
作家仲間から統計グラフなんかを見せられて、
「ああ、そうなんだー」って思った記憶があります。
今回のテーマは、その「未完について」です。
読者の方々からしたら、
大好きなあの作品がずっと更新されないというのは、
心苦しいものがあるかと思います。
作者としても、未完にしたいわけではないので、
「ああ、だれか代わりに書いてくれたらいいのに…」
なんて弱音を吐きたくなることもあるわけです。
最初に述べておくと、
これはある意味、仕方ないと思います。
「アマチュアだから仕方がない」と言いたいのではなくて、
これはプロの小説家にもあり得る話です。
みなさんもご存知の文豪、
芥川龍之介さんもエタった作品があるじゃないですか。
たしか新聞連載の『邪宗門』だったかな。
物語が最高潮のところで、
“ここから先は未完です”みたいなことが書いてあって、
「まあ、芥川らしくない小説だとは思ったよ…」
と肩を落とした覚えがあります。
あれは和風ファンタジーだったかな。あんまり覚えてないです。
でもそれは彼に限った話じゃなくて、
筆が進まず、編集者から逃げていた作家さんも
それなりの人数がいたと聞いています。
本当かどうかは知りませんが、栄光の裏話ですよね。
まあ何が言いたいかといいますと、
「小説を完結まで書くということは、
それくらい難しいことなんですよ!」
アマチュアにそこまで求めるのは
すこし残酷な話ではないのかなと思いました。
ワタクシには全然求めてもらって構いませんが、
書き始めたばかりの方には荷が重いかもしれません。
そうは言っても、
やっぱり人間とは比較をする生き物ですから、
「完結できないならここで書くなよ!」
みたいなことを、ついつい言ってしまう人もいます。
とくに完結させる能力がある人で、
プロを志望している方はそういう傾向にあります。
考えてみれば、それも仕方のない話です。
住野よるさんのような例外もいますが、
なろう出身というだけで
経歴に傷が付いてしまっては本末転倒ですからね。
「なろう」にブランド力を付与して、
デビュー後もなめられないようにしたいというのは、
立派ですし、高いプロ意識の現れだと思います。
なのでその部分は肯定しますが、
「完結できないなら書くな!」は言い過ぎです。
人には向き不向きがあります。
芥川龍之介さんは、長編が書けませんでしたが、
短編小説の名手としては有名です!
よくエタる人は、まずは短編小説で投稿してみて、
長く書けるようになってきたら、
連載小説に挑戦してみるってやるといいと思います。
連載小説が長距離走だとしたら、
短編小説は短距離走みたいなものです!
短距離最速の、ウサイン・ボルト選手であっても、
長距離をあんなスピードで走ることはできません。
走行中に筋肉が断裂します。そういうものです。
連載小説は焦らず、長距離のペースでじっくりと、
それでいて締切を意識して、
なるべくコンスタントに走り続けることが大事です!
走っていれば、いつかはゴールにたどり着くんです。
走り始めて体力に余裕のあるうちは
まだ意気揚々としていられるかもしれません。
しかし疲れてくると不安になります。
「ゴールできないかも…」って思いに駆られます。
そんなときには沿道を見てください!
文章評価、ストーリー評価、総合評価…
ブックマーク、アクセス数、感想、レビュー。
それらは励みになりますから!
マラソンはひとりで走るものじゃないです。
執筆もひとりでやっているわけじゃないんですよ。
みんなが応援してくれるからやれるんです!
ぜひ、つらいときこそ笑顔で、
周囲の期待に応えられるように頑張ってください!
ただし、どうしても苦しいときは休んでもいいです。
ゆっくり呼吸を整えて、また走り出せばいいです。
自分のペースで、しっかりと。
最後まであきらめなければ絶対に完走できます!!
と、ここまで申し述べてみると、
なんだかワタクシが優しい人物みたいです。
まあ、今の発言は自分でも笑っちゃうのですが、
もともとはこんな性格ではなかった気がします。
ネットでは厳しい意見は慎んでいましたが、
「甘えてんじゃねーよ!」みたいなことを、
プライベートでは言っていました。叱咤激励のつもりです。
しかし……
ちょっとした出来事があったおかげで、
考え方はがらりと変わったのです。
それはまさしくコペルニクス的転回でした。
拙作のエッセイ
『パワハラが原因で小説が書けないんだが…』
でも書いたんですけど、
まあ色々あって、小説が書けませんでした。
(もしよかったら、そちらもぜひ!!)
そのときは絶望のどん底にいるような気がして、
本当に、「生きてても、死んでても、あんま変わらねーな」
と思っていました。
ですが、
「つらかったら逃げてもいい」
って言ってもらえたときは、
すごくうれしかったんです!!
しかもそう言ってくれた相手は、
「つらくても逃げるな!」って
ワタクシが叱りつけた相手でした。
そのときにようやく、
つらいときに逃げるのも
“選択肢”の中にあるんだなと気付かされました。
逃げるのは卑怯だと思っていましたが、
全然そんなことはなく、むしろ逆で、
逃げるのも勇気がいることでした!
ビジネス戦略において、
今でも孫子の兵法が語り継がれるのは、
“逃げる”という選択肢や、
“戦わない”という選択肢があったからこそ、
実現したんじゃないかなと思います。
将来勝つために、
“今は戦わない!”
“今は逃げる”という選択肢は大事です!
戦略的撤退も、場合によっては勝ち戦なのです!
はい! というわけで、
一方的にまくしたててみましたが、
賛否両論あるとは思います。
今回の話をまとめさせていただくと、
未完のままで終わらせてしまう人も、
本当はつらいんじゃないかなってことです。
完結できないって、作者としても胸に引っかかるし、
プレッシャーがストレスに変わったりもします。
しかもストレスを抱えたまま書くと、
作品のクオリティが落ちるんですよね。
心の状態って、意外と文章にも直結していて、
「ここは繊細な心理描写を入れよう」と思ったとしても、
イライラしながら書いたら、絶対にうまくいかないです。
そうですね。例があった方がわかりやすいかな。
面白半分に変な例文を書いてみます。
なんか適当な恋愛小説を思い浮かべてください。
(ⅰ)恋を知った夕暮れの並木道は景色が弾んで見えた。
(ⅱ)汚い夕日だわ。私は並木道に唾を吐きかけた。
タイピングしながら笑ってしまいましたが、
ええ、まあ、はい。こんな感じでしょうか?
(ⅰ)では胸を躍らせている描写。
(ⅱ)では胸くそ悪いだけの描写。
まあ、さすがにこれはふざけて書きましたが、
心がすさんでいると、言葉のチョイスが雑になります。
ストレスなんてどうでもいいと思っている方もいるでしょうが、
執筆のためには、ストレス発散も大事なのです!
どうしてもストレスフルなときは、
作品のため、読者のためにと、筆を置いてみてください。
大丈夫、作者が逃げさえしなければ、
作品はいつまでも待っていてくれますから!
エタっている作者様へ
ワタクシはエタっているわけではありませんが、
数年前に筆をおいた小説が、今でもフォルダの中にあります。
これについては暇を見つけて書くつもりですが、
この空白の時間も作品の質の向上に役立ったと考えています。
「その当時の知識、経験では書けなかったからこそ、
プロット、アイデアを寝かせたんだ」としたら、
いよいよ果実は成熟し、収穫のときを迎えたわけです。
書き始めるときは、うまくいかないし、不安ですけど、
もうそこは、自分の書いたキャラを信じてください!
彼らがなんとかしてくれます。勝手に動き出します。
それでも不安な人は、自身のことを信じてください!
今まで何十万文字、書いてきたのか…
今まで何百冊、読んできたのか…
その経験はきっとあなたの背中を押してくれますから!
エタった作品の続きが読める日を楽しみにしています。
以上です。
最後までお付き合いくださりありがとうございました!!
あなたをワンアップさせる作者!