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〈三五話〉日常

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 恵美は都内で一番大きい家電量販店のビデオ・カメラコーナーに来ていた。新大陸に持っていくカメラと予備を購入するためだ。昨日は都内を同僚の百合と一緒に優に専門店などを回り、同じように持っていく車のトランク一杯に生活用品を買い揃えた。


 それらを段ボールに詰めて防衛省へ送った、防衛省からの指示で上陸調査に参加する民間人は持ち込む物は検査された物でなければ持ち込めない、と決められている。そのためカメラなども夕方には送らなければいけない。


 揃えるのは手のひらサイズのデジカメ、それとは対照的なゴツゴツとしたデジタル・一眼レフカメラ。CCDカメラの三種類。加えてバッテリーや充電器なども予備として二つ、三つずつ買う。CCDカメラは恐らく長時間、それこそ二四時間に近い時間を連続稼働するだろうから外部バッテリーも買わなければいけない。


 今回は恵美だけなので写真や動画も取らなければならない。支給されるヘルメットか胸元にCCDカメラ取りつけようと考えていた。事前にネットのレビューや記者先輩たちからのアドバイスを元に購入するカメラは一つ二つの中から選ぶだけだが、量が量なので選び終わるまで一時間もかかった。


 だが恵美に近づいてくる店員は一切いなかった、巨大な売り場は売り物のテレビから流れる音だけがむなしく響いている。恵美以外に客や店員どころか人がいない。今や家電もネットでの注文が当たり前だ。店員もレジにいるだけ、人がいるだけでも良い方で店員が存在しないところも珍しくない。


 レジへ向かおうとした時、先程までいたところに女性が一人いるのに気付く。恵美より少し高いくらいの身長だが、白いコート越しでも分かるくらいにスタイルがいい。何より目を引くのは長く漆のような黒髪には癖毛が一つもない。綺麗な黒髪だな、と恵美は立ち止まり思わず後ろ姿に見とれてしまう。


 その視線に気づいたのか女性が振り向く。黒髪に比例するかのように整った容姿に思わず恵美はまじまじと見つめてしまった。女性は恵美を見て薄い笑みを浮かべていた。その笑みに同性であるのにも関わらず思わずドキッとしたのと同時に、女性が誰かを恵美は思い出した。


 九年前の記者会見に出た人であり、調査隊にも参加する外神興子その人だと。興子はゆっくりと黒髪をフワフワと左右に揺らしながら恵美の前に来た。


「こんにちは」


「え、はい、こんにちは」


 興子が恵美の前で立ち止まり姿や雰囲気と同じように優しい声音のあいさつに、咄嗟に反応できず片言で返す。


「あなたは確か恵美さんでした?」


「え? どうして私の名前を・・・」


「上陸する人間の名簿を見たのです。そこにあなたの名前が」


「なるほど、なのかな?」


 二十人以上いたはずだが・・・・その全員を覚えているの? そう恵美は少し首を傾げながらも納得した。そうしていると興子は話を続ける。


「あなたカメラに詳しい?」


「まあ仕事柄よく使いますから少しは詳しいですけど」


「ならおすすめのカメラを教えてくれないかしら、種類が多すぎてどれがいいのかわからないの。店員もいないし」


「あ、はい。分かりました。えっとどういったカメラが欲しいのですか?」


「そうね・・・仕事用じゃないから使いやすければ何でもいいわ」


「ならこれはどうですかコンパクトで初心者でも綺麗に撮れますよ」

 

 店員のようにカメラの説明を興子にした。結局恵美が購入権を持ちレジに向かったのは入店から二時間経ってからだった。


「あなたがいなかったら、こんなに早く終わらなかったわ。ありがとう」


「いえ、それほど感謝される程のものでは、ありません」


 両手にカメラやバッテリー、充電器が大量に入った袋を持っている、背負っているリュックの中もパンパンに膨れている。話しかけられた最初は興子の一般人とは違う雰囲気に圧倒され、カメラの説明ばかりをしていた。しかしレジでカメラを購入してから、記者魂とでもいうか興子を一人の取材対象として見ていた。そして量販店から出て少し経って切り出した。

 

「カメラのお返しといっては何ですが、取材させてくれませんか?」


「ごめんなさい。実はね政府の方からメディア取材は断るようにいわれているの、それに準備で予定が一杯なの」


「そうですか・・・」


 あっさりと取材が断られ落胆する恵美に興子は「ごめんなさい、でも近い内にあなたとはもう一度あると思うわ」といった。


「え?」

  

「それではごきげんよう」


 興子は微笑みながらカメラの入った袋を片手に人混みへと消えていった。しばらく後ろ姿を見ていたら電話のコール音で現実に引き戻された。スマートフォンを出すと画面には「デスク」と表示されていた。


「はい、恵美です」


「カメラは選び終わったか」


「はい、これから帰って防衛省へ送るつもりです」


「それが終わったら百合の仕事を手伝ってくれないか?」

 

 恵美の言葉をさえぎってデスクは仕事の話をする。


「休暇中といっても私は準備で忙しいのですけど・・・・」


「ウチが万年人手不足なのは知っているだろう。今、百合は――――」恵美の抗議を無視して仕事の内容を話始めった。



中隊?分隊?班?組?わかんねーな自衛隊用語。あと階級も。入隊して5~6年の場合だと曹以上に行けるのか?


小修正11/29 12/1 12/7 12/8

中修正2/3 3/20 3/31 5/2 5/5 5/15 6/4 6/14 10/11

大修整 1/23 2/20 3/22





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