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〈三話〉日本に射す影と光

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 記者会見の後、政府の公式見解を真に受ける者はほんの僅かだった。だが時間が経過するごとにその信憑性が高まっていき、五日目には疑いようのない事実だと、誰もが認めざるを得なくなった。いくら通信を試みようとも繋がらず、船や航空機で隣国である台湾や韓国、ロシアのサハリン州に向かっても、そこには島や陸ではなく海が続くだけだった。


 それどころか本来あるはずのない海域に巨大な陸地(島)が出現していた。なぜ五日も要したかというと、一日に全国同時大規模事故が発生しそちらに気が取られていたからだ。〇時になった途端に全国の全ての場所で停電が発生、非常時には自動的に起動するはずの自家発電までもがダウンした。機械的な故障ではなく消失したとしか言いようのない現象だった。


 ISSの日本人宇宙飛行士も最初は、日本も消失したと錯覚するぐらいに日本全国から電気が消失し灯りが消えたのだ。信号機に車、電車、飛行機、船舶、携帯電話の基地局など広範囲に被害が及んだ。


 今の時代、乗り物という乗り物は全て電気制御のため全国でありとあらゆる乗り物による事故が発生。中でも人々の印象に残ったのは船と飛行機による事故だった。日本の海には昼夜問わず三六五日、常に千隻を超える様々な船舶が日本の海を航行し、同様に日本の上空にも数百機の旅客機や貨物機が飛んでいる。


 そして電気の消失によりコントロールを失った。


 特に海峡を航行していた船は次々と他の船とぶつかってしまった。しかも大型船同士がぶつかり海上を塞いでしまったが故に小回りの利く小型や中型船までもが、車の玉突き衝突のように事故を連鎖的に起こした。これが全国の港や湾内で発生したのだ。港や浜辺に乗り上げてしまう船もあった。


 全ての飛行機でも同様なことが起こる。これから離着陸しようとしていた航空機は、高度があった機体は立て直すことが出来たが、足りなかった機は次々と墜落し例え立て直せても着陸する目印となる滑走路灯が消えていたために墜落した。墜落した場所は海上が多かったが、陸地それも都市や住宅街に墜落する飛行機も少なくなかった。車による事故に限っても三〇〇〇人近い死傷者が発生した。


 さらに消失したのは何も陸地や電気だけではなかった。日本人を除いた全ての外国人が一斉に消えた、文字通り跡形もなく。


 そのため車や船、飛行機が墜落した原因は電力消失にもあるが、それらを操作していた外国人が消えためも少なからずある。在日外国人は労働者と永住者だけでも二六四万人(平成三〇年時点)もおり、不法滞在や一時入国者も含めると二七〇万人以上の外国人が十二月三一日までに”存在していた”。


 だがその二七〇万人一瞬にして消えただけではなく、さらに日本人もここに加わる。何故なら元旦を海外のリゾート地で過ごそうと出国していた八十万人に加え、仕事や留学といった在外日本人が一三五万人もいる。


 たった一夜で四九〇万人近い人間が消えてしまったのだ。


 だがここで不思議なのが日本人を親に持つ子、つまり日本人の血を引く子供は消えなかったのである。この謎は電気の消失と含め調査されたが原因は判明していない。そもそも次元を何故移動したことが分からない時点で無理な話だが・・・・。


 これら災害で発生した事後処理も政府の頭を悩ませた。衝突した船や墜落した飛行機の残骸処理は比較的簡単だ、一つなら、という言葉が付くならば。車は数えきれない程の事故を起こしており、中には事故の拍子で燃え上がり暗くなった街を照らす車もあった。


 人口密集地へ墜落した飛行機は二日間も燃え上がり、船舶にいたっては数えるのが馬鹿らしくなる程の数が衝突事故を起こしていた。元日だけで一万人近くの死傷者が発生し、二次、三次被害での被害総額は三〇〇億円にもおよぶ。



小修正 9/29 12/23 5/10

中修正 10/22 12/8 12/18 4/29

大修正 4/29 5/23


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