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〈一六話〉新大陸調査隊 一次、二次調査報告

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 六月月上旬。一次調査が出港し予定通りに海洋調査と空気を採取し分析を行った。同時並行で安全な航路の選定と海図作成も行った。当初第一次調査には三週間かかると思われていたが、特に海水や生物、大気などが日本周辺海域との変化が見られず一週間で終了。帰還してから一月後、第二次調査隊が予定を繰り上げて出港した。


 新大陸の沿岸から二十キロ沖に調査船団が到達。青い海に白波を立て軍事に疎い人間が見れば空母と見紛う船が航行していた。船団の旗艦を務めるヘリコプター搭載型護衛艦”かが”の先端からゆっくりと無人機、艦載機仕様へ改良されたRQ-5Cが発艦した。当初はヘリコプター型のUAVで土壌や植物の採取が検討されていたが航続距離が短く、母艦自体が沿岸まで接近しなければいけなかったため却下された。



 発艦を無事に終えたRQ-5Cはそのまま大陸へは向かわず、緩やかな螺旋を描いて高度を上げる。高度六〇〇〇メートルに到達し、ようやく大陸の上空に入った。そして感情のない目、簡単に高級車を買える値段の高性能カメラが地上を捉えた。RQ-5Cにより新大陸の撮られた映像や画像が公開された。


 特に注目を集めたのは映像なのはいうまでもない。確かに衛星からの映像や画像は百以上も公開されているが、どれも画質が悪く十数年前のゲーム映像にしか見えなかった。湾岸戦争時に米軍がメディアに対して公開した戦闘の映像は、攻撃機がイラク軍の軍事施設を爆撃する映像だけだった。しかも映像は暗視カメラで撮影されているため、緑色か白黒の世界しか映っていない。


 それも殆どが動かない静止目標ばかりで現実味が皆無だった。そのため一部マスコミからはゲーム戦争と揶揄された。これまで衛星の映像や画像はどこか作り物の感がぬぐい切れなかった、そのため新大陸は存在しないのでは? と思う国民も少なからずいた。


 だがRQ-5Cの撮った映像はテレビなどで流れる空撮映像となんら変わらない画質だ。鳥や馬といった地球に存在した動物が映っていた、そして肝心の新大陸の住人も鮮明に捉えていた。人間のように二足歩行で服も来ている。さらに道具を使い田畑を耕していたり、川で洗濯のような行為をする集団、小さな個体(子供)が走り回っていたりするのが映っていた。

 

 白人とさして変わらないように最初は見えたが、映像や画像を拡大すると殆どの個体の耳が異様に長いのだ。ネットやマスコミは巨人と同様に北欧神話ぶ出てくる種族、俗にいう「エルフ」とすぐさま話題になった。中には白人や黒人のように肌が白や黒に分かれているのも確認された。エルフは耳以外人間と全く変わらないが、人間と全く違う形をした知生体も発見された。ハッキリといえば狼男である。全身に獣のような毛がある上、顔が明らかに狼かイヌ科なのだ、当然耳も顔側面ではなく頭部についている。


 何もイヌ科ばかりではなく猫や豚、牛、爬虫類と様々だ。そしてどれも人間のように二足歩行で歩き、人間のような手があり指も五本ある。伝説やネット曰く「獣人」というらしい。二種以外にも神話等に出てくる生物が無数に確認したのだ。


 衛星で捉えたゴーレムは体が岩石や土で作られていたが、ゴーレムと違い肉体を持ち上に布の服を身に着けエルフや獣人とコミニケションをしているような映像や画像があった。上半身が人間で下半身が馬という、ギリシャ神話に登場するケンタウロスが草原を颯爽と駆けている。その先に十数メートルはあろうトカゲのような四足歩行の生物が走っている。

 

 他の場所では鷲顔で胴体がライオンのグリフォンが飛んでいたと思ったら、急降下して地上にいた生物を足で鷲掴みにしている。ハリウッドが作ったファンタジー映画のような映像を、RQ-5Cは無慈悲に現実として撮影していた。


 航空調査が始まってから一週間たった日、任務を終えたRQ-5Cは、母艦である”かが”に帰投するため高度五〇〇〇メートル上空を巡行していた。機体は空に溶け込むような迷彩が施されているため肉眼(少なくとも人間)では視認出来るものではない。エンジン音も低く地上には聞こえない。


 RQ-5は運用する人間は主に二人おり一人は操縦員、攻撃・カメラの操作を行うレーダ員。コントロールするコンテナは母艦である”かが”の格納庫隅に設置されている。そして海上上空に到達したのと同時にRQ-5Cに搭載されているレーダーが後方に一つの機影を捉えた。


「後方一五キロに機影を確認。味方識別信号(IFF)に反応なし、アンノウンに指定」


 カメラを操作するスタッフがそのまま報告する。連絡を受けた上官がコントロールコンテナに入室。


「箒にまたがった魔女がトランスポンダを持っている訳ないだろ。エコーじゃないのか?」


ネガティブ(違います)、確実に存在する飛行物体」

 

「接触までの時間」


「接触まで五分」


「こちらの現高度はいくつだ」


「着艦のため高度を落としたので今は一万三〇〇〇フィート(四〇〇〇メートル)」


 質問の間にもアンノウンが距離を縮めている。食われる、元パイロットの上官は思った。四分後、三〇〇メートルまで接近しRQ-5Cより高度を取ってピッタリと着いてきているのがレーダーではっきりと分かる。さあ、どうなる? そう上官がモニターを見ていた時、アンノウンが動いた。急に速度を上げ一分とかからずに距離を縮める。


 接近警報が鳴る。その二秒後、アンノウンを示すアイコンと自機がRQ-5Cが重なった。ピー! ピー! ピー! と断絶魔を上げるようにあらゆる警報がコントロールコンテナに響く。「主翼が被弾」「ダメだ、制御不能。高度が下がる」スタッフの二人は無感情に事実だけを報告しながら飛行を続けようと手を動かす。しかし高度を示す数字はみるみる内に減っていく。そして遂にはゼロと表示された。


「墜落を確認」


 スタッフはヘッドセットを外し報告する。


「撮っていたか?」


「はい」


「映してくれ」


 コントロールモニターと別のに墜落する瞬間まで録画されていた映像が流される。墜落する瞬間、何かが高速でぶつかりカメラがクルクルと周り数十秒後には切れた。何が起こったか全くわからない。そこで今度はスローで映像を再生し、決定的な瞬間のところはコマ撮り再生されようやく墜落の原因、アンノウンの正体が分かった。


「ドラゴンか・・・・」


 静止画面には機体の破片に混じって大きな翼を広げ、墜落していくRQ-5Cを見下ろしている架空の生物だと思われてきたドラゴンがそこには映っていた。

小修正 5/5

中修正 10/11 11/21 3/20 5/1 6/6 7/4 8/2 12/30 1/11

大修正 3/17

『鷲顔で胴体がライオンのグリフォンが飛んでいたと思ったら、急降下して地上にいた生物を足で鷲掴みにしている』 鷲だけに。


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