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〈九話〉 Referendum(一)

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 新大陸からやってきたと思われる帆船のことは三時間後にはテレビ番組で例の画像が取り上げられた。最初こそ与太話程度で放送されたが時間が経つにつれ現実味が増していった。政府は一度に情報を出すのではなく、小出しにして混乱を防ぐことにした。


 ある程度マスコミに対してある発表を行うと予告した。そして一日経ってから記者会見を開き、これまでの時系列だけを発表し十二時間後に初めて接触した巡視船から送られてきた映像と画像を公開。

 

 肝心のSSTが船へ突入する映像は公開するか非公開とするかで大いに党内でもめたが、最終的には一清長官の強い提案もあって無編集のままでの公開になった。そしてSSTが撮った緊迫感がある映像が公開された。


 発表では船にSSTが突入したところ生存者はおらず、一部は餓死か衰弱死で残りは病死していたと発表した。だが野党や過激派の一部では政府(SST)が殺したと政府を非難した。野党や市民団体が力を持っていた昔ならいざ知らず、今では見る影もない位に力がない。


 そのため政府はこれを無視。さらに無修正という生々しい映像は国民に危機感を持たせるには十分だった。映像は瞬く間に日本全国を駆け巡った。政府の懸念通りに開国議論はすぐに燃え上がった。この時点ではまだ伝染病についはまだ公表していない。


 事件発生から二日。簡易の検査設備を積んだ船が到着し、白骨化していない死体が検査された。最初に急行した巡視船の乗員は全員が検査後、ヘリで本土へ移送され隔離されSSTの隊員たちは巡視船で隔離されている。

 

 そして情報庁の予想通り帆船の乗員は一部を除いて伝染病に感染して死亡したことが判明した。そして伝染は未知でも何でもなかった、いやむしろ人類が忘れかけていた感染病だった。


「ぺスト?」


「はい。帆船に乗っていた生物の死因はペストによるものと断定しました」


 前回のように緊急閣議が開かれ、その場で一清が言った。


「ペスト菌を持ったダニも発見されています。もし防護服なしに突入していた場合、かなりの確率で隊員たちは感染していたでしょう」


 ペスト、それは皮膚が黒くなることから黒死病ともいわれている。全人類を襲った伝染病の一つだ。ペストが最初に見つかった時期は不明だが、記録にある限り最初のパンデミックは西暦五四二年の東ローマ帝国で発生している。そして数回の地球規模のパンデミックにより累計一億六〇〇〇万人以上がペストに感染して死亡している。 

 

 主にペストが生息しているのは森奥深くで、宿主(しゅくしゅ)(ホスト)は森などにいる齧歯目(げっしもく)つまりネズミなどだ。そしてネズミの血を吸ったダニなどが他の生物に寄生し、動物や人間の血を吸う際に感染する。


「それは・・・治療法はあるのですか?」


「抗生物質が登場してペストは治療不可能から可能となり、適切な処置を受ければ死亡しません」


 抗生物質による治療が確立されペストは治療可能な病気へと変わり、現在までに一部地域を除いた世界規模のパンデミックは発生していない。だがあくまでパンデミックが発生してないだけで、撲滅には至っていない。ペストのワクチンも未だに存在せず、あくまで気休め程度のワクチンしかない。

 

 もしペストに感染した場合、症状にもよるが七日以内に適切な処置を受けなければ死に至る。ペストに関して説明を受けた徹を含めた主席者はホッと少し安心した表情になった。治療法があるならば安心だと思っているのだろう。

誤字の指摘を受けました。指摘をくれた方、ありがとうございます。

九月二九日 指摘によりタイトル修正




小修正 9/28 11/15 11/20 1/1 1/12 2/3

中修正 2/27 5/1 6\29

大修正


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