金糸雀古城殺人事件2
「あちゃー…」乃木は顔を抑えた。
「どうされたんですか?乃木さん」
「鏡花さん、実は依頼が来たんですよ!これ見てください」小春は嬉しそうにパソコンを鏡花に見せる。
「えー、なになに、ふんふん……わぁ!奇遇です!私も丁度いい情報を手に入れてんです。さっそくヘルプのミーティングをします」鏡花はそう言うと、自分の携帯を取り出す。
「はぁ、こうなっちゃ仕方ないな…」乃木はやれやれと言わんばかりの表情だ。
「お二人ともいいですか?先程平島警部から届いた情報によりますと、なんと現場は密室だったそうです。私は一般人ですのでこれ以上は聞けませんでしたが、気になりませんか?」
「何がだ?」
「久方万斉と言えば日本でも有数の資産家です。お金には不自由がなく、自殺するような悩みなんて持ってるんですかね?」
「まぁ、警察の調べじゃ自殺の方向に向かってるらしいな。でも、人知れない悩みでもあったんじゃないか?」
「乃木さんは自殺だと思われるんですか?」
「わからね。でも、警察がそう言ってるのならその可能性が高いんじゃないのか?」
「甘いですねー。乃木さん。今までの事件で何を見てたんですか?」小春は得意げに言う。
「何って、鏡花の推理だよ」
「そうです。では、鏡花さんは自分の目で確かめないで事件を解決してましたか?」
「いや。自分で確かめないで解決なんてできないだろ」
「でしたら、今回もそうだと思います。話を聞いただけで自殺かどうかを判断することはできません。ね?鏡花さん」
「その通りですね」鏡花は微笑んでいる。
「確かにそうだったな。いつだってこいつは自分の目で確かめて自分の答えを出して来たんだもんな。わかったよ」
「決まりです!でも、鏡花さんどうするんですか?」
「取り敢えず、メールに返信をしましょう。私が返信をしておきます」
その日はすぐに解散した。
乃木が目を覚ますと鏡花から連絡が入っていた。
『乃木さん、私今日の講義を自主休講しますので、ヘルプの活動はなしでお願いします。詳しくはまた明日教えられると思います』
「珍しいな、あいつがサボるなんて。何か進展でもあったのか?」
『わかった。小春ちゃんには俺が伝えておくよ。何するのか分からないけど、危ないことはやめておけよ』
乃木が大学に行くために家を出ようとした時、鏡花から連絡が入った。
『小春さんには私が伝えておきましたよ。ありがとうございます。大丈夫ですよ。また明日学校で。何かあれば連絡しますので、乃木さんも何かあれば連絡ください』
『おう、わかった』
乃木は金糸雀城のことが気になっていた。自殺の真実を確かめるだけでは終わらない気がしていた。何かもっと大きな事件になる。その予感が的中することになるとは…。




