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金糸雀古城殺人事件

本日のニュースです。資産家で金糸雀城の持ち主であった久方万斉(ひさかたばんさい)氏が自室で亡くなっていたことが今朝、使用人の女性数人により発見されました。警察の調べでは、万斉氏の自室にはコーヒーが(こぼ)れていて、その中からは少量の毒物が検出されました。警察は殺人、自殺の両方で捜査をする予定です。

「金糸雀城って、隣町の丘の上にある城だよな」乃木は大学に行く準備をし終え、ニュースを見ていた。すると、携帯に連絡があった。鏡花である。

『乃木さん、ニュース見ましたか?金糸雀城って隣町の丘の上にあるあれですよね!』

文章を見れば乃木には分かった。鏡花は恐らく興奮している。

『そうだけど、お前首突っ込むつもりじゃないだろうな?』

……………返信がない。

数分が経ち、鏡花から連絡が来た。

『そ、そんなことないです!別に平島警部に連絡したらなんかしてませんよ』

「こいつ……事件に首突っ込むつもりだな」

『で、平島警部からは返信あったのか?』

『え、なんでそれを!?』

『お前なぁ……まぁ、いいや、で、あったのか?』

『いえ、まだです。お仕事中だと思います。連絡が来たら学校でお伝えします』

『わかった。じゃあ、学校でな』

乃木は携帯を閉じ、家を出た。

2限の授業を終えると乃木はヘルプの部室へ向かった。部屋に入ると小春がパソコンを開いたところだった。

「あ、乃木さんおはようです」

「おはよう。小春ちゃんだけか?」

「はい。私も今さっき来たところで、今ヘルプのホームページを確認しようとしてました」

「いつもありがとね。ま、今日も平和だろうな」

小春がホームページを確認していると、

「あれ、メールが来てます」

「依頼か?」

「わかりません。鏡花さん来るまで待ちますか?」

「それでもいいけど、たまには俺らも頑張んないとな。内容を見るくらいなら問題ないだろう」

「そうですね」そう言うと小春はメールを開く。


『突然のメール失礼します。私は金糸雀城で使用人をしていた白濱と申します。風の噂でこのサイトを知り、メールをさせて頂きました。ニュースで知っておられるかと思いますが、金糸雀城の主である万斉様が亡くなられました。今は警察の方が捜査をしていますが、警察の方のお話では自殺の可能性が高いと仰られているのです。しかし、私は旦那様が自殺されるとは思いません。ですので、あなた方のお力を貸して頂きたいと思い、メールさせて頂きました』


「金糸雀城って、今朝のニュースの…」

「そうだな。でも、まずいぞ」

「えっ?何がですか?」

「今朝、あいつと連絡してたんだけどやけに興味持ってたみたいで、平島警部にメールで聞いたくらいなんだ。嫌な予感しかしない」

「これは、ヘルプとして大きな案件になりそうですね」

「小春ちゃんまで…確かに俺らはいくつもの事件に遭遇はして来たけど今回のはちょっと大き過ぎないか?」

乃木と小春が話していると、部室のドアが勢いよく開いた。

「乃木さん、小春さん!面白いことになりそうです!」





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