恋の行方2
第二食堂では鏡花と小春が食堂のおばさんの話しを聞いていた。
「第二食堂に来てみたが本当にいるのか?」
「あ、配膳台の所にいる人じゃないですか?」
「どれどれ…」俵田は目を凝らす。
「取り敢えず、声を掛けてみましょうよ」
「そ、そうだな」
俵田と中村は配膳台の前で話している二人に話し掛けた。
「あ、あのー……」
「はい?どうかされましたか?」鏡花は振り返る。
「あの、覚えていますか?私たち…」
「あ、謎解き研究会の中村さんと…」
「たわ」
「俵田さんですよね?」
「お、おう……」覚えてもらっていたことがよほど嬉しかったのかなんとも言えない顔をしている。
「ところで私たちに何か用でしょうか?」
「あ、そうだったな。実は君たちが何か人助けをしていると聞いたので、手伝おうと思ってだな…」
「そうだったんですね。ありがとうございます。でも、お手を煩わせるわけには……」
「大丈夫です!私たち暇なので!」中村がすかさず言う。
「しかし……」
「まぁまぁ、いいじゃないですか。折角こう言ってくれてるんですから」小春が助け舟を出した形となる。
「そ、そうだぞ、気にしなくて良い。人手は多い方がいいに決まってる」便乗するように俵田は言う。
「わかりました。お二人にもお手伝いして頂きます」
「よかったですね、部長」中村は小声で言う。
「な、なんのことかな…?」俵田はしらを切っている。
「ところでヘルプのお二人はどんな依頼を?」
「それは」
「私が説明するわ」学食のおばさんが鏡花の言葉を遮るように入ってきた。
「実はね、今日シフトが入ってた子が高熱を出しちゃったらしいのよ。今日は学校見学の子たちが来る予定で、学食でご飯を食べることになってるのに見ての通り私しかいなくてね。それで、このお二人に依頼したのよ」
「何をですか?」中村はピンときていない。
「今日の私たちは推理はしませんよ」小春は得意げに言う。
「そうですね。私と小春さんはお料理の手伝いをします」
「な、なんと、今回の依頼は謎解きではないのか」
「ですから、お手を煩わせるわけには……」鏡花は申し訳なさそうに言う。
「いえ!手伝わせてください!」中村は張り切っている。
「お、おい、何故中村君がそんなに張り切っているのだ」
「あ、そうでした…これは部長のためでしたね」
「な、中村君!」俵田は慌てて制止する。
「あっ!」中村も気付いたようだ。
「ん?どうされたんですか?」
「い、いえ、なんでもないです。私、料理得意なんです。だから、お手伝いしたいと思って。えへへ」中村は笑って誤魔化した。
その時、食堂のおばさんが携帯を見て声を上げた。
「あら!?何かしらこれ」
「どうされたんですか?」鏡花は咄嗟に振り返る。
「今日来るはずだった子からメールきたのよ。でも、これ何のことかしら?」
「見せて頂いても宜しいですか?」鏡花のセンサーが反応したようだ。
「何でしょうか……これは?」携帯を見ている鏡花の頭の上にはクエッションマークが出ているようだ。
『z#DcdkD#xT/@xpf』
「なんだろうね、これ…」食堂のおばさんは困っている。
「あ、もしかしたら……」鏡花は何かに気が付いた。




