骨董屋の嘘3
「あの、すみません。少し、外へ出てきてもいいですか?直ぐに戻りますので」
「どうぞ。君は容疑者ではないからね」
「失礼します」乃木は小春のメッセージを鏡花に伝えに外へ出る。
乃木は外へ出ると直ぐに鏡花へ電話をする。
「頼む出てくれ、鏡花…」乃木は祈る。
「はい、乃木さんですか?」
「鏡花か!小春ちゃんから伝言があるんだ」
「何ですか!?」
「直ぐに戻らないと怪しまれるから手短に言うぞ。……」乃木は小春のメッセージを伝えた。
「なるほど、ありがとうございます!小春さんのことお任せします」
「任せとけ。お前の方もさっさと片付けてこい」
「はい!」
電話は切れた。
「頼むぜ。お前しかいないんだ」
「どうしたんだ?」
「乃木さんからの電話です。小春さんの伝言を伝えて頂いたのですが、どうやらあと少しのところまで来ました」
「ん?どう言うことだ?」
「それは後で言います。もう少しだけ時間を下さい」
鏡花は薄暗い店の中を歩き回る。店の中を歩き回っていると、鏡花は脚立にぶつかった。
「君、あまり歩き回らないでくれ」鏡花は鑑識の男性に叱られた。
「す、すみません」鏡花は脚立を元に戻す。
「まったく」
「あの、鑑識さん、ここにある骨董品は全部調べましたか?」
「いや、調べてないよ。数も多いし、暗くて無闇に触れないからね」
「電気はつけないんですか?」
「それが、つかないんだよ。電球を取り替えてないんだろうね」
「あの、ライトのカバーを取ってもらえませんか?」
「どうしてだ?事件とは関係ないと思うんだが」
「もしかしたら、あるかもしれません。それに、調べても問題ありませんよね?」
「まぁ、そうだね」鑑識の男性は背伸びをして、ライトのカバーを外す。
「鑑識さん、背が大きいですね。何も使わずに届くなんて羨ましいです」
「確かに少し高いくらいだけど、天井が低いんじゃないかな?被害者も私と同じくらいの背だね」
「確かに、そう言われてみればそうかもしれないですね。薄暗くて気づきませんでしたが」
「あれ、電球が付いてないぞ?」鑑識の男性がライトにカバーを外すと、電球がないことに気がついた。
「それは本当ですか?」
「ああ、ちょっと見てみなさい」鑑識の男性が懐中電灯で上を照らす。
「そっか…少し懐中電灯を借りてもよろしいですか?」鏡花は懐中電灯を受け取り、辺りを見回す。
「やっぱり、そうだ」
「どうしたんだ?」
「この店はそこの男性のものではありませんね…」
「そうなのか?どうしてそんなことが言えるんだ?」
「この店には被害者に必要のないものがあるからですよ。それに、本当の持ち主は不自然な行動に気付いていないようでしたが…」
鏡花は振り返り、刑事に言う。
「刑事さん、小林さんを呼んで下さい」
「なんでだ?」
「小春さんの無実を証明するためです!」




