表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/82

小春狂言誘拐事件

乃木は珍しく小春に呼び出された。

「おはよう」乃木はいつも通り、貸し教室へ入る。

「おはようございます!」

「あれ!?彩香ちゃん!?帰ってきてたの?」

「はい。皆さんが帰った二日後に」

「そうなんだ。ところで、用ってなんだ?鏡花はいないようだけど…」

「鏡花さんには言っていませんから」

「え、珍しいな、小春ちゃんが鏡花に内緒事なんて」

「だって、今日は鏡花さんの誕生日なんですもの!」

「そうだったのか」

「知らなかったんですか?鏡花さんのこと好きなくせに」

「…………な、な、何言ってんだよ!?」

「見てればわかりますよ。ね、彩香ちゃん」

「なんとなくですが」

「彩香ちゃんまで…」

「その話はいいんだよ、で、何をするつもりなんだ?」

「狂言誘拐です!」

「はい?」

「ですから、狂言誘拐をするんです」

「なんで?」

「サプライズです。鏡花さんには大学まで来てもらうように既に言ってあります」

「大丈夫か?大事になったりしないのか?」

「そこで大事にしないようにするのが今回、乃木さんにやってもらいたいことなんです」

「なるほどな。段取りとかは決めてあるのか?」

「勿論です。まず、私が誘拐されたことにします。彩香ちゃんが犯人役で、電話で色々指示するので、乃木さんは鏡花さんと一緒に行動して下さい。最終的にこの教室に戻って来てもらう、という段取りです」

「どんな内容なんだ?」

「それは言えませんよ。言ってしまったらつまらないじゃないですか。乃木さんにも鏡花さんと一緒に考えてもらいたいんです」

「結構しっかりしてるな。わかったよ」

「その間に私と彩香ちゃんでいろいろ準備をしておきますので、うまい具合にやってもらいたいです」

「うまい具合って、抽象的だな」

「こちらからも乃木さんに連絡します。絶対に鏡花さんにはバレないようにお願いしますね」

「任せとけ」

「では、正門に向かってもらっていいですか?あと五分もしたら到着されると思うので」

「オッケー。また後で」乃木は正門に向かう。

乃木が正門で待っていると、すぐに鏡花が来た。

「あれ?乃木さんじゃないですか?」

「よ!」

「どうされたんですか?」

「あ、いや、俺も小春ちゃんに呼ばれてさ。奇遇だな」

「そうですね。どうされたんでしょうか?」

「さぁ?ここで待ってるように言われただけだから」

すると、鏡花の携帯に知らない電話番号から電話がかかって来た。

「あら?知らない番号ですね…」

「出た方がいいんじゃないか?」

鏡花は電話に出る。

「もしもし」

「高島小春を誘拐した。助けたければ、今から言うことに従ってくだ…じゃなくて、従え」

「はい?」

「月が沈むサークルを訪ねろ」

ツーツー

電話は切れた。

「なんだって?」

「うーん、小春さんが誘拐されたそうです」

「え!?大変じゃないか!」

「そうですね。乃木さん、月が沈むサークル、とは何のサークルだと思いますか?」

「月が沈むサークル?わからんな」

「うーん…」

「サークル紹介掲示板でも見てみるか?」

「それはいいですね!」

鏡花と乃木は掲示板へ向かう。

「『ヘルプ』のチラシもあるな」

「ええ、新しいものでも作りましょうか?」

「いや、このままでいいんじゃないか?俺はこのチラシを見てお前に連絡を取ったわけなんだし、懐かしい感じがするけどな」

「それもそうですね。月が沈むサークルを探しましょうか」

「ああ、でも、俺わかったかも」

「どのサークルですか?」

「このボランティアサークル『サンライズ』ってやつじゃないのか?」

「確かに!そうかもしれません。月が沈めば、太陽が昇りますものね。他に考えられそうなサークルはなさそうです」

乃木は鏡花を見ている。

「私の顔に何か付いていますか?」

「いや、お前よりも先に謎を解いたのなんて初めてだから、すげー気持ちいいわ」

「すごいです!」鏡花は笑顔で乃木を褒める。

「やめてくれ。この程度で喜んでるようじゃ、お前についていくなんてことはできないだろう?」

「そんなことありませんよ。さっそく、『サンライズ』を訪ねてみましょうか?」

「ああ。今日は活動日だから、506教室を使ってるらしいな」

乃木と鏡花は506教室を訪ねる。

コン、コン

「どうぞ」

「あのー…」

鏡花が覗くと、サークルのメンバーと思われる何人かがその部屋にいた。

「橋爪鏡花さん?」

「え?はい、そうですけど…」

「私、小春ちゃんの友達で高橋恵です!」

「高橋恵さん…?」

「あ!もしかして、小春ちゃんが『ヘルプ』に入るきっかけになった、友達探しの時の!」

「はい!あの時はありがとうございました!」

「じゃあ、ここって小春ちゃんが所属しているサークルなのか?」

「そうですよ。ところで、どのようなご要件で来られたんですか?」

「えっーと、それは…」

「小春さんが何者かに誘拐されてしまったようなのです」

「え!?小春ちゃんが!?どうしてですか?」

「わかりません。犯人と思われる方から電話がありました。月が沈むサークルを訪ねろ、と言われたのでこのサークルを訪ねたのですが、何か知りませんか?」

「関係あるかわかりませんが、俺がこの教室に来た時、誰もいなかったんですけど机の上にこれが置いてありました」サークルの部員が手紙を取り出した。

「見せて頂いてもよろしいですか?」

鏡花は手紙を受け取り、内容を確認する。

「うーん、乃木さん、また謎みたいですね」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ