白紙の謎
メールには次のようなことが書かれている。
『乃木、俺の勝手なお願いなのに聞いてくれてありがとう。俺の友達の中でもやっぱり、お前が一番信頼できるやつなんだ。俺の親は資産家で周りのやつは俺が金持ちだから寄ってくる。でも、お前だけは違った。単純に俺の性格だけを評価してくれた。俺は親の言いつけで家に籠ることになった。外部との連絡もほとぼりが冷めるまで取れなくなる。だから、このメールが最後のメールだ。もし、何もなく生きてたらまた語ろうぜ。信じてるからな』
メールはここで終わっていた。
「もしかしたら、あいつとはこのまま一生会えなくなるんじゃないかって不安なんだ!!あ、取り乱してすいません」
「いえ、大丈夫です。でも、乃木さんは諦めていないですよね?」
「もちろんです。こんなメール貰って何もせずにいられるわけないです」
「その友達さんも乃木さんのこと信頼しているからこんなメールを送ってきたんですね」
「はい。俺もあいつを信じてます」
「分かりました。少し時間を頂けますか?私もこんな事件の依頼が来るとは微塵も思っていませんでしたから、ご期待に添えるか分かりませんが精一杯頑張りたいと思います」
「ありがとう……」
「あなたは、もう一度電話をかけて見てください。無理かもしれませんがお願いします」
「はい」
「それと集中したいので少し一人にしてもらえますか?30分後に来てください」
「30分でいいんですか!?」
「30分考えて出ないようでしたら、それ以上やっても同じだと思いますから」
一人になると、鏡花は全神経を集中させた。
「乃木さんが言っていた傷はこれかぁ…確かに傷っぽいのはあるけど、ただの傷にしか見えないなぁ。あれ?でも、なんか文字っぽくも見えるんだけど、気のせいかな?」
そのほかにも、コピーを取って来て折ってみたりしたがどうもピンと来ない。
「やっぱりこの傷が何かだと思うんだよね…あれ、この傷反対側の端にもある。上にも下にも!」
最初に見つけた傷のようなものが、縦長のA4用紙のそれぞれの辺の中心にもあった。
「これ偶然じゃないよ!なんで気づかなかったんだろう…でも、やっぱりこれが何かわからないよ。あーあ、ちょっと休憩」
鏡花はひどく迷うと演歌を聞く。
………………………………………
「よし!」気合いを入れ直す。
「傷と言えばこれだね」鏡花は筆記用具を取り出した。
「よくあるけど、可能性が高いのはこれかな。ちょっと気が引けるけど、ごめん」鉛筆で傷の上をなぞるように塗ると、文字のようなものが現れた。
「これ…………」