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菖蒲の花  作者: naomitiara-tica
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佳澄の男

この物語は創作です。モデルはありません。

多佳子は、26歳の時、岩井と結婚した。



岩井は最初医学部に行くつもりだったが、途中から方向転換し、国立の理学部に入った。



その後、多佳子の父や姉と同じ会社のグループの組織に入って順調に働いている。



まぁ、何も無かったら普通に安定して暮らしていける会社。



多佳子と岩井はトントン拍子に恋人になった訳では無かった。ま、一言で言うと、多佳子の粘り勝ちってやつ。




高校時代、明らかに佳澄に未練たっぷりだった岩井に積極的に、なりふり構わないアプローチ。



岩井は最初、佳澄の気を引こうとして多佳子と仲良くしたのかもしれない。



しかし、いつも一緒にいた多佳子と岩井を見て、佳澄はあっさり2人を恋人同士として認め、岩井の事を多佳子の恋人として接するようになった。



鈍感な佳澄にあの当時の岩井の屈折した恋心など、理解する筈が無かった。いやそれ以前に多佳子にも岩井にもそれほど興味が無かったに違いない。



ただ、つるんでる仲間。



結局、その後、佳澄は、柄にも無く薬学部を目指して全滅。滑り止めに受かった総合大学の栄養科をあっさり辞めてしまい、次の年、関西の短大の国際課に入り直し、多佳子とも完全に縁が切れた。



佳澄の父親が銀行員の転勤族だったので、その頃あいにく引っ越してしまい、連絡先が分からなくなったのもあった。



今のように携帯がある時代でも無い。



その後、多佳子は栄養大に進み、岩井と離れ離れになったが、まぁ、2人はもともと、佳澄抜きにすれば、至ってお似合いだったので、そのままずっと恋人同士のまま続いていた。



そんな2人に暗雲の兆しが見え始めた原因は、やはり佳澄だった。



ある日、なんと無く岩井が気がそぞろだった。



タ『どうかした?』



岩『いや、大したことじゃ無いんだけど』



先を促す。



岩『今度、中学のクラス会あるだろ?』



多佳子は嫌な予感がした。



岩『田中も来るらしいんだ。』



多『うん、それで?』



岩『いや、佳澄を連れて来るんだって。』



多佳子も驚いた。佳澄は昔の友人とは完全に遠くなった遠く思っていたからだ。



岩『田中、今、佳澄と暮らしてるらしいんだ』




はっ?



またお前達、中学の時に逆戻りかよ?多佳子は内心、思いっきり毒づいた。

岩井と恋人になり結婚した多佳子。良かったじゃ無いですか?でもそれだけじゃ無さそうね?

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