佳澄の魅力
この物語は創作です。モデルはありません。
佳澄は不思議な生徒だった。
勉強と進路にだけ興味ある訳でも、校内の有名な男の子にだけ興味ある訳でも、読書と漫画と言う趣味にだけ埋没するだけでも、噂話にだけ興味を示すわけでも無かった。
多佳子に言わせれば、とりあえず何にでも興味を示すミーハー?
かと言って、あのイケメン先輩、5組の陸上部の女子に夢中だってよ、マジ、ショックだわぁと、大騒ぎしてた次の日の中間テストの英語ではクラス1の成績を上げたりした。
こいつかっこ付けてんのかい?と思いきや、クラス女子の全員合格点の取れた百人一首が覚えられなくて、1人だけ締め上げられて泣いてたり。
家庭科の実習で、これま包丁の使い方が下手だとみんなに笑われながら、クリスマスには、お母さんがほとんどやったけどと照れながらも超素敵なクッキーを焼いてきて周りを驚かせたり。
会話も妙に機知に富んでいて、明るくて笑い上戸でたまに暗くて、ワガママで優しくて、華やかで時には地味で、いい子ちゃんで、横暴な男の子に怒鳴り返してて...父親は地方銀行員のエリートで。なんとなくいつもこ綺麗なかっこして。
とにかく、佳澄と関わると、大抵の人間が、いや周りがそれこそ存在感が消されてしまい、男も女もみな佳澄の気を引こうとしていた。教師連中まで。
だから授業中、佳澄は何かの理由でかなりさされる事が多かった。佳澄の凄いところは真面目な教師には真面目な解答を、ノリがいい教師には面白い解答を素早く使い分けていたところだった。居眠りで怒られた時すら、他の生徒達は佳澄を賞賛の目で見た。
岩井など、中学時代に佳澄を虐めていと言う話だが、今やすっかりナイト気分で佳澄にいつも張り付いていた。
そう言う訳で、佳澄は美少女では無かったが、そこらの人よりは可愛くて華があってスラリとしていたので、メンズモデルのような岩井が後ろを歩いているのはとてもお似合いであり、見る人を安心させるものがあった。、
かく言う多佳子も、悔しいが、佳澄のその不思議な魅力に取り付かれた1人であった。
あの頃、佳澄に話掛けらると嬉しくて、どうしても自分のものにしたい、どうしてもこの人と親友になりたいと思ったものだった。
今は、後悔しか無いが。
なぜあの時、佳澄と友達になったんだろう。佳澄にさえ関わらなかったら、その後の多佳子の人生、もっと穏やかなものだったのに。自分の前に立ちはだかったのは、尊敬して止まない、大好きな姉だけだっのに。
でも高校生の頃の多佳子はそんな未来を想像出来る筈も無く、みんなの人気者の不思議な佳澄と1番の友達になっのだった。
掴みどころの無い佳澄。どの時代もこんなコが人気者だよね?