佳澄との出会い
この物語は創作です。モデルはありません。
多佳子は小さい頃から、姉には及ばなかったが、利発な子供だった思う。
勉強もまあまあ、運動神経は特に抜群で、走るのを負けた事はなかった。
父の勤務の関係で、転校の経験こそしたが、どこの学校でも、先生や皆んなに可愛がられ、家族では、姉が期待株担当だったら多佳子はアイドル株担当だった。両親や姉には勿論、両祖父母、親戚中から可愛がられた。
また多佳子はどんな風に装えば可愛く見えるかも、人に嫌われないかも本能的に分かっていた。
そんな多佳子の存在に水を刺したのが、高校時代の同級生の佳澄だった。
多佳子はT1高と言う、地元で1番の進学校に進学した。姉は隣町の県で1番のM一高に行くよう誰もが進めたが、遠い通学を姉が嫌がり、高校など何処も一緒だと言って、2年前にT1高に入学していた。
T1高始まって以来の秀才の姉の妹が入学したとの事で、多佳子は最初から社内新聞が取材に来たほどの有名人だった。
しかし、多佳子は容姿も成績も人並みだったので、いつしか上級生も、同級生達も他の話題に行くようになった。
佳澄は別にびっくりするほどの美少女でも成績が抜群でも無かったが、やたら人の噂に上る事の多い女だった。
当時、T1高はの学年450人中、90人が女子。近辺の秀才才女が集まっていた。何となくお利口ちゃんが多い、とりあえず人には羨ましい、親だったらそこに入学させたいと思われる高校だった。
そして目立つのは、私服だった事だ。
T1高女子は、メガネブスしか居ないともっぱらの評判であったが、どうしたどうして、私服入学に慣れて来た6ヶ月ぐらい過ぎると、入学した当時と別人か?と思われるような美人、可愛い子が続出した。
そんな中で佳澄は、最初から妙に目立った。
多佳子と同じ中学からT1高に進学したのが60人。女子は10人だ。多佳子も佳澄の事は中学から名前と顔は知っていた。が、違うクラスだったし、多佳子が途中からその中学に転向して来たのだ、他のクラスの子をあまり知らなかった。
佳澄が目立ったのは理由があった。
中学の同級生の男子で、サッカー部に超モテ3人組がいた。3人はいわゆるその中学でのアイドルであり、成績、スポーツ、顔と三拍子そろっており、しかもいつも3人一緒にいた。
彼らは苗字をもじってSSTと呼ばれていた。鈴木、佐藤、田中って訳だ。そして、バスケ部のモテ男、岩井も同じ中学からT1高に入った。
その田中と岩井が、2人とも佳澄を好きだったんじゃないか?と言う根強い噂が中学からあった。
何故その噂が立ったかと言うと、別の女子校に入学した美人が、高校入学と同時に田中に告った。すると田中が同じ高校に好きな子がいるからと言って断ったと言う。
バスケの岩井は品行方正で有名な男子だったが、いつもバスケットボールを佳澄にぶつけて口汚くからかい、ある日など、佳澄が泣きながら岩井と喧嘩してたと言うのだ。
多佳子の高校時代。なんだか、モテ女とバッシングする気配の多佳子。どうなる?