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テンプレ異世界召喚に巻き込まれたデュエリストですが、持ち前の魔導書(デッキ)で何とか頑張ってます  作者: 秋月静流


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16話 遊戯

「あっぶな~ギリギリだったな」


 フォースフィールドにより重力を一時的に緩和。

 舞う様に宙へ浮かびながら、悠馬は動揺を強引に押し殺し独り呟く。

 魔導書を通じて伝えられる戦況報告。

 時間の経過と共にそれは悪化の一途を辿っていた。

 ティナは1時間は持つと言った。

 しかしその後の事は分からない。

 だからこそ悠馬は苦渋しながらも決断したのだ。

 悠馬が行った事とはコーウェルを介しピエタの住人に協力を仰ぐ事。

 住人の協力を得られれば、城塞に設置されている各種迎撃システムを起動できるからだ。

 見返りは食料を含む物資の提供と今後の支援である。

 悠馬にしてみれば私事に巻き込む事に対し申し訳なさが際だっていた。

 相手は恐らく氷嵐の女王配下の軍勢。

 迎撃システムや守護者ガーダーが城塞を守るとはいえ、どうなるか分からない。

 町の有力者を集めた代表者会議でその事を正直に話しお願いした。

 だが悠馬の懸念を余所に、住人たちの反応は少し臆するぐらい良好で、早々と賛同を得たのである。

 無理もない。

 略奪と侵略行為により大きく疲弊した町。

 飢えと寒さを凌ぐ食料と薪も、外敵から身を守る兵力も無い。

 貴重な男手を多く失った事もあり、今後の見通しもつかない様な状況。

 女王配下の軍勢は駆逐したものの、このままでは早晩野垂れ死にを待つだけであった。

 そこに降って沸いたのが悠馬の提案である。

 町の復興を支援してくれるばかりか食料を含む物資の提供。

 ピエタ側からすれば罠じゃないかと疑う位の好条件であった。

 そうなれば話は早い。

 悠馬が黙々と召喚準備を行う間、町にいる住人全てが広場に集合したのである。


「本当に宜しいんですか、コーウェルさん?

 命の危機もあるっていうのに」

「何を気に病んでいるのやら。

 ユーマ君は私共からすれば救いの主にしか思えないよ」

「しかし……」

「そうですよ、ユーマさん。

 こう見えて、皆さんしたたかなんですよ?

 ユーマさんの提案が魅力的だからこそ、こうして全員賛同してくれたんです。

 どうか胸を張って下さい」

「ミゼリア様の仰る通りですわ、ユーマ様。

 袖すり合うも多少の縁。

 こうして知り合ったんですもの。

 お互い助け合う事が出来ればお互い幸せだと思います。

 そんな風にしていては却って申し訳なく感じてしまいますわ。

 それに今回の要請は完全なるギブアンドテイク。

 今後の生活を支える対価としての戦闘行為。

 正当で理に適った理由です」

「そっか……ならばもう迷わない。

 お願いします、皆さん」

「おう!」

「任せておけ」

「事情はよく分からないがコーウェル先生が言うんだ。

 アンタを信じるぜ!」

「この町を救ってくれたのは君だもの。

 あたしたちは君に恩を返したい」


 頭を下げた悠馬にピエタの者達は思い思いの言葉を掛ける。

 そのどれもが温かく、悠馬の心を優しく覆っていく。


「それで具体的にはどうすればいいんだね?」

「はい、それを今から説明しますね――」


 ゆっくりと語り始める悠馬。

 その内容に、広間に集った者達は皆驚愕させられた。

 ティナと協力して発動する相互の連携補完術。

 それは大規模召喚を可能とする召喚陣そのものを『召喚』するという離れ業だ。

 一流の技量を持っている召喚術師を最低二名必要とし、あらかじめマーキングした場所にしか行けない(一方通行)などの制限はあるも長距離移動を可能とする今までにない召喚術の応用方法だった。

 切っ掛けは悠馬の何気ない疑問である。

 カードを媒介として様々なものを召喚する自分。

 果たして『自分自身』を召喚する事は可能なのだろうか?

 魔導都市への道中、ドラナーやティナに協力してもらい幾度も試行錯誤を重ねた。

 その結果が今回の大規模召喚である。

 個人であればもっと融通の利くものになるだろう。

 残った問題は召喚先の空間指定と人数設定。

 それには繊細な構成を必要とする。

 だが、悠馬はそれを驚きの方法で成し遂げた。

 自分が行うのではなくそういった構成を得意とするものに任せたのである。

 ここら辺が何でも自己で完結するこの世界の召喚術師と異世界から来たデュエリストである悠馬の価値観の違いであろう。

 自分が完璧である必要はない。

 足りないものは力を借り受ければいい。

 かくして招かれたのは<空間を超えるもの、カーヴェナス>という空間を司るガーディアンである。

 転移術にも長けたガーディアンの力を以て悠馬達は要塞内部に集団転移した。

 それはまさに危機一髪であった。

 迎撃魔導装置に直接転移した住人は悠馬に教えられた通り外敵の排除を強く念じる。

 間も置かず発動する迎撃システム。

 荒れ狂う光線が瞬く間に外敵である氷人形達を核ごと打ち砕き、上空の巨大雹を微塵も残さず消し飛ばす。

 刹那の判断が明暗を分ける、ギリギリの攻防であった。


「さて、あとはあいつだけだが……」


 デッキを構える悠馬に対し、魔導書を掲げ妖しく微笑む女召喚術師。

 語るより何よりも雄弁なその行為。

 それは召喚術師による決闘遊戯への如実な誘いだった。










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