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テンプレ異世界召喚に巻き込まれたデュエリストですが、持ち前の魔導書(デッキ)で何とか頑張ってます  作者: 秋月静流


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11話 感謝

「危ない所を助けて頂き、本当にありがとうございました。

 私、ミゼリヤ・ウェンディといいます。

 あなた方は命の恩人です。感謝しても仕切れません」


 悠馬が召喚した防寒着を着込んだ少女は、深々と頭を下げ礼を述べる。

 礼儀正しく真面目そうな少女だった。

 年の頃は15くらいだろうか。

 蒼く長い髪を三つ編みにしており可愛らしい顔立ちである。

 だがどこか頼りないというか小動物の様に弱々しい印象を受ける。

 そこを付け込まれ襲われてしまったのだろう。


「そんなに気に病まないでいいよ。

 偶々、っていうかタイミングが良かったんだな。

 でも間に合ってホント良かった。

 ミゼリア……でいいのかな?

 俺の名は久遠悠馬。

 流浪の召喚術師ってところ」

「わたくしはアイレス・ミィールと申します。

 見ての通り、ユーマ様に誠心誠意お仕えするメイドですわ」

「アイレスさん……」


 悪戯っぽい瞳で艶めかしく悠馬へ腕を絡め、自己紹介をするアイレス。

 思わずツッコミを入れたくなるが、ハッと気付いた悠馬は堪えた。

 道中聞いたアイレスの想いもある。

 けど一月も寝食を共に過ごして来た仲だ。

 だからこそ――分かる。

 アイレスはわざとふざけているのだ。

 それは何故か? 答えは明白だ。

 よく見れば二人の前に立つミゼリアの身体は未だ小刻みに震えていた……寒さを完全に遮断する防寒着を着込んだというのに。

 無理もあるまい。

 過酷な辺境の地とはいえ年頃の娘が貞操はおろか命の危機を脱したばかりなのだ。

 無我夢中で助けを求めた先程と違い、実際に助けられ冷静になった今頃になって心を震わす恐怖が身体を支配しているのだろう。

 だからアイレスは道化を演じているのだ。

 少しでもその負担を軽減すべく。

 至らない自分に悠馬は溜息をもらす。

 いくら多少腕が立ってもこういう気遣いが出来ないあたり自分はまだまだ未熟だと実感させられる。

 少し伸びた髪をバリバリと掻きながら、悠馬は1枚のカード取り出すとミゼリアに見える様に差し出す。

 不思議そうに見返すミゼリアに悠馬は指を立てて口元を抑える。

 首を縦に動かし了承するミゼリア。

 次の瞬間、カードは黄色の体毛を持つリスへと変化した。


「わあ……可愛い♪」


 自分の身体をテコテコと登っていき愛嬌を振りまくリスに対し、笑顔を浮かべるミゼリア。

 どこか頑なだった雰囲気は和らぎ、リラックスしたように見える。

 年齢相応の顔を窺わせるミゼリアに悠馬達もホッと肩を撫で下ろす。


「気に入った? 

 そいつの名は<コイルリス>っていうんだ」

「そうなんですか?

 あっ、もう。服の中に入っちゃダメだってば。

 フフ、可愛い」

「結構神経質な奴でね。

 中々人に馴染まないんだけど……

 どうやらそいつもミゼリアの事が気になるようだな。

 良かったらミゼリアにあげるよ」

「え、そんな……悪いですよ。

 それにこの子、ガーダーですよね? 召喚術師様が使う。

 もしかしなくとも高いんじゃ……」

「能力的には大したことないよ。

 最下級コモンのガーダーで値段も高くもないから大丈夫。

 しかも静電気を主食とするから餌代も掛からないという優れものだよ。

 まあお近付きの印ってやつだな」

「本当にいいんですか?」

「ああ」

 

 悩む素振りを見せるミゼリアだったが頬に擦り寄るコイルリスの愛らしさに負けた様だ。苦渋の末、悠馬に再度頭を下げる。


「じゃあ……すみません。

 この子のお世話をさせてもらってもいいですか?」

「勿論。

 そいつも喜ぶよ。

「はい」

「けど、等価交換って訳じゃないけど……

 一つだけいいかな?」

「……何でしょう?」

「実は身内に病人がいる。

 俺達がこの街に来たのもそれが目的なんだ。

 良ければ医者か薬を売ってくれる人を紹介してくれないか?」


 命の恩人とはいえ何を欲求されるか分からない。

 幾分か警戒した声で聞き返すミゼリアに悠馬は真剣な顔で問い質す。

 その瞬間、ミゼリアはおかしそうに笑いだす。

 よっぽどツボに入ったのだろう。

 目元に浮かぶ涙を指で拭いながらミゼリアは謝罪する。


「すみません、笑ってしまって。

 それなら一人心当たりがあります」

「本当か?

 ならば是非紹介してくれ!」

「はい、勿論です。

 だってその人はピエタ唯一の医師。

 尊敬する私の大切なお父さんですもの」


 呆気に取られる悠馬とアイレス。

 縁は奇なり、異なるものとはよく言うが……

 本当にどこで繋がっているか分からないものだ。

 でも世の中に無駄な事はないのだろう。

 誰も彼もが影響し合い様々な波紋を世界に投げ掛ける。

 仕組まれた様な偶然にどこか釈然としない思いを抱きながらも、悠馬はこの巡り合わせに感謝するのだった。




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