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テンプレ異世界召喚に巻き込まれたデュエリストですが、持ち前の魔導書(デッキ)で何とか頑張ってます  作者: 秋月静流


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8話 誓約

「フン、随分と威勢のいい奴だ。

 クオン・ユーマとかいったな。

 大方、事情も分からずこの地に来たばかりの新参者だろう。

 何せ我らの姿を見て少しも敬意を払わないのだから呆れたものだ。

 見たところ召喚術師らしいが……面白い。

 偉大なる氷嵐の女王様に仕える四天騎。

 その一角を担うこのボク<茨槍のラズ>がお前を教育してやるよ」


 悠馬を見下しながら高慢に告げるラズ。

 しかし悠馬は戯言に付き合わず、油断なくデッキを構え周囲の気配を探る。

 街の人々を監視するラズの配下とおぼしき兵士達。

 何かあればすぐさま人々を人質にするであろう奴等。

 ニヤニヤした笑みを浮かべ成り行きを見守っていたそいつらだったが、急に白目を剥くや否や、その表情がだらしなく弛緩していくではないか。

 そして叫ぶ間もなく一斉に倒れ伏した。

 全身を突如襲った未知の激痛。

 直接神経に奔る痛みには抵抗も出来ずビクビクと痙攣するしかない。

 その様子は、さながら炙られるイカみたいで傍から見れば滑稽ですらあった。


「ど、どうしたんだお前達!

 いったい何が起きた!?」

「お待たせ致しました、ユーマ様」

「いえ。流石手早いですね。

 助かりました、アイレスさん」


 狼狽し慌てふためくラズを余所に、音もなく悠馬の背後に現れ少女へと防寒着を羽織らせるアイレスに悠馬は礼を述べる。

 犠牲者や人質をまったく出すことなく兵士達の無力化に成功するとは。

 道中話に聞いていたとはいえ、その技には感服させられる。

 そう、この一連の顛末は全てアイレスによるものだった。

 恐るべきはアイレスの持つ固有スキル<魔操糸>といった所か。

 糸使いというレアなジョブを活用した束縛術。

 場合によっては死に至らしめる事さえ可能とする絶技。

 魔導加工された極細の特殊鋼の糸は鎧すら切断、のみならず視認すら許さず体内に侵入し、神経系を掌握してしまう。

 東洋の暗殺者独特のその技は、まさしく死神と称されるに相応しい。


「あ、あやしげな術を使いやがって!

 だがこのボクにそんなものが効くと思うなよ!」

「思っちゃいないさ」


 熱くなるラズに、あくまでクールに答える。

 見せしめる様に無残に殺された人々の無念、

 更にはその亡骸を放置せざるを得なかった街の者達の無念を慮って。


「お前は召喚術師なんだろ?

 残念ながらフォースフィールドに守られたお前には皆の刃は届かない。

 けどな、召喚術師の不始末は同じ召喚術師がケリをつけるのが習わし。

 だったら俺達がやるのは唯一つだ」


 悠馬の持つ魔導書デッキを媒介とした力場が、

 相対するラズの張る力場へと侵食していく。

 自らのことわりこそが唯一である、と。

 多元時空を超え、

 莫大なマナを湛え、

 より広大な<場>を構築していく。

 これこそ召喚術師による決闘。

 互いの秘儀を尽くす古の作法。

 それは即ち――


「揺るがぬ闘志と烈火……

 深淵の秩序と蒼穹の静謐に誓い、今ここに誓約す。

 我が名は久遠悠馬。

 汝にデュエルを申し込む!」

「お、お前などボクの相手になるものか!

 いいだろう、ボクの力を見せてやる。

 茨と氷の秘奥を以て、圧倒的な実力で貴様に格の違いを分からせてやる!」

「その様な御言葉、道中幾度も聞いたが……

 実現した事は一度もないな。

 やれるものならやってみろ!」


 召喚術師達の決闘誓約の成立。

 その瞬間――

 世界の全てが弾け、決闘を行う闘技場へと再構成されるのだった。








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