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テンプレ異世界召喚に巻き込まれたデュエリストですが、持ち前の魔導書(デッキ)で何とか頑張ってます  作者: 秋月静流


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18話 英雄

 何もない大地。

 砂漠というと、どこまでも続く砂丘が思い浮かぶが……それは間違いだ。

 草原に比べればあまりに微小だが、砂漠といえど草花はある。

 広大なサハラに例えるまでもなく荒れ果てた大地の総称。

 それこそが砂漠という場所なのだろう。

 しかし前述を否定するようだが、ここの砂漠には何もなかった。

 大地の恩寵の感じられない、殺伐とした砂の山。

 だがそれは無理もない。

 ここはかつて荒廃者と呼ばれた災厄により<無の砂漠>と化した地。

 容赦なく照り付ける苛烈な日差しだけが唯一与えられる恵み。

 人族の生存に適さない、そんな過酷な場所の空に――

 剣戟の音が今、高らかに響き渡っていた。






「くそっ!

 こいつら固すぎるぞ!」


 悪態をつきながらも皇国の守護者である騎士達は剣を振るう。

 一部のエリートのみが扱う銃……精霊銃はまだ軍の正式配備になってはいない。

 よって未だ戦場の華となるのは魔力付与が為された武具だ。

 軽量化や威力増強などがエンチャントされたそれら。

 人間相手なら恐るべき凶器となったであろう。

 しかしこの場合――相手が悪かった。


「装甲の繋ぎ目を狙え!

 奴等の甲皮は鋼鉄並だ!

 正面からでは刃が通らん!」


 隊長格の命令に一斉に繋ぎ目を狙う騎士達。

 されど敵もさるもの。

 そうはさせじと身を翻すや長い杭のような多脚を騎士達にお見舞いする。

 急な展開についていけず、騎士達が幾人も腹や手足を貫かれ犠牲となった。

 暑さを超え、肌を焼くほど熱い砂漠。

 通常装備である鋼の全身鎧を装備するのは自殺行為。

 だが戦闘用に冷気属性が付与されている代用の革鎧では防御力が低過ぎた。

 櫛の歯を抜く様に陣形が崩れていく。


「ギルタブリルの糞共が!

 よくも仲間を殺ってくれたな!」


 憤怒に燃える騎士達を嘲笑う様に上半身が人間、下半身がサソリの半蠍妖魔<ギルタブリル>達は強力な神経毒を持つ尻尾を揺らし牽制してくる。

 干ばつにより食糧難に陥った奴等がまさかの砂漠越えを行い侵攻してきたのだ。

 獰猛な奴等は家畜だろうが人だろうがお構いなしに捕食する。

 辺境を守る常備軍は精鋭揃い。

 恐るべき妖魔とはいえ、ただの一匹なら数人掛かりで戦えば勝てる。

 だが――200を超える大規模な群れの移動に、どう対処すればいいというのだ。

 歴戦の勇士が多いとはいえ、数の暴虐には立ち向かうには荷が重過ぎた。


「我らの後には力無き民達がいる!

 ここが正念場だ、総員踏ん張れ!」

「しかし隊長、このままでは――!」

「案ずるな、先ほど魔導通信で連絡がついた。

 緊急長距離転移ですぐに向かってくれるとの返事だ。

 彼が来てくれる!」

「まさか!?」

「あの方が!?」


 苦境を撥ね退ける人物の援軍予告に騎士達の瞳が輝く。

 過酷な戦況を唯一人にて一変する者。

 人、それを英雄という。

 そして騎士達の期待は最高のタイミングで応えられた。


「砂丘に立つあの人影は誰だ!」

「純白のローブに刻まれしは一騎当千の証、聖騎士印。

 間違いない!」

「そう、宮廷魔術師団<シルバーバレット>の次席魔術師にして召喚術師。

 卓越した戦術指揮により陛下から<勝利の導き手>を賜りし者。

 名も無き従卒から侯爵まで上り詰めた彼の名は――」


「「「リカルド・ウイン・フォーススター!!!」」」


 英雄の到来を讃える歓声が上がる。

 リカルドと呼ばれた男は片手を上げ声に応じるも、眼下に広がる戦場を一瞥。

 一刻の猶予もないと見たのか、単騎で一騎掛けを行う。

 この行為を蛮勇と感じたのか、あるいは騎士達の声から倒すべき頭目と判断したのか、一斉にリカルド目掛け脚を向ける半蠍妖魔達。


「まさかお一人で!?」

「無茶だ!」


 騎士達の悲鳴と慟哭。

 だが彼らには見えなかった。

 リカルドの手に燦々と輝きを上げる魔導書が握られているのを。

 馬上槍のごとき多脚がリカルドに突き刺さるまさに直前――

 彼は魔導書を高々と掲げる。

 次の瞬間――

 串刺しになっていた。

 リカルドではなく――彼に迫った半蠍妖魔、全てが。

 彼が召喚した戦士達が繰り出した身の丈を超える槍によって。


「あれは<アーヴイング戦士団>!

 妖魔狩り専門の戦士達だ!」

「まだ出るぞ、あれは!?」

「せ、<セントラル聖騎士団>の召喚だと!?

 各自が聖人に匹敵する力の持ち主で構成された伝説の騎士団!

 馬鹿な、あり得ない!」


 デュエルという縛りが無い為、ユニット単位で召喚されるガーダー達。

 主であるリカルドの指揮の下、迅速に陣形を整える。

 一騎当千どころではない。

 この規模は最早、一騎一軍に匹敵する。


「二列横隊!

 竜討弓兵による斉射3連後、全軍突撃!

 奴等を地獄の底へ叩き返し給え!!」


 精強無比な兵団を、柔軟性に富んだ名将が指揮する。

 常勝将軍の名は伊達ではない。

 瞬く間に壊滅していく半蠍妖魔。

 それを見て砂漠に轟々と響く騎士達の絶叫にも似た大歓声。

 彼の伝説にまた新たな1ページが加わったのだった。

 




 少しだけリカルドについての説明文を入れる筈だったのに……

 どうしてこうなった??

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