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テンプレ異世界召喚に巻き込まれたデュエリストですが、持ち前の魔導書(デッキ)で何とか頑張ってます  作者: 秋月静流


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3話 憂鬱

「そう落ち込むなって、カレン。

 魔導伝報は打ったんだろ?」

「はい」

「ならば出来る事はやった。

 こうして無事に魔導都市内に入ったんだし……

 後はゆっくり返報を待とうぜ」

「ええ、理屈では分かってるのですが……どうにも。

 申し訳ございません」


 昏い顔をしながら手にしたカップを覗き込むカレン。

 その中身が当の昔に空になった事も気付かない様子だ。

 カレンを励まそうと色々声を掛けた悠馬だったが、反応は芳しくない。

 処置なしとばかりに白旗を上げると、少し離れて様子を窺う皆のいるテーブルへ向かう。


「どうだった、ユーマ?」

「ん~正直、俺じゃ無理っぽい」

「ユーマ様でも難しいですか……

 困りましたわ」

「カレンの姐さんも色々複雑な立場ですからねえ。

 忠誠を誓った主君の行方というか、その身分が失われてるかもしれないと思うといても立ってもいられない、というのが正直なとこでしょうな。

 まあ今は時間が欲しいかと思いやすが」

「ん。ドラナーに同意。

 ああいう時はそっとしておいてほしい。

 ヘタな干渉は逆効果」

「ティナが言うと説得力あるな」

「ふっ。伊達にボッチやってない」

「威張るとこか、それ?

 後あんまり張る胸がないぞ」

「今のは貧乳界に対する挑戦と受け取った!」

「魔導書を構えるな!

 一応高級宿なんだぞ、ここ!

 追い出されたらどうする!」

「悠馬は業界の需要を理解してない!

 その身体にきっちりと教え込むべき!」

「キレるポイントと意味が分かんねえよ!

 っていうか、止めてよ皆!」

「う~ん……

 今のはユーマ様が悪いですわ」

「そうね。

 死ねばいいのに」

「し、辛辣ですねぃ」


 ドタバタする一同。

 だが、個室を借り切っているせいか騒音は外には洩れていない。

 ただテーブルに並んだ料理が派手に揺れるだけだ。

 悠馬達がいるのは『春の仔馬亭』という高級宿である。

 以前メルソムで泊まった『先駆けの仔馬亭』の姉妹店とでもいうべき店で、タンポポを銜えた仔馬の看板が目を引くシックな宿だ。

 先駆けと同じく少々値が張るも、品がいい内装と美味い料理に一同は久々の休息を堪能していたところである。

 貴人用ゲート前でトラブルがあったものの、メイアからもらったファストパスを提示する事により一般用ゲートからはすんなり内部へ入れた。

 これには悠馬達も驚かされたものである。

 経験者であるティナの話を聞くと、かなり手続きが省略されたとの事。

 メイアに足を向けられないと感謝する一同であった。

 そうしてゲートから簡易転移により内部へと移送された魔導都市エリュシオンだが、まず目に着くのは色取り取りの塔。

 その造りは高層ビルにも匹敵し、まるで摩天楼を思わせる。

 あの一つ一つがサーフォレム魔導学院に付随する関連施設というのだから驚きだ。

 商業区、生産区等に区分けされた都市だが、その主体となるのは学院である。

 自然と学院を基点とし、放射状にして店が立ち並ぶ。

 これからレミットの縁者を頼るにも、悠馬の帰還方法を探すにしてもまずは起点が必要。

 という訳で、以前先駆けの主人から魔導都市を訪れるなら是非にと勧められた春の仔馬亭にやってきたのだ。

 名物のイベル豚のシチューとエセル海老のフライは確かに絶品で皆は笑顔で休養を楽しんでいたのだが……

 カレンだけがゲート前のやり取りより浮かない顔である。

 代わる代わる声を掛ける一同であったが心ここにあらず、といった感じだ。

 取り敢えずやれる事はやった。

 あとはティナの言う通り時間が解決してくれるだろう。

 悠馬達はアンニュイを通り越し鬱手前のカレンを遠巻きにしながら様子を窺うのだった。

 




 他シリーズも読んでくれてる方は気付くかも。

 シャスティア達が魔導都市に来た時の宿です。

 100年後のこの舞台では姉妹店をあちらこちらに出してます。

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