16話 愚行
◇2ターン◇
サモンオブガーディアンズのデッキには相性がある。
じゃんけんというよりは、中華思想の五行相克に近い。
つまり自分のデッキはこういうタイプには強いが、こういうタイプには弱いというものだ。
その例で例えるとするのならば、悠馬のデッキにとって腐嵐王の扱うデッキの相性は最悪だった。
悠馬が今回選んだのは、多重封印術をメインとするコントロールデッキ。
序盤の立ち上がりは貧弱だが中盤以降は無類の強さを発揮する。
こういうタイプのデッキは大概のデッキには五分以上で戦えるからだ。
だが、手札破壊だけは別だ。
コントロールデッキは1対多数の交換を行うアドバンテージを得る符をメインとする。
しかしその符だけをピンポイントで狙われたら?
後に残るのはツギハギだらけの古着みたいに無惨な構成となったデッキだ。
いうなれば天敵。
(――だが、それがどうだっていうんだ?)
絶望に曇りそうになる心を鼓舞する。
いつでも完璧な状態で戦える訳じゃない。
今まで行ってきたデュエルだって体調面や精神面など、不利な状況や条件はいっぱいあった。
けどそんな事を言ったらキリが無い。
それに……
悠馬は後ろを振り返る。
勝利を信じ、見守ってくれている者達。
そして何よりも自分の願いを受け入れてくれたティナの意志に応じたい。
心の奥に静かに燈る闘志。
魔導書より新たなる符を得ると、悠馬は社を招きマナを伸ばす。
されどそんな悠馬の想いとは裏腹に、
「汝が路に光を照らす事、能わず。
<冥想する記憶>
さあ、手札を2枚選び捨てるがいい」
「くっ――」
無慈悲なる追撃。
悠馬の手札は更に減少を遂げる。
何も出来ないもどかしさ。
逸る想いを強引に抑え込み、このターンを悠馬は終えた。
先手 ユーマ 手札 5⇒2
後手 ファイレクシオン 手札 7⇒5
◇3ターン◇
「鳥居よ、我に力を!」
悠馬の招きにより大地との契約が為される。
これによりついに<玉砂利><社><鳥居>の3つが並び立つ。
紫デッキの真骨頂たる封印術の発動条件は整った。
そう、後はヴァイタルガーダーを招けば――
「矮小なる者よ。
そんな愚行を我が赦すと思うか?
奈落の深淵より来たれ、墓を掘るモノよ。
死霊の埋葬者<レイスオブグレイブディガー>
さあ終焉の刻は来たれり」
腐嵐王の召喚により死霊が招かれる。
ボロボロのマントを羽織った、まるで死神の様な姿。
対峙する者に形容し難い畏怖を抱かせる。
(だが――まだ召喚されただけだ。
アレは確かに厄介なガーダーではある。
でもまだやりようが――)
その瞬間、悠馬は驚愕する。
死霊が召喚酔いを受けず速攻で襲い掛かってきたのだ。
予期せぬ不意討ちに為す術もなくシールドを打ち砕かれる悠馬。
残りのシールド数よりもその死霊の持つ能力に焦燥を抱く。
「乱数破棄<ラプラス>発動。
さあランダムに2枚手札を棄てて貰おう。
まあ――お前の手札はその2枚しかないか」
「――貴様、まさかガーダーに狂騒化を……」
「そんな無粋なモノと一緒にしてくれるな。
我は腐敗だけでなく嵐を司るモノ。
風の王として相応しい力をガーダーに付与する事が出来る。
それなりの制約と代償とを支払うがな。
さて、それでどうする召喚術師。
身を護るガーダーも手札もない。
そんな様で我に敵うと思うのか?」
「ふっ」
「――何がおかしい?
何故――笑う?」
「いや、テンプレだと思ってね」
「テン……?」
「強大な敵に抗い難い状況。
確かに逆境だろうさ。
だがこの場を引っ繰り返せるのが真の決闘術師。
俺は――自分のデッキを信じる!」
「愚かな……
自らの力量を弁えぬ程の愚者だったとは。
良い。
貴様には飽いた。
脆弱なるその魂すら残さず、完全に滅ぼしてくれよう」
不敵に笑う悠馬に最期通牒を叩き付け、腐嵐王は不快を隠さずにターンを終えるのだった。
死霊の埋葬者<レイスオブグレイブディガー>
AP 2000
DP 2000
SP 黒③
『特記』
このガーダーが対戦者にダメージを与えた場合、
貴方は乱数破棄<ラプラス>:無作為に手札を2枚を棄てさせる。
を発動する事が出来る。
この効果を発動する度、貴方はシールドを一枚破壊する。
<嵐の寵愛>
貴方のガーダーは召喚酔いの影響を受けずに攻撃や防御に参加出来る。
ただし3ターン後にそのガーダーは消滅し、貴方は手札を1枚失う。
先手 ユーマ 手札 3⇒0
後手 ファイレクシオン 手札 6⇒4
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