15話 浸食
◇1ターン◇
――荒野。
形成された決闘場。
そこは草木すら腐れ果て、何もない大地が広がっていた。
これが腐嵐王の心象風景かは分からない。
ただ――もしも奴が完全に復活し世界に解き放たれたならば、この光景が現実のものになる事は容易に推測出来た。
それだけは絶対に阻止しなくてはならない。
ティナの為だけではない。
道中見た美しいこの世界。
そしてそこに住む様々な人々。
何気ない人々の、何気無い世界を守りたい。
異形の覇王を彼方に見据えながら、悠馬は決意する。
「<玉砂利>よ」
先手を取ったのは悠馬だった。
魔導書から大地との契約を行いマナを伸ばす。
生まれたのは神秘と豊穣を司る紫のマナ。
悠馬はそのマナを使い更なる召喚を行う。
「<石灯籠>よ」
敷き詰められた玉砂利に石灯籠が並び立つ。
それは使い捨てのマナ増幅装置。
要所要所でしか使えないがそれだけに大きなアドバンテージとなる。
マナを使い果たした悠馬は手番の終了を宣言。
一方、後手の腐嵐王は――
「<汚泥>よ、大地を穢せ」
招かれた汚泥が大地を穢す。
周囲に漂う圧倒的な退廃感。
間違いない、奴のデッキは――
「黒きマナを持ちて我は秘術と為す。
<意志の混濁>
かの矮小なる者の神秘を暴け」
やはり黒!
しかも手札破壊!!
混沌と忘却を司るのが黒の特徴である。
擬似的な死者の蘇生や闇の眷属の召喚などを得意とする。
その中でも異彩を放つのが対戦相手に干渉する手札破壊スペルだ。
これは召喚、もしくは召喚されたものを以って相手に干渉する従来の原則を大きく逸脱するもの。
即ち対戦魔導書への侵食行為である。
悠馬は手札の開示を強制させられる。
「ほう……面白い。
多重封印による拘束をしようとするのか」
「ちっ……」
「だがこうしてしまえばそれは叶わぬ。
浅はかだったな、召喚術師」
「くっ!」
悠馬の手札から封印術の要である神域創生の符が選ばれ捨てられる。
先攻という事もありすでに悠馬の手札は4枚。
表情の見えない鎧姿を前に、言い様の無い焦燥を悠馬は感じるのだった。
先手 ユーマ 手札 7⇒4
後手 ファイレクシオン 手札 8⇒6
<石灯籠>
SP 紫①
『特記』
石灯籠を崩壊させることにより、そのターンの終了時まで、
貴方の契約した大地からのマナは倍のマナを生み出す。
この効果は複数使用しても重複しない。
<意志の混濁>
SP 黒①
『特記』
対戦相手一人の手札を見る。
貴方はその中からマナとガーダー以外のスペルを選んで捨てる事が出来る。
お待たせしました、更新です。
短めですけど、何とか連休中も更新を続けたいと思います。




