13話 狂騒
◇1ターン◇
鬱蒼と茂る密林。
濃い翠の色彩が闘技場に立つ悠馬の前方に広がっていた。
先手は向こうのようだ。
相手はどうやら生物と繁殖を象徴する碧の魔導書を使うらしい。
今回悠馬が選択したデッキは紅である。
様々なアーキタイプデッキを持つ悠馬だが不得手はない。
何でも扱える万能手である。
ただ今回はせっかく契約したドラナーの力を使ってみたいと思ったのだ。
道中話に聞いた彼の力を以ってすれば、ある事が可能になるかもしれない。
だが、まずは目の前の戦いに集中しなくてはならないだろう。
魔導書を構える構える悠馬。
このまま大地との契約<マナ>を伸ばそうと、符を放とうとする。
しかしその動きより早く、密林の中から何かが襲い掛かってくる。
「狂騒のオーク!?」
それは目が血走ったオークだった。
攻撃力<AP>防御力<DP>共に大した力を持たない下級ガーダー。
ただ今の状態となったオークは侮れない。
<狂騒(化)のオーク>
AP 1000
DP 1000
SP 碧①
『特記』
狂騒のオークは場に出たターンより攻撃する事が出来る。
全てのガーダーは基本場に出た瞬間は攻撃に参加する事が出来ない。
俗に言う召喚酔いという現象である。
例外としてあるのが場に出た効果の発動だ(防御は別である)。
だが忌まわしい技法で召喚酔いを強引に打ち消す事は可能である。
それが<狂騒化>である。
デュエル前の武装設定で自らを守るシールドと手札を代償に召喚するガーダーに速攻を付与する。
(ウイニー型か……厄介だな)
ありとあらゆるものを贄とし、早々と対戦者の命を刈り取る。
それがウイニー戦術だ。
大物は出ないが、小粒とはいえ数の暴力で強引にシールドを削ってくる。
あまり時間的猶予はない。
オークの攻撃により砕け散るシールド。
シールド破損時の選択は二つ。
手札の増強(まれにトラップの発動)と扱うマナの増強。
今回悠馬は手札を増やすのではなくマナを伸ばす事を優先する。
自分の手番で更に火山地帯との契約を行い、これで使えるのは2マナ。
悠馬はすかさずドラナーの召喚を試みる。
「頼むぞ、ドラナー!」
「兄さんの望むままに頑張りやしょう」
<紅蓮の踊り手ドラナー>
AP 0
DP 2000
SP 紅① 他①
『特記』
紅蓮の踊り手ドラナーが場にいる限り、貴方のターン終了時に火蜥蜴を一匹、自動的に召喚できる。
火蜥蜴の能力はAP1000 DP1000
さらに一個体に付き1回のみ<纏いのブレス『攻撃・防御時にDP1000のダメージ』>を発動出来る。
現界値 残9
魔導書より現れたのは陰鬱な顔をした紅の召喚術師。
悠馬のターン終了宣言に合わせ、ドラナーは火蜥蜴を召喚。
悠馬の場にはドラナーとサラマンダーの2体が並ぶ。
>ダズ<狂騒化>によりデュエル開始時にシールド1枚と手札を1枚ロスト。
ユーマのターン開始時にデッキより1枚ドロー
さらにシールド破損により1マナ増強。
ユーマ 手札 8⇒6 マナ2 シールド2
ダズ 手札 6⇒4 マナ1 シールド2




