32話 壊滅
◇3ターン◇
どうにか雪豹を凌いだものの、依然として数の差はいとめない。
悠馬の場にも二体のガーダーはいるが共にAPは0。
攻撃力は皆無だ。
使い潰しのブロッカーとして守りにいくことは出来るが、それでは結局ジリ貧となってしまう。
ターン開始の2枚ドロー後、悠馬は驚いたように動きを止め思案する。
「どうしたんだい?
随分悩んでいるじゃないか」
「打つ手がないなら投了したらどうだ」
囃し立てる二人。
悠馬はかぶりを振ると二人に語り出す。
「……打つ手がないんじゃない。
あまりにあり過ぎるから困っているのさ」
「はんっ」
「そんな強がりを言って我らが怯むとでも思ったか?」
「強がりかどうか――
ならばお披露目するとしよう。
まさかこのカードを引けるとは思わなくてね。
デッキが自分に応えてくれるっていうのは嬉しいもんだ。
要の言っていた『デッキの声』っていうのはこういう事か?
まあ、本当はもう少し引き付けたいところだけど……
ここが使いどころだな。
いくぞ、溶岩地帯よ!」
溶岩とマナリンクした悠馬。
すかさず紅マナを生み出し始祖鳥と森林、鉱山からもマナを生み出す(宝石残り回数1)。
「地の怒り満ちる刻――」
「まさか!」
「そんな馬鹿な!」
「人の心の果つる時――」
「お前ごときが」
「貴様ごときが、そんな伝説の召喚術を扱える訳が――」
「いい加減、現実を見ろ。
いくぞ!
我招くは<大地の憤怒>!」
悠馬の手札から放たれた虹色の符が溶岩地帯に触れる。
次の瞬間、溶岩は大音響を上げ噴出。
凄まじい熱量を放ちながら戦場全域に豪雨の様に降り注ぐ。
抗う術もなく戦場にいたガーダー達は全滅した。
ただ一人、悠馬が招いたガーダーのみを残して。
「ど、どういう事だい!
何故、あいつのガーダーは無事なんだ!?」
「そうか、扱うタイプか」
「はっ?」
「あんな攻撃能力のないガーダーを使うのには理由があったのだ」
「――え?」
「飛行能力」
「あっ!」
「大地系の能力の対象とならない。
通常ならこんな広域殲滅スペルなどはそうそう使えない。
だが――奴は偏った編成でわざと扱えるようにしたのだ」
「デッキによるコンボ……」
「くそっ。うまく誘い込まれたか」
「迂闊だったさね」
ゴルベーザの言葉にキャロットは悔しがる。
二人の解説通り、これはコンボと呼ばれる手法である。
サガのカード群の中には強力であるも扱いづらいカードが多々ある。
それらの特色を理解し上手く組み合わせる事により1+1を4にも10にも出来るのがデッキ編成の面白い所である。
事実戦場全域を襲った溶岩噴火時、悠馬のガーダー達はその飛行能力を遺憾なく発揮し天空高く逃れていた。
結果、キャロットとゴルベーザのガーダーのみが壊滅したのだ。
悠馬は驕るでも誇るのでもなくクールにターンの終了を告げる。
穏やかでないのは対戦者の二人だ。
まさかここまで考えているとは。
たかが小僧と侮っていた自分達が愚かだった。
しかし同じ轍は二度と踏まない。
二人は四天騎に相応しい沈着冷静さで気持ちを切り替える。
自ターンを迎えたキャロットとゴルベーザは壊滅した場を立て直すべく新しいガーダーを召喚。
何とか体制を整える事に成功する。
ユーマ 手札 7⇒5 マナ3 シールド6(2枚ドロー)
キャロット 手札 5⇒2 マナ3 シールド3
ゴルベーザ 手札 5⇒2 マナ3 シールド3
<大地の憤怒>
SP 紅② X(何色でも支払い可能)
『特記』
大地の憤怒は地上に隣接している全てのガーダーに対し
X×1000点のダメージを与える。
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