君の居ない街(世界)
【本編に進む前に】
これは私の作成した全く持っての短編集です。
この小説には…
※ホラー要素
※不可解な表現
※サイコパスな表現
※暴力、グロテスクな表現
これらが含まれています。
それでも大丈夫な方のみ、お進み下さい…
君がいなくなった。あの日、あの公園で僕と一緒に笑いあって、他愛のない話をしていた筈なのに…僕は同じ時間にあの公園に向かったが、君の姿は無かった。
それどころか、君は最初から居なかった事になっていた。
誰に聞いても、何処を探しても、答えはみんな、同じだった。
僕の頭がおかしいのではないかと思われた。
ちがう、違う
確かに、僕は…君と話した事、君の髪の色、その端正な顔立ち、触れた時の温もりも覚えている。
なのに……何で、?
今朝も、いつも通りの学校のチャイムが鳴る。
君がいたはずの席も、最初から無かったように思えた。僕にとっては心の隅にポッカリと穴があいてる気がした。
昨日と同じ、変わらない。
いつもの授業
いつもの喧騒
変わらない、いつもの風景。
僕も、いつも通り変わらないままだった。
なのに…少しおかしいんだ。
僕の視界には、全てモノクロの世界にしか見えなかった。
僕に話しかけてくる学友も、近所の人も、皆空虚な言葉に聞こえてしまい僕の耳には届かなかった。
それは食事もだった。
弁当を食っても、朝御飯も、晩飯もみんな味気がなかった。
君のいないこの世界なんて、何も意味がない。
いつの間にか、屋上へ登っていた。
どうすることも無く、ぼーっとしてしまった。
「……こんな、君の居ない世界なんて…」
僕は柵を乗り越え、屋上から降りた。
モノクロの空に混じって赤いものが見えた。
ああ、これでようやく…君のもとへいけるのだろう。
僕はただひとりで嬉しそうに微笑み、空へ向かって手を伸ばした。