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第7章 殺戮

「やっぱり、来たんだ。さすがね、カンナ」

 ユズハは嘲笑とともにそういった。僕はじっとユズハを睨み付ける。

「来たくはなかった。でも……ユズハを止めないと」


 次の日の昼休み。

 僕は重い足を引きずって、カフェテリアに向かった。

 ユズハは僕を見ると、その口元に笑みを浮かべた。

 「来てくれたのね。さっさと片付けるわよ」

 その瞬間には、動きを止めていた。異空間に飛んだんだ。

 僕も嫌々異空間へ飛んで、ユズハと対面しているというわけだ。

 正直、僕も来たくはなかった。でも……そうじゃないと、アクアが殺される。

 それだけは……避けたい。僕のせいでアクアが殺されることだけは。

「絶対に……殺されるわけには……いかない」

 自然と、言葉が漏れた。

 僕はユズハを見る。ユズハは不敵な笑みを崩さず、どこか楽しそうにさえ見えた。

「そう。でも、あたしは神になるの」

 またそれか。もはやどうでもいい。やろうとしていることは変わらないんだから。

 「邪魔者は、排除するまでよ」

 フンと鼻を鳴らして僕を見据える。

 気が付いたら、僕の両手は震えていた。

 怒りだ……僕は、怒っている。当たり前だけど、僕にそんな感情があったなんて、今まで知らなかった。

 僕を、アクアを、アルトを殺そうとしているユズハに、僕はとてつもない怒りを持っている。

「殺してやる……」

 いつの間にかそんな言葉が漏れていた。そして、『殺意』というものが芽生えたことに、また驚いた。

「やっと本気になってくれるのね。あっけなく死なれたら、面白くないもんね」


「絶対に殺してやる!!」

「あたしを倒せるとでも?」


 僕は銃を抜いた。両手に銃を握りしめてその重さを確かめる。

 ズシリとした重みが、僕の意識を覚醒させる。

 同時に、ユズハが左手を軽く振った。

 すると、その掌に桃色の光球が渦を巻き始める。

 ユズハは光球をじっと見つめた。どんどんとその大きさが増していく。

 僕が銃を構えると同時に、ユズハが手のひらを前に突き出した。

 渦巻いていた光球が一瞬激しく光を放ち、次の瞬間……槍のように僕の足元に突き刺さった。

「いくらなんでもフェアじゃないだろ……」

 僕は数歩後ずさって銃を構えなおした。

 「これくらいの攻撃、避けてくれないと困るわ」

 ユズハは再び左手から光線を放つ。かろうじて僕は避ける。

「あたしに勝てるなんて思ってるんじゃないでしょうね?」

 光線の合間を縫って僕は銃を乱射。

 銃声が、頭にガンガン響く。標準の中にユズハの眉間をとらえ、撃つ。撃ち抜く。

 ユズハは光線を四方八方に飛ばし、僕の放った弾丸を叩き落としていく。

 空気が焦げていく。反動で、両手が痛い。

 ユズハの光線が飛んでくる。その軌道が、鮮明に見える。体勢を低くして回避、光線が途切れた隙に再び連射。乱射。

 気持ちが高ぶっていく。光線が服を掠め、カーディガンが焼け焦げても、撃つのをやめない。

 もう、一歩も引かない。銃弾が尽きようと、命があるうちは、僕は、銃を撃つのをやめない。


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