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起〈1〉

一応この前の続きですが、今回は説明回になりました。


 結局レイス子爵はこの2年間、攻略対象の誰も選ぶことはなかった。

ほぼ全員と高い好感度を保ちつつ夜会で王子にエスコートされている。

この魔法がいつ解けるのかは疑問だが、もし卒業しても続くようなら、隔離対象になるんじゃないかと考えてしまう。それほどに、男達を魅了する力が異常だ。

攻略者たちに囲まれ恥ずかしそうに微笑んでいるレイス子爵を眺めながらメルはため息をつく。


「溜息を吐くと幸せが逃げますよ」

誰のせいだと思ってるんだ、この男。悪態は心の中にしまっておく。特にこの人に対しては。


「凄いですねまるで灯蛾のようだ」

彼の言葉に私も相槌を打ちながら、キラキラした集団に目をやる。

あ、ヒロインがこけそうなところを王子が助けた。王子と留学生がにらみ合ってる。


 あの後、今までの学園生活の事を洗いざらい吐かされた。結果、副隊長が臨時講師として学園に来た。まじで乗り込んできやがったよ、こいつら。

仕事はどうしたと突っ込んだら、何やら将来を担う人材をたぶらかす魅了持ちが、学園をおびやかしていると何やかんだで上を脅してきたらしい。それでよく話が通ったな。まあ、間違ってないけど。


 何故私がこうなったのか。

原因はやっぱり、ヒロインことフローリアン・レイス子爵になるのかな。

この人はとても頭が回る人だと思う。個人的に。


この人、攻略対象であるリチャード・カルマン伯爵と悪役れいjy…失礼。カルマン伯爵の婚約者であるリーゼロッテ・バーニッツ伯爵が、シナリオ道理にいかないと分かるや否や攻略するのはやめたみたい。

だけどイベントを起こすためには悪役が必要である。と言うわけで、私に目をつけた。


当時私は、クラスメイトと話はするが特別仲のいい友人はいなかったのでやりやすいと思ったんだろう。地味だったしあまり目立たないから、他の人からも今何処にいるかわからない人というのは格好の獲物だったんだね。


彼女は私の行動パターンをチェックし、一人で行動している時間(図書館にいる時や、昼食をとる時など)をねらい、私がアリバイを成立できないという時に行動を起こした。


 例えば最初は「ちょっときつい事を言われた。私、嫌われているのかな?」といった何げないことから始まり、だんだん私がヒロインを嫌っているという虚像を作り上げた。

さっきも言った通り私は特に仲の人がいたわけではないから、その事をすぐに否定できず噂ばかりが独り歩き。その結果、【彼女を嫌っている私は彼女に嫌がらせをしている】という方程式が出来上がったわけだ。


ぶっちゃけ私の現状を把握したこと。すぐに噂を否定できず、なおかつ私がすぐに噂を知る事が出来ない位置にいる人間であることを理解し、行動に移したのはすごいと思う。

これが仕事とかだったら、彼女絶対出世できるよ。


「メル」

「うぇ?」

やべ、変な声出た。

「何?副隊長。」

ばれてないよね、副隊長起こるとめっちゃ怖いんよ。集中してないって分かったら怒られそう。


「今はそっちで呼ばないように。それより、明後日1200に実行しますよ」

「(良かった、ばれてない)結局、誰が来る事になったんですか?」

あ、このお肉おいしい。

「トニーが選ばれたそうです。」

「んー、選ばれたってことは結局ポーカーじゃ決着つかなかったんですか?」

あの人達、学校に乗り込む人を賭けで決めようとしていたらしい。相変わらず、自由だな。

「そのようです。これ以上は目立つので、もう行きます。あなたも早々に切り上げなさい、絶対お酒は飲まないように。」

「はーい」

もう子供じゃないんだけどなー、あの人いつまでも子供扱いやめてくんないだけど。



 さて。ちょっと暇になったし、ここで少しこの世界の事を説明したいと思います。

この世界には魔法というものがあり、この魔法を使うために魔力があります。

魔力は全員持って生れてきますが得意不得意があり、攻撃に使えるほど魔力に適性を持つ人から、すぐ魔法にかかってしまうほど抗魔力(魔力に抵抗する力)が低い人がます。魔法については普通のRPGを想像していただければ大丈夫。呪文を唱えて効果が現れるって感じだね。


 そしてこの世界では、ギフトと呼ばれる特殊能力のようなものを持つ人がいる。例えば遠くの音までよく聞こえる、というものから攻撃魔法を打てば絶対外さないというギフトまで様々。ヒロインは恐らくこのギフトの魅力持ち。かく言う私もギフト持ちで、これが無ければとっくのとうに死んでたと思う。


 とはいえ、貴族や王族なんかは権力を持つがゆえに、抗魔力を徹底的に鍛えて魔法に対抗できるように小さいころから訓練を受けるはずなんだけど…

こんな状態(ヒロインに攻略されてる)ってことは、ヒロインの魅力がそれを超えるほど強力なのか、はたまた攻略対象が訓練をさぼってたのか。

子供のころだと遊びたい盛りだし、さぼってても不思議でないけど。一人の女性に振り回される姿を見ると、将来この人たちが国を動かしていくってなんか嫌だな。


 そう考えると、バーニッツ伯爵とカルマン伯爵は彼らよりも高い抗魔力を持ってるってことだよね。凄いな。訓練は結構厳しいって聞くし、結果もなかなかついてこないから装飾品に頼る人も多いんだけど、少ないってことは実力があるんだろうなー。ある意味この人たちは努力の天才なのかな?


うん。とりあえず今は夜会の食事を堪能しますか!

あ、このローストビーフむっちゃ美味しい。


攻略対象:王子、留学生(隣の国の王子)、天才魔法使い、騎士、伯爵(攻略失敗)


出てきた人の名前だけ

ヒロイン:フローリアン・レイス子爵

悪役令嬢:リーゼロッテ・バーニッツ伯爵

伯爵:リチャード・カルマン伯爵


この話の主人公:メルニア・ロッシュ

同僚:トニー

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