最終話・姫の好きなクライド
「ねえ」
クライドは、低い声でアイリスに話しかけます。
「このまま、逃げ続けるの?」
アイリスは、黙って新聞を見つめていました。
見出しは、『アイリス姫に懸賞金!?まさかの生死不問』。
「国外逃亡する気?そんなことしたって国際手配されるだけよ」
ねえ、とまた。今度は少し明るい声。
「君が好き」
アイリスは大きく目を開き、バサリと新聞を落としました。
「クラ、イド…?」
「本気だよ」
真剣そのものの眼差しに、アイリスは戸惑いました。
でも、やがて一つ息を吸い込みました。
「私も」
すっと目を細め、微笑みます。
クライドも、幸せそうに微笑みました。
「ありがとう、私を好きでいてくれて」
勿論だよ、とクライドは笑います。
「だから、ずっと、一緒に居たい。その為には、まずそっちの問題を解決しないと」
それから一呼吸置いて、クライドは言いました。
「ねえ、心中しない?」
アイリスは、目を閉じて暫く考えました。
他の案など思いつかないし、何よりそれだともう追いかけられる心配はありません。
「いいかもね」
ゆっくりと同意しました。
「決まり?」
クライドは、質問します。
それにアイリスは肯定しました。
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それから二週間後、新聞には、こう書かれました。
『アイリス姫、男性と心中!?』
【今日未明、アイリス姫と思われる死体が、川で発見されました。アイリス姫の隣には男性が寄り添っており、警察は男性とアイリス姫の関係性を調べると共に、彼女らが連続殺人事件の犯人ではないかと調べている。】
アイリスは、幸せでした。
クライドも、幸せでした。
二人の幸せは、これで永遠に続くのです。
ずっとずっと、ずっと…




